暖かいキャンドルの火を見ていると、心も暖かくなって落ち着きます。そんなキャンドルを、農機具小屋を改築したアトリエで作っているのが「nimivalo(ニミバロ)」のますやまゆうさん。ドライフラワーを使ったキャンドルをはじめ、様々な作品を作り続け、ワークショップも開いています。今回はますやまさんにキャンドルの魅力についてお話を聞いてきました。
nimivalo
ますやま ゆう Yu Masuyama
1984年新潟市江南区生まれ。大手百貨店のブランド服売り場で接客をやっていた。趣味で作っていたキャンドルがたまたま出店したイベントで飛ぶように完売し、雑貨店に誘われて委託販売をすることになる。2010年頃から「nimivalo」の名でキャンドル作家として活動する。2015年に自宅内にショップをオープンし、2017年には農機具小屋を改築して、教室スペースも充実させリニューアルオープン。趣味はインテリア雑貨集めで、花器を中心に集めている。
——今日はよろしくお願いします。このアトリエって外と中でまったく雰囲気が違いますね。
ますやまさん:元々ここは耕運機とかをしまうための農機具小屋だったんですよ。夫がリフォームしてアトリエを作ってくれて、2017年に移転したんです。壁や床はもちろん、テーブルや棚もハンドメイドなんです。以前は向かいにある自宅の中にアトリエがあったんです。
——なぜ、こっちにアトリエを移転することになったんですか?
ますやまさん:お客さんからワークショップを開いてほしいというリクエストが多くなってきまして、教室を始めることになったんです。でも生活の場になっている自宅にお客さんを入れるのもなんだし、教室もできるスペースを新しく作ろうと思ったんです。
——教室ではどんなキャンドルが作れるんですか?
ますやまさん:一番人気があるのは「ジェルランタン作り」ですね。二重になっているグラスの隙間にドライフラワーを敷き詰めて蝋を流し込んだものです。中のキャンドルに火を灯して楽しめて、キャンドルを交換することで何度でも使うことができます。お客さんにやってもらう作業は、好きなドライフラワーを選んでカットしてもらいグラスの中に敷き詰めるまでで、蝋を流し込むのはコツがいるので私がやります。その他にも「ドライフラワーキャンドル」「五角キャンドル」とかいろんなキャンドルを作っていただけます。
——教室にはどんな人が教わりにくるんですか?
ますやまさん:お母さんが多いですね。子育て中の人もいるし、子育てが終わって自分の時間ができたので何か趣味を持ちたいという人もいます。あと昨年の秋頃からはカップルで来る学生さんも増えましたね。インターネットのポータルサイトを見て来てくれる県外のお客さんも増えました。
——ショップもやっているんですよね?どんな用途でキャンドルを買っていく人が多いんですか?
ますやまさん:プレゼント用に買っていく人が9割でほとんどを占めています。ウエディングの祝電代わりにキャンドルを贈るという人も多いですね。ここで買っていくというよりは、オーダーの相談に来る人が多いんですよ。
——見渡すと随分いろんなタイプのキャンドルがありますよね。何種類くらいのキャンドルを作っているんですか?
ますやまさん:8種類くらいでしょうか。「ビラーキャンドル」は石油由来の白い蝋にキャンドル用顔料で着色して作るものです。模様を入れたり色のグラデーションをつけたりすることもできます。ヤシの葉由来の蝋を使って作る「パームワックスキャンドル」も人気です。キラキラした結晶状のものが表面に浮かび上がり、白っぽくて淡いイメージに仕上がります。
——このへんはわりとキャンドルっぽいキャンドルですよね。こちらのドライフラワーが入っているのはなんですか?
ますやまさん:「ドライフラワーキャンドル」です。ドライフラワーをワックスで固めて作るキャンドルですね。火をつけると、中のドライフラワーが明かりで浮かび上がって幻想的な美しさを楽しめます。「3Dドライフラワーキャンドル」は「ドライフラワーキャンドル」の立体版で、キャンドルの中の葉っぱが蝋の上に浮き上がって、凹凸のあるものになっています。
——ドライフラワーの雰囲気がキャンドルによく合いますね。中にはキャンドルっぽくない作品もあるんですね。
ますやまさん:「ワックスフレーム」や「ワックスサシェ」とかインテリアとして楽しめるものも作ってますね。「ワックスフレーム」は木製フレームに蝋を流し入れて、ドライフラワー、プリザードフラワーを置いて絵画のように楽しむことができる作品です。「ワックスサシェ」はフレグランスオイルを使っていて、玄関やトイレに飾ることで見た目だけではなく香りも楽しんでいただけます。
——キャンドルを作っていて難しいと思う時はあるんですか?
ますやまさん:キャンドルは色の出し方が難しいですね。使う蝋によってそれぞれ特性が違うので、溶かした時の状態と固まった時の状態で色が変わってくるんです。あと、ジェルや蝋を流し込む作業の時には最適な温度を見つけるのが難しいんです。温度が低いと流し込んでる途中で固まってしまうし、温度が高過ぎると気泡が出ちゃったりするので、温度には気をつけています。
——キャンドルの溶ける特性が難しさに繋がってるんですね。逆にキャンドル作りの喜びはどんなところにありますか?
ますやまさん:自分の好みにぴったりで、手元に置いておきたいようなものができた時はうれしいですね。その作品を人からも「すごく好き」って言っていただけると、さらにうれしいです。
——ますやまさんは、どうしてキャンドル作りを始めたんですか?
ますやまさん:私はもともとインテリア雑貨が好きなんです。中でもキャンドルを集めていて、たまに火を灯したりして楽しんでいました。そのうち自分でも作ってみたくなって、キャンドル作りの本を買って読みながら作ってみたんですよ。最初は紙コップやお菓子の空き箱といった身近な材料を使って作っていましたが、そのうちハマってしまってモールドとかの材料や道具を揃えていったんです。そうして作ったキャンドルを友達とかにあげたりして、喜んでもらえるのが嬉しかったんです。
——それがどうしてキャンドル作家として始めることになったんですか?
ますやまさん:10年くらい前に夫から勧められて出店したハンドメイドのイベントがきっかけです。キャンドルを販売したらすごく売れて完売したんですよね。それが励みになったんです。あと、同じ出店者だった方のショップで委託販売してもらえることになり、少しずつ作家としてやっていくことになった感じです。
——初出店で完売ってすごいじゃないですか!ところでキャンドル作家の前はどんな仕事をしていたんですか?
ますやまさん:大手百貨店のブランド服売り場で接客業をやってました。その経験は、ショップやイベント出店で接客したり、お客さんのオーダーをお聞きしたり、教室で生徒さんの要望を聞いたりするときに生かされてるように思います。
——ますやまさんはどんなことにこだわってキャンドル作りをしているんですか?
ますやまさん:大前提として「自分が家に飾りたいものかどうか」という基準があるんです。自分が飾りたいと思えないものは作りたくないですからね(笑)。ワークショップで作ってもらうものについては、特にそういうものを選んでいます。
——今後挑戦してみたいことって何かありますか?
ますやまさん:材料から作ってみたいというのは、ずっと思ってきたんですよ。ドライフラワーやハーブを自分で栽培してみたいです。自分で育てることで愛情も芽生えますし、より一層大切に使うように意識も変わると思うんです。そのためにハーブの勉強もしようと思ってます。
農機具小屋だったとは思えないようなお洒落なスペースを、アトリエ、ギャラリー、ショップ、教室として使っている「nimivalo」のますやまさん。様々なキャンドルやドライフラワーに囲まれた空間は、日本ではないどこか外国のようでした。そんなアトリエで生み出されるキャンドルは、ドライフラワーの雰囲気ともマッチして幻想的な美しさを演出してくれます。何か特別な日には、そんなキャンドルを大切な人に贈ってみてはいかがでしょうか?
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〒950-0101 新潟県新潟市江南区江口4063
050-1082-3806
10:30-15:30
不定休