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レアな食材でラーメンを作る「まぐろ節中華そば 温知」の挑戦。

昨年の12月、新潟空港近くに誕生したばかりの「まぐろ節中華そば 温知(おんち)」は、その名の通り「まぐろ節」を使ったラーメンが特徴です。ラーメンの食材としてはなかなか珍しいものですが、どうして「まぐろ節」を使おうと思ったのでしょうか。そのこだわりや苦労をオーナーの岡さんに聞いてきました。

 

 

まぐろ節中華そば 温知

岡 宏樹 Hiroki Oka

1984年新潟市北区生まれ。東京のラーメン店、ハワイアンレストランで経験を積み、正社員として就職したスペインバルでは店長を務める。イギリスに渡って文化を学び、新潟に戻ってラーメン店での修業を経て、2021年12月に独立。「まぐろ節中華そば 温知」をオープンする。

 

洋食で培ったノウハウを生かしたラーメン店。

——岡さんはずっとラーメンの仕事をしてきたんですか?

岡さん:東京でのフリーター時代にラーメン店で働きましたが、チェーン店だったこともあり、調理はあまり経験していなかったんです。その後はずっと洋食をやってきました。

 

——どうして洋食をやることになったんですか?

岡さん:六本木ヒルズにあったハワイアンレストランでアルバイトしていたとき、色鮮やかで見た目が綺麗な料理に感動したのがきっかけでした。料理についてもそのお店で丁寧に教えてもらえて、作ることの面白さに目覚めたのも大きかったですね。自分の作業が料理にどう影響するのかを、きちんと理論的に教えてくれたんですよ。そこでの経験は今も生かされていると思います。

 

——いつか自分の店をはじめようと思ったのはいつからですか?

岡さん:そのハワイアンレストランに勤めたことで「料理の道でやっていこう」と決意して、次はもっと真剣に料理に向き合いたくて、正社員としてスペインバルに就職したんです。「自分で店をやりたい」という目標ができたのはその頃からですね。当時は、何事もそのための勉強だと思って働いていました。僕はまわりのスタッフより料理のスタートが遅かったので、その分頑張って仕事を覚えましたね。いつも終電ギリギリまで仕事をして、駅まで走って帰っていました。

 

 

——でも、そこまで頑張ったのに、どうして洋食店じゃなくラーメン店を……?

岡さん:もともと自分のお店を持つなら新潟でと考えていたのですが、ずっとどんな業態で開業するべきなのかを考えていました。それで、僕が新潟で洋食の店をはじめるのは難しいと思ったんです。

 

——え? それはどうしてなんですか?

岡さん:新潟って食材に恵まれているから家庭料理のレベルが高くて、家でいくらでも美味しいものが食べられるんですよ。だから、外食をすることが少ないと思うんです。僕は他の料理人と比べたらまだまだ経験が浅いので、ベテランの多い洋食にこだわるよりも、他のジャンルで勝負しようと思いました。

 

——なるほど。それでラーメンを。

岡さん:東京にいる10年間、帰省するたびに新潟市内の飲食店の移り変わりを見てきたなかで、ラーメン店が圧倒的に多いことに気がついたんです。だから、洋食で勉強してきたノウハウを生かしたラーメンを作ってみようと思って、まずは新潟のラーメン店で働きながら勉強することにしました。

 

お客さんの反応がイマイチだった、オープン初日。

——独立開業のときは、お店は順調にオープンしたんですか?

岡さん:なかなかいい物件が見つからなくて、1年間くらい草刈りのアルバイトなどをしていました。早く開店準備をしたいのに、できないことがもどかしかったですね。その間も自宅でスープの開発は続けていました。

 

——その開発の末、行き着いたのがまぐろ節のスープだったんですね。

岡さん:はい。低価格では大手のラーメン店にかないませんし、どこの店でもやっているようなことはやりたくなかったんです。あご煮干しなども試したのですが、、どうしても新鮮さに欠けるような気がして、いろいろ調べているうちにまぐろ節にたどり着きました。

 

——お客さんの反響はいかがでしたか?

岡さん:グランドオープンの前に2日間プレオープンをしたんですが、お客様の反応がイマイチだったんです(笑)。厨房から様子を見ていると、あきらかにピンと来ていない表情をしているんですよね……。プレオープン初日に「あ、これは違ったんだな」と気づきました。試行錯誤の末の完成品として提供したラーメンでしたが、そこからまたやり直しをすることになったんです。

 

 

——ところで、それって何が原因だったんですか?

岡さん:いろいろな食材が調和した、複雑な味のスープを目指したんですけど、それが受け入れられなかったようです。先入観のない子どもには好評だったんですけど、いろいろなものを食べてきた大人には受けなかったんですよ。そこで少しずつ他の食材の味を抑えて、まぐろ節の味をぐっと引き立てるように改良していきました。

 

——たしかに、今はまぐろ節の風味やうま味が強く出ているように思います。でも、そんなに油っこくなくて食べやすいですね。

岡さん:「おじいちゃん、おばあちゃんが孫を連れてこられる店」をコンセプトにしているので、子どもからご年配の方にも抵抗なく食べていただけるラーメンを目指しました。でもスープの濃度や香味油の使用量を抑えてる上に、たくさんのトッピングが載るのでスープが冷めやすかったんです。。だから最初は「ぬるい」と言われることが多かったんですよ。今は丼を温める温度や提供までのスピードを意識して、温度管理に気をつけています。

 

——それでチャーシューもあっさりした肩ロースのチャーシューだったり、鶏チャーシューなんですね。麺も特徴的な気がします。

岡さん:どこにでもあるような麺にはしたくなかったので、お年寄りにも抵抗なく食べられる「ふのりそば」をイメージした自家製麺にしました。あくまでイメージなのでふのりは入っていませんが、スープに合わせて麺の加水率を低くしてあります。

 

友情、人情……まわりの人たちのありがたみを知る。

——まず3ヶ月、お店をやってみていかがですか?

岡さん:ラーメンを改良してきた甲斐もあって、お客様も順調に増えてきていますね。特にご年配やファミリーの常連様も少しずつ(ではありますが)増えてきていますので、自分の目指すお店になってきていると思います。

 

 

——おお、それはうれしいですね。

岡さん:これも、まわりの人たちが協力してくれるおかげだと思っています。今までは、全ては自分次第だとあえて斜に構えて物事を見るスタンスをとってきましたが、実際に自分でお店をはじめてみて、自分を気にかけてくれる人たちの大切さを再認識しました。

 

——たとえば、どんな?

岡さん:人手不足のときは料理経験もない仲間が仕込を手伝ってくれたり、友達が僕の知らない料理以外の知識や情報を教えてくれたり、家族を連れて食べに来てくれたりするんです。一緒に店をやっている店長も、実は東京のお店で一緒に働いていた同僚なのですが、わざわざ家族共々新潟に引っ越してきてくれたんですよ。本当に人には恵まれていると思って感謝しています。

 

——それは岡さんの人柄によるところなんでしょうね。今後はどんなお店にしていきたいですか?

岡さん:いつになるかわかりませんが、バリアフリーやユニバーサルデザインのお店を経営できればと考えています。ときに国民食とも言われるラーメンを、どなたでも気兼ねなく食べていただける環境を作りたいんです。あとお客様に満足していただくのはもちろん、一緒に働いてくれている従業員たちが報われるような職場にしたいです。飲食業界ってハードな上に労働条件が悪いから、正直言って僕は人にこの業界で働くことを勧めることができないんです(笑)。だから、自信を持って勧めることができる仕事になるよう、環境を改善していきたいんですよね。

 

 

小上がりも充実している広い店内は、ゆったりとラーメンを楽しむことができます。そのラーメンは、油っこさがなく、まぐろの風味やうま味が際立った食べやすいラーメンで、誰でも安心して楽しめます。気になる方はぜひ立ち寄ってみてください。店名の通り、温かい気持ちになれると思いますよ。

 

 

まぐろ節中華そば 温知

新潟市東区太平2-2-1

025-363-8833

11:00-15:20(L.O.15:00)/17:30-21:20(L.O.21:00)

水曜休

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