新潟市秋葉区の閑静な住宅街・荻川エリアは、いつのまにかラーメン店が何軒か建ち並び、ちょっとしたラーメンストリートのようになりつつあります。そんななか、今年5月に「Noodleいたば」というお店が新しくオープンしました。オープンして間もないお店にお邪魔して、店主の板場さんにお店をはじめたいきさつやこだわりを聞いてきました。
Noodleいたば
板場 優児 Yuji Itaba
1988年十日町市生まれ。父親が経営する「手打ちラーメン万太郎」で働いた後、2011年から和食居酒屋に勤め、2013年に新潟店の店長になる。2023年に居酒屋を退職していくつかのラーメン店で修業を積み、2024年に新潟市秋葉区で「Noodleいたば」をオープン。趣味はキャンプで、お気に入りのキャンプ場は「ミズベリング三条」と「ロイヤル胎内パークホテルキャンプ場」。
——オープンおめでとうございます。板場さんはいつから飲食業に関わってきたんでしょうか?
板場さん:僕の父が地元の十日町で「手打ちラーメン万太郎」という店をやっているので、学校を出てからはそこを手伝っていたんです。
——お父さんもラーメン屋さんなんですね。
板場さん:そもそも、祖父母が津南で食堂をやっていたんですよ。叔父も食堂をやっていますし、僕の兄も弟もラーメンに携わっているんです。
——おおっ、ラーメン一族なんですね。板場さんはずっと「手打ちラーメン万太郎」で働いてきたんですか?
板場さん:ラーメン以外の料理を学びたいと思ったので、旅館で調理の仕事をしたかったんです。でも旅館の求人がなかなか見つからなかったので、最初は六日町の和食居酒屋で働きました。
——六日町から新潟に来たのはどうしてなんでしょう?
板場さん:2013年にオープンした新潟店で働くことになったんです。新潟店に移って半年ほどで僕が店長をやることになりました。どうして立候補してしまったのか、後でめちゃめちゃ後悔することになるんですけどね(笑)
——自ら立候補されたんですね。
板場さん:そうなんです。周りにやりそうなスタッフがいなかったので、つい立候補してしまったんです。思っていた以上に大変でしたけど、店の立て直しに取り組んできました。
——独立してラーメン店をはじめることは、以前から考えていたんですか?
板場さん:30歳くらいまでには独立したいと思っていたんですけど、まだ自分に独立するだけの力がないと思ったので、2年のばしたんです。そしたら今度はコロナ禍がはじまってしまって、そんな大変なタイミングで居酒屋を辞めるわけにもいかないので、落ち着くまでは恩返しのつもりで働いてきました。
——じゃあ、ようやく独立することができたんですね。最初から居酒屋ではなくラーメン店をやるつもりでいたんでしょうか。
板場さん:居酒屋を辞めてからは2〜3軒のラーメン店を掛け持ちして働いていたので、そこで関わった方々の影響は大きかったんじゃないでしょうか。
——オープンにあたって、どんなお店にしたいと思いました?
板場さん:自分が楽しくなければ良いお店を作ることはできないと思ったので、まずは自分が楽しく仕事をしたいと思いましたね。
——確かにその通りですよね。では、いよいよラーメンをいただいてみたいと思います。想像していたより太い麺なんですね。
板場さん:麺から作っていったラーメンなんですよ。僕の作りたい麺のイメージを伝えて父に製麺してもらったんですけど、一発で理想的な麺が出来上がっちゃったんです。全粒粉を使った杵打ち麺なので、弾力のあるモチモチした食感になっていると思います。麺が美味しいだけのラーメンだと父の手柄になってしまうから、負けないようにスープ作りを頑張りました(笑)
——縮れの口当たりもいいですね。この麺に合わせてスープやトッピングを考えていったんですね。
板場さん:せっかく美味しい食材が豊富な新潟で店をはじめるんだったら、地元の食材にこだわろうと決めていました。なかでも居酒屋時代に使っていた新潟地鶏や妻有ポークは、ぜひラーメンのスープやトッピングに使いたいと考えていたんです。
——ラーメンを開発する上で、いちばん苦労したのはどんなところですか?
板場さん:返しに使う醤油ですね。もっちりした太麺に負けない厚みがありながら、全粒粉の香りを邪魔しない繊細さを併せ持ったスープにしたかったんです。でも、なかなかハマる醤油が見つからなかったので、全国から30種類もの醤油を仕入れて試作を繰り返し、やっと「これだ」と思える醤油に出会いました。
——妥協のなさを感じますね。
板場さん:こだわりつつも全体のバランスが取ることがいちばん大切なんですよね。僕は昔から人間関係でも調整役になることが多くて、バランスを取るのは得意だったんですよ。
——バランス感覚には自信があると(笑)。じゃあ、醤油ラーメンはイチオシの自信作なんですね。
板場さん:ところが、醤油ラーメンよりも塩ラーメンの方が人気あるんですよ(笑)。こちらは貝をメインに使って、それを新潟地鶏で支えているというスープなんです。塩ダレには4種類の塩をブレンドしています。
——ラーメン以外の人気メニューはありますか?
板場さん:肉焼売ですね。妻有ポークを使っていて、弾力のある肉感やジューシーな肉汁が自慢です。
——餃子じゃなくて焼売っていうのも珍しいです。メニューの価格が相場よりも高めなのは、やっぱり原料費の高騰が原因ですか?
板場さん:美味しいものを作りたいから良い食材を使っていて、良い食材を使っているから原価が高くなるわけですよね。そこを無理して安くすれば、お客様はたくさん来てくれると思いますけど、経営には歪みが出てきて長く続けられないと思うんです。良いものは自信を持って提供していきたいと思っています。
——なるほど。では、これからの夢があったら教えてください。
板場さん:荻川でお店をはじめてみて、この町の穏やかな雰囲気がとても気に入っているんです。だから荻川にもっと店を作って、町を盛り上げるお手伝いができたら良いなと思っています。
Noodleいたば
新潟市秋葉区車場4-12-58 コスモヴィレッジ
11:00-14:00/17:30-20:00(月曜は昼営業のみ)
火曜休