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本場長崎の「唐灰汁麺」を使ったちゃんぽんが食べられる「和華蘭亭」。

本場長崎のちゃんぽん麺には、限られた製麺所でしか作られない「唐灰汁麺(とうあくめん)」が使われているのだそう。この特別な麺を使った長崎ちゃんぽんを味わえるのが、去年の10月新潟市にオープンした「和華蘭亭(わからんてい)」です。オーナーの山島さんは70歳を過ぎてからお店をはじめ、去年の春に埼玉から新潟へ移住したというパワフルな方。今回はそんな山島さんに、お店のこだわりやこれまでのことなど、いろいろとお話を聞いてきました。

 

和華蘭亭

山島 繁幸 Shigeyuki Yamashima

1943年岐阜県生まれ。岐阜で公務員として働き、57歳のときに早期退職。その後、長崎の名産品を物産展などで販売する仕事を経験。長崎の名店「共楽園」で食べたちゃんぽん麺の味に感動し、2015年に埼玉県で「和華蘭亭」をはじめる。2021年の春に新潟へ移住し、同年10月に「和華蘭亭」を再スタート。

 

長崎の麺、素材、調味料にこだわった本場の味。

——新潟ではちゃんぽん麺を食べられるお店が少ないので、今日は楽しみにしてきました。まずは、お店について教えてください。

山島さん:長崎の限られた製麺所でしか作られていない「唐灰汁麺」を使ったちゃんぽん麺と皿うどんを看板メニューにしています。長崎の調味料と食材も使っていて、本場の伝統の味を守ってやっています。

 

——その「唐灰汁麺」ってどんな麺なのですか?

山島さん:ラーメンを作るとき、一般的には「かんすい」が使われますよね。でも長崎のちゃんぽん麺には「唐灰汁」という、かんすいに似ているけど少し成分が違う材料が使われます。その「唐灰汁」を使用した麺が「唐灰汁麺」です。長崎以外にはほとんど流通していないんですよ。

 

 

——それは貴重な麺ですね。他にはどんなことにこだわっているんでしょう?

山島さん:ちゃんぽん麺を豚骨スープで作るお店もありますけど、ここでは鶏ガラだけで炊いた白湯スープを使っています。それが伝統的な作り方なんです。その白湯スープに長崎の醤油と塩で味をつけて、野菜や海鮮類、豚肉を入れます。具材の美味しさが出たスープで煮込む麺は美味しいですよ。

 

——う〜ん。想像しただけで食べたくなります……。

山島さん:それともうひとつ意識したことは店内のつくりです。ちゃんぽん麺とラーメンとでは作る工程が大きく違います。新潟の皆さんにその違いを知ってもらいたくて、カウンターから調理場がよく見えるようにしたんです。

 

 

——ちゃんぽん、皿うどんの他にも、焼きそばや「ちゃぽりたん」というメニューもありますね。

山島さん:どちらも「唐灰汁麺」を使ったアレンジメニューです。焼きそばには、長崎のウスターソースを使っています。「ちゃぽりたん」は「唐灰汁麺」をナポリタン風にした僕のオリジナルメニュー。けっこう話題になっているみたいで、テレビの取材も来ました。

 

——ところで、「和華蘭亭」という店名にはどんな意味が込められているんでしょう?

山島さん:長崎料理のことを「和華蘭料理」と言うんですよ。日本(和)、中国(華)、オランダ(蘭)との交流の中で育まれた料理という意味で。長崎を代表する卓袱料理(しっぽくりょうり)も「和華蘭料理」ですね。そこからヒントをもらって「和華蘭亭」と名付けたんです。もうひとつ「和華蘭軒(わからんけん)」も頭に浮かびましたけど、長崎では「知らない」を方言で「分からんけん」と言います。だから「和華蘭軒(わからんけん)」はやめました(笑)

 

老後を愉快に生きたい。72歳ではじめたちゃんぽん麺のお店。

——山島さんは岐阜県のご出身なんですね。てっきり長崎の方かと。

山島さん:岐阜の役所に勤めていた頃から、仕事の関係で長崎市とのつながりがあったんです。だから、岐阜生まれではありますが、長崎との関係は深いですよ。役所を早期退職してから、長崎市の依頼で長崎の名産品を販売する仕事をさせてもらっていたくらい。

 

——そんなこともされていたんですね。でも、どうしてちゃんぽん麺のお店をはじめようと?

山島さん:役所を退職してから、長崎の有名店「共楽園」でちゃんぽん麺を食べて、「唐灰汁麺」のあまりの美味しさに感動したんです。そのときは、自分で店をやろうなんてまったく考えていませんでした。でもしばらくして、長崎のちゃんぽん麺と皿うどんを真剣に教えてもらって「唐灰汁麺」の美味しさを広めたい、と思うようになったんです。それで「共楽園」で勉強させてもらって、埼玉で「和華蘭亭」をはじめたのが2015年ですね。

 

 

——まったく違うことにチャレンジされたんですね。そのときはどんな気持ちだったんですか?

山島さん:「老後を愉快に生きたい」「お客さんに喜んでもらいたい」という気持ちだけでしたね。「お金儲けをしてやろう」とは思っていなかったな。

 

——修業は大変だったのでは。

山島さん:修業という感じじゃなくて、フランクに勉強させてもらいました。「共楽園」のオーナーの動きをじっと観察して、それを真似て特訓したんです。ところがひとりでちゃんぽん麺を作ってみても「共楽園」の味にならないんですよ。そのことをオーナーに相談したら、わざわざ埼玉まで教えに来てくれて。そのおかげで「和華蘭亭は本場長崎の味だ」と、都内からもお客さんが来てくれるようになりました。最初の店を始めたのは72歳のときだったから、「共楽園」のオーナーには「山島さんにはびっくりさせられた」と言われました(笑)

 

長崎の伝統を継承するために。

——新潟のお店は去年の10月にオープンしたそうですね。新潟にいらっしゃったのはどんな経緯ですか?

山島さん:去年の春、新潟に来て、街の美しさと清潔感、住んでいる方の人柄が素晴らしいと感じたんです。ちょうどその頃、新型コロナウイルスが関東で猛威を振るっていましたし、親戚が新潟大学へ進学したこともあって、「終の住処は新潟にしよう」と決めました。聞けば、市内にお堀があった頃に植えられた柳は長崎経由だったという話もあるようですね。そんな歴史にも縁を感じました。

 

——新潟で新しくチャレンジしようと思っていることはあるんですか?

山島さん:「これが本当の長崎のちゃんぽんだ」と言える伝統の味を受け継いでくれる人を育てたいですね。それをどうしても実現したい。後継者が楽しく料理の世界で頑張ってくれて、そして長崎のことを語り継いでくれたら、と夢見ています。

 

 

 

和華蘭亭

新潟市中央区西堀通8-1575

TEL:025-225-1141

営業時間:11:00〜15:00、17:00〜21:00

定休日:月曜日

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