ごみを減らす暮らしを、楽しく。
日々の工夫を発信する、「nico」さん

その他

2026.01.26

text by Ayaka Honma

毎日の暮らしの中で出るごみのことを、どれくらい意識しているでしょうか。当たり前のように捨ててきたものを、立ち止まって見つめ直す。そんな暮らしを続けているのが、今回お話を聞いたnicoさんです。コンポストを取り入れ、様々な工夫をSNSで発信するnicoさんに、ごみを減らす生活をはじめたきっかけや、活動のことなど、いろいろ聞いてきました。新しい年が始まって、もうすぐ1ヶ月。できることからひとつ、地球にやさしい暮らしをはじめてみませんか。

Interview

nico

新潟市在住。コンポストのひとつ「キエーロ」のオフィシャル認定アドバイザー。生活のなかのとあるストレスがきっかけで、ごみを減らす生活をはじめ、その様子をInstagramで発信している。活動の中で立ち上げたオンラインコミュニテイ「コンポスト部」の登録者は800人を超える。味噌や梅干し、へちまスポンジなど、日々自身で何かをつくっており、本人曰く「趣味は暮らし」。

ごみを減らすきっかけは、出産。
生活の中で経験した、挫折。

――まずはnicoさんが、今発信されている、ごみを出さない暮らしをはじめたきっかけを教えてください。

nicoさん:子どもが生まれてから、ごみの量がすごく増えたんです。それまで夫婦ふたりで暮らしていたときとは比べものにならないくらい(笑)。「ひとつの家庭で毎日こんなにゴミが出ちゃうの」って衝撃を受けて、きっと、これは地球環境にもよくないと思って。これから子どもたちに地球をバトンタッチしていくから、少しでも環境にいいことをしたくて、まずは家庭から出るごみを減らすことをはじめました。

 

――最初はどんな工夫をされていたのでしょう。

nicoさん:暮らしのなかの、あらゆることを見直しました。子どものおむつを布に変えたり、ラップの代わりに繰り返し使えるものがないか探したり。このおかげで、ある程度ごみを減らすことができたんです。あとは何が減らせるかなって考えたとき、生ごみが残っているなって。生ごみって実は、家庭から出るごみの4割を占めているんですよ。「これを減らせたらごみが一気に減る! 」と思って、何かいい方法がないか探しはじめました。

 

――生ごみを「減らす」って、なかなか想像ができません……。

nicoさん:私がごみを減らしはじめたときは、まだ全然情報がなかったんです。いろんな方法を調べて、試行錯誤を繰り返していました。そんな中で、新潟市が「段ボールコンポスト」っていうのを販売しているのを見つけて、買ってみたんです。このときはじめて、ごみ箱以外に生ごみを入れるっていうアクションをしました。

 

――コンポストって、そもそもどんなものなんですか?

nicoさんお家から出る生ごみや雑草を、土やボカシの中にいる微生物の力で発酵・分解して、土に還す仕組みです。コンポストにはいろいろ種類があって、「生ごみを手軽に処理したい」「堆肥をつくりたい」など、目的によって使う素材や、容器、やり方が変わってきます。

 

――使いはじめてみて、いかがでしたか?

nicoさん:段ボールコンポストは500円で買えるので、気軽にはじめやすかったし、コンポストに入れるだけで、生ごみを出さなくていいのは本当に快適でした。でも、段ボールのサイズが大きくて、外にも置けなかったのでちょっと不便で(笑)。ごみを入れたら終わりではなく、2、3ヶ月経ったら別の袋に移して熟成させて……と、行程も多かったんです。

 

――はじめての人には、少し難しいかもしれません。

nicoさん:しかも、当時は誰かに聞けるわけでもなくて、これで合っているのか不安だったし、孤独感も感じていました。生ごみがなくなったのはよかったけど、その先が見えなくて。工程もわからないし、面倒くさくなっちゃって、ここで一度挫折したんです。また生ごみを捨てる生活に戻ってしまいました。

 

「ボカシ」を用いた、土を使わないタイプのコンポスト。

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一度あきらめたからこそ、見えたこと。
誰でも気軽に相談できる、居場所づくり。

――挫折を経験した後、どうしてもう一度コンポストを使おうと?

nicoさん:やっぱり、生ごみを捨てたくないなって思ったんです。そんなときに、ごみを減らすための工夫を発信していたInstagramで、「キエーロ」というコンポストを見つけたんですよ。調べてみると、これはずっと生ごみを入れ続けることができるみたいで。私が壁を感じていた、取り出したり熟成させたりっていう行程が一切なかったんです。「これならもう1回チャレンジしてみたい」と思って、「キエーロ」を使いはじめました。

 

――リベンジの結果は……?

nicoさん:他のコンポストも使いながら、徐々にごみを減らすことができました。だいたい2年くらいで生ごみをまったく捨てない生活にシフトすることができたんです。ごみって毎日回収してもらえなくて、ごみ袋や三角コーナーに溜まってしまうじゃないですか。それが私にとってすごくストレスだったんですけど、これなら自分で処理できる。暮らしの革命だなって思いましたね。

 

――生ごみと向き合っていくうちに、環境についての気づきもあったのだとか。

nicoさん:調べていくうちに、生ごみって水分を多く含んでいるから、燃えにくいことを知りました。それを人の手で回収して、燃料を使って燃やして、そこには税金も使われていて。家庭のごみの4割を少しでも減らすことができれば、いろんな面でいいんじゃないかと思って、コンポストのこともInstagramで発信しはじめました。

 

――Instagramでの発信だけでなく、「コンポスト部」というオンラインコミュニティもつくられました。

nicoさん:コンポストの発信をしていくうちに、「やってみたいけど、虫が出るのが怖い」とか「一度チャレンジしてみたけど失敗した」っていう声がすごく多くて。私が挫折したときは、誰に聞けばいいか分からなかったけど、今は逆に情報はたくさんあるから、みんな迷子になっていると感じたんです。そんな人が気軽に質問できるような、大人の部活みたいな場所があったらいいな、と思っていたんですけど、最初はビビってなかなか一歩踏み出せなくて。

 

――その背中を押したのは?

nicoさん:能登の地震があったときにハッとしたんです。「暮らしって、いつ揺るがされるかわからないし、この思いはかたちにしないと、途絶えちゃう」って。それで思い切って立ち上げたら、2日で300人くらい集まってくれたんです。今は北海道から沖縄まで、全国の方が参加してくれています。ここなら、失敗も共有して楽しめるし、孤独になることがないんです。

 

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小さくても、できることから。
環境に優しい生活を、楽しんでほしい。

――nicoさんは、ごみを減らす生活を10年以上されています。続けられている理由はどこにあると思いますか?

nicoさん:自己犠牲がないのが大きいと思います。ごみを減らす行動に、苦しさがないんです。ごみを減らすためにどんな行動ができるか考えることは、自分の生き方を選んでいるような気持ちになって楽しいし、この生活を続けるモチベーションになっていますね。

 

――私もやってみたくなってきました。初心者は何からはじめたらいいのでしょう。

nicoさん:いきなり生ごみをゼロにしたくなるかもしれないんですけど、全然そんな必要はなくて。まずはみかんの皮を1枚、花壇の隅に埋めておくだけでいいんです。それで、2ヶ月後に掘り返してみてください。「あ、こういうことなんだ」って仕組みが分かって楽しくなると思いますよ。

 

――小さな一歩が大切なんですね。

nicoさん:土に埋めることをしなくても、生ごみを乾かしてから捨てるだけでも全然違いますよ。燃えにくい生ごみの水分を飛ばすだけでも立派な一歩だと思っています。100のことをひとりでやろうと思うと大変だけど、100人が1ずつやればよくて、できる範囲でやっていくことが地球にも、自分自身にもいいのかなって。

 

――これからやってみたいことを教えてください。

nicoさん:今、「コンポスト部」がすごく盛り上がっているから、次はリアルでもコンポストのコミュニテイをつくれたらいいなと思っています。以前、小学校の行事に参加させてもらったんです。子どもたちに、実際のコンポストに果物の皮を入れてもらったり、ちょっとしたクイズを出したりしました。こんなふうに、少しずつ広がっていくといいなって思うんです。

 

――地球に優しい未来が見えてきますね。

nicoさん:小さなことでも絶対に意味はあるし、その積み重ねが地球をつくっていくと思っていて。家の庭の土も、エベレストのてっぺんも、マリアナ海溝もつながっているから。ひとりひとりが地球をつくっている一員だって思うと、もっといろんなことが見えてくる気がしています。

 

みかんの皮は油汚れの掃除や、アルコールを入れて洗剤にも。
nicoさんお手製のヘチマスポンジ。

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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