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家族みんなが美味しく食べられるパン、「小さなパン屋さん つくし」。

新潟市西区にある「小さなパン屋さん つくし」。ふたりそろってパン職人だというご夫婦が2018年にはじめたお店です。店内にはたくさんの種類のパンがずらりと並び、なかでも、ふわふわで口溶けのいい「ラウンドパン」が人気なんだとか。今回は店長の田邉さんに、「つくし」をはじめるまでの経緯や、作っているパンへのこだわりについていろいろとお話を聞いてきました。

 

 

小さなパン屋さん つくし

田邉 優 Yuu Tanabe

1990年新発田市生まれ。パン屋を営んでいた祖父の影響で、幼い頃からパン屋になることを夢見て育つ。高校卒業後、新潟県内の製菓・調理専門学校で製菓衛生師と調理師の資格を取得。新潟県内のパン屋で3年半、静岡のパン屋で4年間働いたのち新潟に戻り、28歳のときに奥さんと一緒に「小さなパン屋さん つくし」をオープン。他のお店に行くとよく買うのはカレーパン。

 

パン屋さんになることが、小学生の頃から夢だった。

――田邉さんは、やっぱり昔からパンが好きだったんですか?

田邉さん:好きでした。僕の母方の祖父が新発田でパン屋さんをやっていたんです。今は閉めちゃったんですけど。僕はもともと小食でご飯食べなくて親も苦労したらしいんですけど、おじいちゃんの作ったパンは好きで、たくさん食べていたらしいんです。

 

――じゃあパン屋さんを目指そうと思ったのもおじいさんの影響があったわけですね。

田邉さん:そうですね。母方のおじいちゃんだったので、子どものころは預けられることが多くて、そのときに作っている姿を見ていました。「美味しいパンを作れるのってすごいな」と思って小学生のときからずっと憧れていて。卒業文書にも「パン屋さんになりたい」って書いて、おかげさまでその夢は叶えられました(笑)

 

 

――パン作りはどこで勉強されたんですか?

田邉さん:高校を卒業してからは製菓・調理専門学校に入学して3年間勉強しました。それからは新潟県内のパン屋さんで3年半お世話になった後、縁あって静岡のパン屋さん店に移って4年くらい働きました。28歳のときにこっちへ帰ってきて、独立したという流れです。

 

――お店は奥さんと一緒にはじめたそうですね。奥さんもパン屋さんで働かれていたんでしょうか?

田邉さん:そうです。新潟にいるときに、県内の別のパン屋さんで働いていた妻と知り合って。静岡にも一緒に行ったんですけど、子どもができたのと独立するタイミングがかぶって、新潟に帰ってきました。今年の11月でオープンして4年になりますね。

 

 

――パン屋さんって早起きだったり、力仕事が多かったり、大変なことがたくさんあると思うんですけど、「パン屋さんになる」っていう夢を諦めようと思ったことはなかったんですか?

田邉さん:「辛い」とか「大変」っていうのはあるけど、「やめたい」っていう気持ちになったことはなくて。別に仕事は好きだったし、お客さんにパンを提供できることが楽しかったから、「美味しかったよ」っていうそのひとことで大変さもチャラになるのかなって思っていました。

 

――本当にパン屋さんのお仕事が好きだったんですね。

田邉さん:パン屋の仕事は基本的に同じことの繰り返しなんですよ。生地の変化や環境の変化を見極めて「今日できなかったことは明日ちょっと変えてやってみよう」ってやってみるとどんどんできていくんで。「明日はこの時間までにもうちょっと作っておけたらいいな」とか、自分の中で戦いながらやるというか。そうやってモチベーションを上げながらやっています。

 

 

――すごくストイックなんですね(笑)

田邉さん:よくそう言われるんですよ(笑)。だけどやっぱり目当てのパンがなかったら残念じゃないですか。そういうお客さんをひとりでも減らしたくて。だから「つらい」「きつい」っていうのはグッとこらえて、家に帰って子どもに「おかえり!」って言ってもらえれば僕はそれでいいな(笑)

 

――素敵な考え方だと思います。

田邉さん:あとは妻の存在が大きいかな。パン作りに対して理解があるので、「これ以上はできない」っていうところも分かるし、「もっとできる」っていうところも分かるし。パン屋のつらいところもお互いに知っている分フォローし合えるんですよね。

 

家族3世代で一緒に食べられるパンを作りたい。

――いろんな種類のパンが並んでいますね。やっぱり1番人気は「メープルラウンド」でしょうか?

田邉さん:そうです。オープン当初から置いているパンで、ふわふわで口溶けがいいんですよ。「子どもが半分全部食べちゃった」とか、お客さんから聞くとすごく嬉しいですね。このあいだうちの2歳の息子もかじりついていました(笑)

 

――かわいい(笑)。メロンパンもすごく人気だって聞きました。

田邉さん:メロンパンは強力粉と米粉で生地を作っているので、歯切れがすごくいいんです。上のクッキー生地と中のパンが一緒に食べて、すーっときえていくようなメロンパンを目指して作りました。

 

 

――「つくし」では柔らかいパンを作るようにしているんでしょうか?

田邉さん:はい。うちのパンのコンセプトとして、口溶けがよくて柔らかいパンをメインで作っています。年配の方でも食べられるように、フランスパンも柔らかめなんです。おばあちゃんおじいちゃんがフランスパンを1本買っていくんですよ。

 

――それは他のパン屋さんじゃなかなか見ない光景ですね。

田邉さん:おじいちゃんと孫とお父さんお母さんの3世代で食卓を囲んで、みんなで一緒のものが食べられたらいいなと思っていて。孫が「これおいしいから食べて」って言って、ちぎっておじいちゃんにあげるとか。そういう家庭の中の幸せを作るパンを作れるようにやっています。

 

 

――最後に、田邉さんのこれからの夢や目標を教えてください。

田邉さん:「明日も『つくし』のパンが食べたいわ」って言ってもらえるようなパンを作り続けて、お客さんに「ここに住んでいてよかったな」って思ってもらえるような店でありたいです。それから自分がパンを作っている姿を見て、買いに来た子どもが「将来はパン屋さんになりたいな」って思ってくれたら嬉しいです。あとは自分の子どもをしっかり育てて、奥さんにも楽をさせて、身体を壊さないようにやっていけたらいいかな。

 

 

 

小さなパン屋さん つくし

新潟市西区五十嵐中島2丁目30-3

025-211-4823

火-日曜 8:00-18:00/ 木曜 8:00-15:00

月曜定休(その他月1回不定休あり)

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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