新潟市笹口にある、土日祝限定営業の抹茶専門店「抹茶カフェ 凛」。子どもの頃が思い出されるような懐かしい造りの店内は、ゆったりとしたBGMが流れ、平日の仕事の疲れを癒してくれる、そんな雰囲気です。こちらで楽しめるのは、3種類のお抹茶と抹茶をふんだんに使ったスイーツ。女将の都築さんにオープンのきっかけやメニューのこだわりなど、いろいろとお話を聞いてきました。
抹茶カフェ 凛
都築 沙央梨 Saori Tsuzuki
2000年柏崎市生まれ。柏崎常盤高校卒業後、シルバーホテルをはじめ、新潟市内の飲食店で経験を積む。2023年6月に「抹茶カフェ 凛」をオープン。海が好きで船舶免許取得を企て中。
——懐かしさのある古民家で営業されているんですね。
都築さん:この建物には、これまで102歳のおじいさまが住んでいらっしゃったそうです。その方が住まいを移されるというので、大家さんが当社のオーナーに「空き家を使いませんか」と声をかけてくださって。丁寧に住まれていたんだと思います。壁紙は張り替えましたけど、柱や障子はそのままですよ。
——雰囲気がすごくいいなと思いました。
都築さん:静かな空間で過ごしていただきたいので、大変申し訳ないんですけど、小学生未満のお子さまの入店はお断りしています。休日しか営業していませんが、平日の疲れを癒す場所としてくつろいでいただきたいと思います。
——こういった建物だから、抹茶専門店をはじめようと思われたんですか?
都築さん:私、抹茶が大好きで。新潟には抹茶を楽しめるお店が少ないので、こういったお店があったらお客さまに喜んでもらえるんじゃないかと思っていました。以前からオーナーに「抹茶のお店をやりたい」とは伝えていたんです。こちらの物件との出会いでついに実現できました。
——抹茶好きとは渋いですね。
都築さん:抹茶が好きな兄の影響なんです。子どもの頃から抹茶味のスイーツをよく食べていました。お茶を好きになったのは大人になってからです。長岡にその場で点ててくれるお抹茶を飲めるお店があって、そこでハマりました(笑)。お抹茶をいただきに京都や金沢も巡りましたね。
——お店のメニューについて教えてください。
都築さん:お抹茶は、産地が異なる3種類のお粉から選んでいただきます。京都の薄茶宇治抹茶と鹿児島の濃茶風土日和、もうひとつは「おすすめ」で京都の老舗「松籟園」さんから取り寄せたものを時期によって変えています。
——スイーツはどういったものがありますか?
都築さん:抹茶のプリンとテリーヌ、かき氷をご用意しています。苦味も楽しんでいただきたいので甘さを控えて、濃厚に仕上げています。人気のプリンは、プリン、アイス、ソースにクリームのぜんぶが抹茶味で「抹茶づくし」という言葉がよく似合うメニューです。
——お茶を点てているのは都築さんですか?
都築さん:私かオーナーがお抹茶を点てます。先生に習いに行ってから、ひらすら自主練しました。お抹茶を点てること自体はそれほど難しくないんですけど、ムラなくきめ細かい泡立ちに仕上げるのが大変で。商品としてお出しするわけですから、完璧にお茶を点てられるようになるまで練習と研究を重ねました。
——この泡がポイントなんですね。
都築さん:好みもあるんですけどね。きめ細かい泡のお抹茶は、見た目が美しいし、口あたりが滑らかですよ。
——お客さんの中にはお茶に詳しい方もいらっしゃるのでは。
都築さん:たまにいらっしゃいます。ものすごく緊張します(笑)
——どんな感想が嬉しかったですか?
都築さん:いちばん印象深かったのは、ポストカードに直筆のイラストとメッセージを書いて下さったお客さまです。「美味しかった」と言ってくださいました。すごく嬉しかったですね。
——都築さんはこれまでも飲食店で働かれたご経験がありますよね。「凛」さんのように、ご自身のアイディアからオープンに至ったお店は他にもあるんですか?
都築さん:自分で「やってみたい」ってはじめたお店は他にはないんです。ほぼゼロから作り上げた経験は、ここが初めてで。前任者さんから引き継いで任せてもらっているお店とは愛着がちょっと違います(笑)。自由さもあるし、自分自身が楽しめるお店だなと思っています。
——やっぱりメニュー作りにはご苦労がありますか?
都築さん:けっして安くないお金をいただいているので、ちゃんとしたものを出さないといけないですからね。試作を何度も繰り返してってところは大変ですけど、もう何年もこの業界にいるので習慣みたいになっています。雑誌やInstagramで「この商品いいな」って日頃から自然と最新スイーツにアンテナを張っていますし(笑)。お抹茶を点てるにしても何ヶ月も練習しました。やっぱり「練習と研究あるのみ」ですね。
——念願だった抹茶のお店をはじめて、都築さんの抹茶愛に変化はありました?
都築さん:抹茶愛はどんどん強くなっています(笑)。お客さまやお取引先からいろいろなお話が聞けるのがおもしろいし、最近は種類ごとに香りや味が違うんだってところにも興味が湧いてきました。お店をはじめてから金沢でお抹茶をいただいたとき、抹茶に詳しくなる前とはぜんぜん違った味わいに感じたほどです。以前よりもっともっとお抹茶のことを考えるようになっていますね。
——ちなみにお茶のお作法がわからなくても大丈夫なんでしょうか?
都築さん:もちろん大丈夫です。構えずにお越しください。
——抹茶スイーツのラインナップはこれから増えそうですか?
都築さん:お抹茶のお茶漬けとか抹茶ティラミスとかもいいなぁって考えているところです。新作を楽しみにしていてくださいね。
抹茶カフェ 凛
新潟市中央区笹口11-29
営業時間/ 11時~18時(17時30分LO)
定休日/ 月曜〜金曜