燕市にある「齋藤歯科医院」は、患者さんが来院しやすいよう、お洒落で開放的な医院のつくりになっているんだとか。しかも昨年隣に建てられたメンテナンス専門棟「SDC PLUS」の中には、なんとカフェまで入っているそうです。歯医者さんがやっているカフェって、いったいどんなお店なのでしょうか。今回は「齋藤歯科医院」の院長である齋藤信平さんと、併設のカフェ「PLUS CAFE」を担当されている妹の幸枝さんにお話を聞いてきました。
PLUS CAFE
齋藤 幸枝 Sachie Saito
1992年燕市生まれ。高校卒業後、埼玉県にある女子栄養大学に進学し、管理栄養士の資格を取得。関東で病院や高齢者施設、食品メーカーなどに10年ほど勤める。兄の信平さんから、実家の歯科医院にカフェを開設する話を聞いたことをきっかけに2年前に地元に戻り、管理栄養士として「PLUS CAFE」を担当。
齋藤歯科医院
齋藤 信平 Shinpei Saito
1984年燕市生まれ。「齋藤歯科医院」院長。趣味は読書と野球とフジロックに行くこと。
――まずは「齋藤歯科医院」の院長である、信平さんに質問をさせてください。歯医者さんでカフェをはじめることになったきっかけはなんだったんでしょうか?
信平さん: 「メタボリックドミノ」という考え方があって、生活習慣病が酷くなると、ドミノ倒しのように、心不全や脳死卒中、重度の糖尿病が引き起こされて最終的には亡くなってしまうことがあるんです。その生活習慣病の最初のきっかけが、「虫歯」と「歯周病」と「肥満」だと言われています。「歯周病予防」と「虫歯予防」っていうのは今まで歯科医師としてずっと頑張ってきたことなんですけど、それに加えて歯医者が「肥満予防」をできたら、地域の方々の生活習慣病の予防にもっと寄与できるんじゃないかなと思って考えていった結果、低糖質なスイーツを提供するカフェをはじめることになったんです。
――でも、甘いものって虫歯になりやすいっていうイメージがあるんですけど…。
信平さん:砂糖には依存性があるので、摂取する量が増えると虫歯になりやすいです。ただ、低糖質で甘さが控えめなものにお口が慣れていくと、糖質依存から抜け出すきっかけになるんですね。肥満予防だけじゃなくて虫歯予防にもつながると思います。
――なるほど、甘いものへの依存を、低糖質の美味しいスイーツで改善していこうということですね。カフェがあると、きっと患者さんも来院したくなりますよね。
信平さん:そうですね、「齋藤歯科医院」は予防型の歯科医院なので、何か月かに1回、患者さんに来院していただいて定期メンテナンスをするんですけど、カフェがそのときの楽しみになってくれるといいです。お菓子のラインナップはその時々で変わるので、患者さんも楽しいと思いますし、来院するモチベーションにもつながってくれたら嬉しいです。
――では、実際にお店に立たれている幸枝さんに質問させてもらいますね。幸枝さんはどんな経緯で「PLUS CAFE」に関わることになったんですか?
幸枝さん:兄から「カフェをやりたい」っていう話を聞いて、それならと思いました。私は管理栄養士の資格を持っていて食に関する知識があったので、「PLUS CAFE」の担当として「齋藤歯科医院」で働くことになりました。
――それまではどんなお仕事をされていたんですか?
幸枝さん:学生時代は埼玉の女子栄養大学に通っていて、そこで管理栄養士の資格を取りました。卒業してからは、管理栄養士として関東の高齢者施設や病院、食品メーカーに10年ほど勤務していて、一昨年、こっちに戻ってきました。
――カフェ担当とはいえ、歯科医院で働くことについて不安はなかったですか?
幸枝さん:ありましたね。ここのオープンの準備前は歯科医院の方で受付をしていたんですけど、歯科の知識がまったくなかったので自分で本を買ったり、人に聞いたりしながら勉強しました。
――歯科の勉強って大変そうですね……。お菓子作りの知識はもともとあったんでしょうか?
幸枝さん:栄養学の知識はあったんですけど、お菓子関係の知識はほとんどなかったので、それも歯科医院で働きながら、試作と研究を重ねて独学で頑張りました。すべてがはじめての経験だったので、基本的にはずっと不安でしたね(笑)。だけど、はじめてみたらだんだんとペースが掴めてきて、オープンしてから半年経ったんですけど、やっと落ち着いてきたかなって思います。
――カフェをはじめるにあたって、マフィンをメインで置くことにしたのはどうしてですか?
幸枝さん:低糖質で、噛む楽しみを感じられるようなものにしようっていうのは、もともと決まっていたんです。それに加えて、いろんな具材を入れられるのでバリエーションが出るのと、気軽に食べやすいのと、具材によって食事系にもスイーツにもできるのでマフィンにしました。
――どのくらい低糖質なんでしょうか?
幸枝さん:どの商品も糖質を10グラム以下に抑えることを一番に考えて作っているので、おせんべい一枚よりも低糖質です。
――へ〜、じゃあダイエット中でも罪悪感なく食べられそうですね。材料にはどんなこだわりが?
幸枝さん:米粉と大豆粉とアーモンドの粉をベースに作って、てんさい糖と「ラカント」っていう、糖質がコントロールできるお砂糖をブレンドして使っているのが特徴です。サイズは普通のマフィンよりも若干小さめなんですけど、具材をたっぷり入れて、1個で満足感が得られるようにしています。
――マフィンのラインナップは時々でかわるというお話ですが?
幸枝さん:そうですね。来るたびに変化があると喜んでいただけるかなと思うので、季節によって使う食材を変えています。これまで作ったものも合わせて全部で何種類あるかは……私にもわからないです(笑)
――そうなんですね(笑)。今並んでいるもののなかだと、おすすめはどれですか?
幸枝さん:人気なのは「チョコバナナ」ですね。お子さんも喜んで食べていかれます。私が好きなのは「みかんチョコ」です。オレンジを乗せているものはよくありますけど、みかんはあまりないですし、冬の果物ってことで連想される方も多いかなと思って作っています。
――マフィン以外の焼き菓子も置いているんですね。
幸枝さん:今はグラノーラとクッキーを販売しています。グラノーラにはくるみやレーズン、新潟の名産品の「打ち豆」、あとはさつまいもを入れていて、食感を楽しめる商品になっています。そのままでも美味しいですし、ヨーグルトにかけて食べる方も多いかな。オートミールのクッキーはお砂糖を使っていないんですけど、メープルシロップと乾燥させたりんごを使っていて、自然な優しい甘さで、噛めば噛むほど美味しくなります。
――コーヒーの良い香りが食欲を誘いますね……。ここが歯科医院とは思えないです(笑)
幸枝さん:コーヒーは1杯ずつ豆から挽いていて、ハンドドリップで提供しているんですけど、カフェの奥は診療スペースになっているので、患者さんへ与える香りの効果がすごくあって。「今まで歯医者さんって嫌なイメージだったけど、ここに来るとコーヒーの香りとか甘い香りでリラックスして診療を受けられる」って喜んでいただけますね。
――これから作ってみたいお菓子はありますか?
幸枝さん:今はバレンタインの商品を考えている最中です。のちのちはマフィンに加えて、ブラウニーとか、焼き菓子のバリエーションを増やしたいと思っています。
――幸枝さんが「PLUS CAFE」を通じて叶えたい夢を教えてください。
幸枝さん:歯科医院を気軽に立ち寄れる場所にするっていうのと、いろんな方の健康意識を高めて、心もからだも幸せになれる商品を作り続けたいです。
取材に伺った日はあいにくの雪でしたが、天気が良い日には、お店の前の椅子に座ってマフィンやコーヒーを楽しむこともできるそうです。「PLUS CAFE」の低糖質なマフィンで、美味しく健康になっちゃいましょう。
PLUS CAFE
新潟県燕市秋葉町4-6-27
営業時間:10:00-16:00
定休日:水・日・祝日