今年11月、西蒲区松野尾にオープンした「pentoito」。生活を彩る様々な雑貨を販売するこちらのお店を運営しているのが、タカハシさんご夫婦です。お店に置かれているイラスト雑貨はご主人のスグルさんが、布小物は奥さんのマミさんが手掛けています。今回はおふたりにお店ができるまでの経緯や、お店への思いなどいろいろ伺ってきました。
Pentoito
タカハシ マミ Mami Takahashi
1994年富山県生まれ。長岡造形大学プロダクトデザイン学科ファッションコース卒業。
Pentoito
タカハシ スグル Suguru Takahashi
1993年長岡市生まれ。長岡造形大学プロダクトデザイン学科リビングデザインコース卒業。
――おふたりはお店をオープンする前はどんなことをされていたんですか?
マミさん:大学を卒業してからは富山で就職して、靴下の企画・デザインの仕事を3年間していました。その会社はデザインから編み機の操作までいろいろ学べる会社でした。その後は結婚を機に新潟に戻ってきました。大学2年生くらいのときから「お店を持ちたい」っていう気持ちがずっとあって、それを常に意識しながら生活をしていました。
スグルさん:僕は大学時代、リビングデザインコースだったんですけど、卒業してからは違うジャンルで活動することが多くて、今はイラストや企業デザインなどのお仕事をしています。特に小さい頃から好きだった絵を描くことを専門でやっています。
――じゃあお店はマミさんの提案で開くことになった感じですか?
マミさん:私発信ですね。大学生の頃はひとりでもやろうと思っていましたし、就職してからも独立の夢は常に持っていました。スグルと結婚することになってお店を持ちたいことを伝えたら、「じゃあ俺もやる」って言ってくれたので、ふたりでのお店作りがスタートしました。
スグルさん:僕は「絶対にこうなりたい」っていう先の目標みたいなものがあんまりなくて、目の前のことをひとつひとつやっていった結果、今の状態があるっていう感じなんですよ。同じ目標に向かっていくっていうのは賛成だったし、お店を持つことは自分のやりたいことや好きなことの延長でもありました。「お互い得意なところも違うから、かけ合わせてできたらいいね」って。
――店名の由来はどんなところからですか?
スグルさん:僕はペンを扱って絵を描いたりデザインするのが専門で、マミは糸で縫物をするのを専門にしています。なのでお互いの得意技の部分をとって「ペン」と「糸」にしました。
――お店のコンセプトはありますか?
マミさん:自分のために使う時間や、身近な誰かのために使う時間を大切にしてもらいたい、そんな思いです。お店はやりながら変化させていこうかなとは思っているんですけど、くつろげる空間があって、ゆくゆくは私たちの好きなコーヒーとかお茶、お菓子を出したいですね。
スグルさん:僕は何をするにしても誰かがリアクションしてくれるとか、喜んでくれるのがすごく嬉しいんです。幼稚園のときに粘土で作ったウルトラマンをまわりが褒めてくれたり、喜んでくれたのがすごい記憶に残っています。振り返ってみると、やっぱりそこが初期衝動というか、そういうところからはじまっているように思うんですよ。お店も同じで、自分たちが好きでかたちにしたものをまわりの人が喜んでくれるといいし、そんな景色をいちばん作りたいなって思っています。自分たちがやりたいことをやるっていうのは大事ですけど、その先に喜んでくれる人がいるっていうのを同じくらい大切にしています。
――お店の方向性でぶつかったりすることはないですか?
スグルさん:幸いにも趣味が似ているんですよね。僕は「ここは絶対にこうしたい」みたいなこだわりはないので、「まぁいい感じになったらそれでいいね」って感じなんです。
マミさん:だからぶつかることはほとんどないですね。でも趣味とか好きなものは似ていても、性格のタイプは全然違うんですよ。スグルは新しいことをするのに慎重になるタイプだけど、私は新しいことが好きだったり、スグルは人見知りだけど私は全然人見知りしないタイプだったり。うまくバランスが取れているんだと思います。
――この場所はどうやって見つけたんですか?
スグルさん:最初は長岡で考えていました。お互い長岡の大学で出会ったのもあるし、僕の地元でもあるから思い入れが強かったんです。雑貨、喫茶、ギャラリーのスペースを最低条件で探したんですけど、これを実現するにはそれなりの広さだったり駐車場が必要になってくるので、なかなか条件に合う物件に出会えなくて。
――そこで場所を変えて探しはじめたわけですね。
スグルさん:今度は新潟市内で探しはじめました。去年末くらいに西区でいい物件と出会えたのですが、その物件が人気ですぐに売れてしまったんです。
マミさん:とってもへこみました。毎晩のように物件を調べていてやっと見つけたところだったので。
スグルさん:そんなマミを見かねた知り合いの方が、「西蒲区でよければ紹介できるところあるよ」って言ってくれて。それで紹介してもらったのがこの物件でした。
マミさん:元々ここは松野尾地域の集会場だったみたいなんです。新しいコミュニティセンターができて空き家になっていたし、今後使う予定もなかったみたいです。すごくタイミングがよかったと思います。
スグルさん:広さもあり、僕たちのやりたいことができるスペースが十分に確保できそうだったので、ここにすることに決めました。
――ついにお店作りのはじまりですね。
スグルさん:まずは元々ここにあった道具の片付けからはじまりました。集会場だったのでそれ関連の資料とかがたくさん残っていました。学童としても使われていたみたいで、折り紙の飛行機とか手裏剣がたくさんでてきたり(笑)
マミさん:とにかくすごい量で「こんなのふたりでできるのか」って思っていましたが、友人や自治会長さんを介していろんな人が協力してくれました。地域の方々が親切にトラックを出してくれたりして、なんとか片付けることができました。自治会長さんも「ここを活用してくれたら嬉しい」って言って、すっごい喜んでくれたんです。
スグルさん:僕らはたまたまこの物件に出会って、知り合いもいないなかでやっていけるのか不安はあったんですけど、地域の方たちはみんな温かい人ばかりでした。
マミさん:出会いやつながりにはほんと感謝しています。
スグルさん:新しい場所に来て、新しい人たちに出会い、その人たちに助けてもらったからこそオープンできたっていうふうに思います。ふたりだけなら絶対できてなかったな。
――まだオープンして間もないですが、今後はどういったお店にしていきたいとかはありますか?
マミさん:今後も「暮らし」というテーマをベースに商品をセレクトし、商品制作を続けていきます。来てくれたお客さん方にとって居心地の良い空間を作っていきたいですね。あとは自分たちのペースを保ちながら、準備が整い次第喫茶スペースを始めようと思います。
スグルさん:「人を集めるためにあれをしなきゃこれをしなきゃ」ってなることももちろん大事だとは思うんですけど、無理をせず自分たちのペースで、本当に好きなものや温度を感じるようなものを大切に作り上げて、来てくれる人にも楽しんでもらいたいなっていう思いが強いです。こんな時代だからこそ、のんびりくつろげる場を提供するとかギャラリーを作っていろんな人に活用してもらうとか、出会いやそこで生まれる時間を大事にしていきたいですね。
マミさん:地域の皆さんの思い出の詰まったこの場所で、お店がやれるということに感謝しています。この地域に人が集まるということを期待してもらっていると思うので、地域が盛り上がるきっかけになればいいなと思います。
スグルさん:11月11日のオープン前には、地域の人たちに回覧版で告知させてもらってお披露目をしたんです。そしたらたくさんの人が来てくれて、年齢問わず思い出話をしたり懐かしんだりしてくれていました。「昔はここ畳だったんだよ」とか「ここで勉強していたんですよ」とか教えてくれました。それを見て「あぁ地域の人たちに愛されていた場所なんだな」っていうのを改めて感じました。まずは地域の方たちを大事にして、愛してもらえる場所になりたいですね。
マミさん:イベント情報や新商品、営業日などは随時インスタで更新しているのでぜひチェックしてみてください。皆さんに会えるのを楽しみにしております。
pentoito
営業時間:金土日11:00-17:00(不定休)