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和紙を使った日本家屋の良さを伝える「新潟からかみ屋」。

ずっと気になっていた「東堀の紙屋」に潜入。

東堀通りに和の雰囲気を醸し出す落ち着いた佇まいの店があります。木の看板には「東堀の紙屋 からかみ屋」という文字。「紙屋」って…何? 実は以前からずっと気になっていたんです。緊張しながらおそるおそる店内に足を踏み入れると、待っていてくれたのは物腰の柔らかい、優しい笑顔の店長・星さん。今回は星さんから「新潟からかみ屋」のこと、詳しく聞いてきました。

 

 

新潟からかみ屋

星 夏子 Natsuko Hoshi

1960年新潟市北区生まれ。銀行勤めの後、結婚して専業主婦に。ご主人は「新潟からかみ屋」の社長。2003年から店を手伝うようになり、現在は店長として店を任されている。趣味は手芸で、刺繍、編み物、洋裁などいろいろこなし、子どもが小さかった頃は服なども自分で作っていた。

 

ふすまをオーダーメイドで作ることができるショールーム。

——今日はよろしくお願いします。こちらのお店はいつ頃からやっているんですか?

星さん:昭和15年に現在の社長の先代が「星紙店」を創業して、それから70年以上続いています。当時はふすま紙、障子紙、表具紙を扱っていたようです。有名な書家の会津八一も書のための紙を買いに来ていたそうですよ。だんだんとふすま紙の需要が増えていったので、昭和44年に先代の社長がインテリア資材の卸問屋「株式会社星邦商会」を設立し、昭和60年に新潟市西区の流通センターに移転しました。その後、東堀の店をリニューアルして「新潟からかみ屋」として、ふすまと和紙のショールームを開設したんです。

 

——実は前から気になっていたんですが、こちらはどんなお店なんですか?

星さん:ふすまをオーダーメイドで作ることができるショールームです。図柄や唐紙の見本帳もたくさん用意してますし、その他にも、ふすまの実物サンプルを30種類用意しています。カタログや見本帳の写真で見るのとは違って、実際の色や質感はもちろん、肌触りもお確かめいただけるんです。図柄なども実物の大きさで見ていただくと、よりスケールを実感していただけると思います。

 

 

——なるほど、ふすま屋さんなわけですね。実際にオーダーメイドするときはどうすればいいんですか?

星さん:最初にお好きな図柄を選んでいただきます。次にベースになる紙を選んでもらいます。それから図柄の色を選んでもらって、最後に刷る位置を決めてもらいます。その後、職人が手刷りをして1点物のふすまができるんです。

 

——1点物、っていいですね。とことで、ふすまの他にも唐紙や和紙の商品が並んでますね。

星さん:はい。ポチ袋、絵葉書、便箋、封筒をはじめ、あまり新潟では見かけない唐紙や和紙を使った商品を選んで置いてます。和紙のクッションなんかもありますよ。よく売れるのは手漉き和紙の名刺とか祝儀袋とかの日常でよく使うものが多いですね。手染めの和紙もいろいろ売ってます。これはちぎり絵、押し花、書道、水墨画の材料に使われてますね。和紙をそのままインテリアとして使う人もいます。

 

たくさんの技法で加飾されるふすまの唐紙。

——唐紙っていうのはどんなものなんですか?

星さん:唐紙っていうのはふすまに貼る加工した紙のことです。鳥の子紙という和紙を使って、木版刷りしたり加飾したりしたものが唐紙になります。唐紙の「唐」は昔の中国のことで、中国から伝わった紙のことなんです。最初は書のために使う紙だったんですけど、あんまり綺麗だったので、平安時代にふすまに貼ったのがはじまりのようです。

 

——加飾、というと…?

星さん:唐紙に独特な味わいや奥深さ、華やかさを加える技法のことです。組み合わせやアレンジが豊富で、いろいろな表現のふすまを作ることができます。例えば金や銀の箔を和紙に撒き散らすことで模様を作り上げる「金銀砂子細工」は、歴史的建造物のふすまによく見られる技法です。「木版雲母(きら)摺り」は雲母という光沢のある鉱物の粉末を混ぜた絵の具で手摺りする技法で、現代建築にもよく馴染みます。このほかにもいろいろな技法があるんですよ。

 

——へえ〜、これまでの日本家屋には唐紙がたくさん使われていたんですね。

星さん:日本の住まいにとっては、唐紙に限らず和紙が欠かせなかったんですよね。湿度の高い日本家屋では、和紙が湿気を吸ってくれていたんです。現代のふすまはベニア板で作られていることが多いですが、昔はふすまの骨組みも和紙で作られていたんです。それから、障子紙にも断熱効果や湿気を防ぐ機能があって、和紙が四季の気候を調節してくれてたんです。

 

時代の流れは仕方がないけど…職人技の素晴らしさや本物の良さを残したい。

——確かに、日本の風土に「紙」はすごく合っているかも。

星さん:ふすまは閉めれば部屋ができるし、開ければ広間になるし、パーテーションとして優れたものですよね。昔は親戚の集まりとか祝言とか、自宅に大人数が集まるシーンもたくさんあったんです。そんなときにさっと引くだけで部屋の大きさを調節できるふすまというのは、とても便利な間仕切りだったんだと思いますね。それから、開け放つと風が通るようにもできていて、換気や通気にも優れていたんじゃないでしょうか。でも現代家屋ではほとんどふすまを使わないようになってしまいましたね。

 

——たしかに和室がある家も減って、ふすまらしいふすまを見なくなりましたね。

星さん:昔の日本家屋では何十枚もふすまを使っていたのに、最近の新築住宅ではふすまがあっても3〜4枚くらいですね。障子がある家も少なくなってしまいました。まあ現代の生活様式の変化とか、広い家を建てられない住宅事情とかもあるんでしょうね。ただ、ふすまや障子といった建具がなくなっていくことで、素晴らしい技術を持った職人さんもいなくなってしまうんですよ。

 

——ああ、そうですね。需要がなくなれば職人さん達の仕事がなくなるということですもんね。

星さん:先ほど紹介した「金銀砂子細工」にしても、ふすまの引き手を作るにしても、高い技術を持った職人がいるんですよ。でも最近では安い製品に押されてしまって、そうした職人が関わる製品というのはどんどん需要がなくなってきてるんです。「新潟からかみ屋」では、そういう手仕事の素晴らしさや本物のよさを残していきたいという思いで、ふすまのショールームをやってるんですよ。ぜひたくさんの人に来ていただいて、職人の技術がいかされたふすまに触れてみてほしいですね。

 

——何か、伝統的な技術を後世に伝えるために取り組んでいることってあるんですか?

星さん:今後は体験ワークショップを定期開催したいですね。砂子細工、木版刷り、雲母摺りといった職人技を多くの人に体験していただいて、そういう技術があることを広く知ってもらいたいと思ってます。

 

 

人々のライフスタイルの変化で、どんどん変わっていく日本の住宅。それによって風土に適した和風建築のよいところや、ふすま職人の仕事が失われていっているのは事実です。そんな職人の技を守り、多くの人に伝えるため、ふすまと和紙を展示販売している「新潟からかみ屋」。みなさんも古くから伝わる日本家屋や和紙の魅力を再発見してみませんか?

 

 

新潟からかみ屋

〒951-8065 新潟県新潟市中央区東堀通5番町440

025-227-3400

11:00-17:30

土曜日曜祝日休

 

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