愛犬の体調不良をきっかけに、ペットの食事を自作するようになったという本間さん。「ペットのおやつ手作り工房NAO」として活動をはじめたのは、約2年前のことです。五泉のえごまにバターナッツかぼちゃ、自家栽培のさつまいもなど、素材そのものの味と栄養を生かしたおやつに、犬も猫も大喜びで食いつくのだそう。愛犬の変化や「NAO」をスタートしてから感じたことなどについて、本間さんにお話を聞いてきました。
ペットのおやつ手作り工房NAO
本間 直子 Naoko Honma
1970年新潟市生まれ。福祉関係の仕事に従事し、2023年から「ペットのおやつ手作り工房NAO」の活動をスタート。愛するペットは、猫のレイちゃんと犬のアンジーさん。
――本間さんは、老人介護の業界で長くお仕事をされていたそうですね。それがどうして、ペットのおやつを作ることに?
本間さん:今の仕事をはじめたきっかけは、「ペットクリニックZero」(新潟市西区)の長谷川先生との出会いにあります。アンちゃん(犬のアンジー)はもともとお腹が弱く、皮膚の病気にもかかりやすくて。耳がただれて、掻き傷が潰瘍になることもあったんです。
――なんとまぁ。かわいそうに。
本間さん:すると長谷川先生が「体質改善が必要かもしれない」とアドバイスしてくださいました。先生は手作りの食事、手作りおやつを推奨されていて、院内にもそれらが用意されていたんです。あるとき、先生お手製のペットフードを自分で食べてみたら、まぁ、びっくりするほど美味しくて。早速、「家で作ってみよう」と調理道具をそろえました。
――食生活を変えて、アンちゃんの調子は良くなったんですか?
本間さん:それまでも与える食べ物には気をつけていたつもりなんですけど、手作りはぜんぜん違いましたね。アンちゃんの調子がみるみる良くなりました。先生とアンちゃんに出会っていなければ、今の仕事をしていなかったでしょうし、アンちゃんの体調不良の原因はわからないまま、「身体が弱い子なんだな」と思い込んで、薬にばかり頼っていたと思います。
――ちなみにアンちゃん、レイちゃん(猫)は普段どんなものを食べているんですか?
本間さん:アンちゃんには、魚に数種類の野菜、きのこ、鶏肉を柔らかくなるまで煮込み、フードプロセッサーにかけてスープ状にしたものをドライフードを入れて与えています。レイちゃんは、ウエットフードにサプリとしてえごまパウダーを加えています。おやつには、チキンふりかけやお魚ふりかけをあげることが多いですよ。
――素材ひとつひとつに気を使われていることが、よくわかります。
本間さん:人間の食事よりも気を配っているかもしれません。キャベツの高騰が話題ですけど、おそらく人間よりもたくさんキャベツを食べていますね(笑)
――「ペットのおやつ手作り工房NAO」として活動しようと思われたのは、どうしてですか?
本間さん:自家栽培しているサツマイモでクッキーを作って、近所のワンちゃんたちに食べてもらったら、すごく好評だったんですよ。そしたら、もうやる気を抑えられなくなっちゃって(笑)
――最初のモニターは、ご近所さんだったんですね。
本間さん:立ち話にお邪魔して「よかったら試食してもらえませんか」ってお願いしたんです。予想以上にワンちゃんの食いつきが良かったから、「もしかして手作りおやつは売れるんじゃないか」と思ったんです。
――人間と同じく、犬も猫も好き嫌いがあったりするんでしょうね。
本間さん:この仕事をはじめてから「アレルギーを持っている犬や猫がこんなにたくさんいるのか」と驚きました。小麦がダメ、野菜全般がダメ、肉も魚もぜんぶダメという子もいます。
――「ペットのおやつ手作り工房NAO」という屋号ですよね。ということは、本間さんが作っているのは、ご飯ではなく「おやつ」?
本間さん:そう、おやつです。でも、食事のサポート食品としても使っていただけますよ。ペットの食欲がない、身体が弱っているときにトッピングすると食いつきが良くなるかもしれません。
――どんなおやつがあるんでしょう?
本間さん:ふりかけ、チップス類、クッキー、ジャーキーなど、20種類以上あります。どれも無添加で保存料も使っていません。けっこう素材の旨みが強いんですよ。ヒューマングレードの設備を使っているわけではないので、自己責任とさせていただいていますが、人間も食べることができます。
――無添加で保存料を使用していないってことは、賞味期限が短いんでしょうか?
本間さん:ジャーキーは、水分を完全に飛ばすため、通常の倍の時間をかけて乾燥調理しています。それで6ヶ月保ちます。真空パックにすることで、1年間保存が効くようにしている商品もありますよ。
――「NAO」さんのおやつは、どこで手に入るんでしょう?
本間さん:イベント会場やネットショッピングでの購入が手軽でしょうか。それから、新潟市内に委託販売をお願いしている店舗が5つほどあります。
――今後の展開としては、どんなことを考えているんでしょう?
本間さん:生後4ヶ月からシニアまで、幅広い世代が楽しめるおやつを揃えたいと思っています。夢のような理想としては、商品を購入できて、お茶を飲みながらお話できる店舗を持ちたいなと思っています。もちろんワンちゃんも連れて来れるようにして。
――では、課題と感じていることは?
本間さん:猫ちゃんの飼い主さんには、「NAO」のことをあまり届けられていないなと思っているんですよね。猫ちゃんたちは、魚のジャーキーやふりかけを喜んで食べるんですけどね。こういったおやつは「犬しか食べられない」と思われがちなのかな。
ペットのおやつ手作り工房NAO