お花屋さんのなかにあるアップルパイ専門店「Pommier」。
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2023.05.10
沼垂テラス商店街にあった人気フラワーショップ「らいおん堂」が、新潟市東区の山木戸で移転オープンしました。以前より広くなった店内には、テイクアウトのアップルパイ専門店「Pommier(ポミエ)」が併設されています。オーナーの小日山さんに、お店をはじめたいきさつやこだわりを聞いてきました。


Pommier
小日山 乃莉子 Noriko Kohiyama
1992年新潟市東区生まれ。製菓専門学校を卒業後、ベーカリーやカフェで経験を積み、2023年3月に「らいおん堂木戸店」内で「Pommier」をオープンする。aikoのファンで、音楽フェスにもよく足を運んでいる。
パン職人がフラワーショップのなかでアップルパイのお店をはじめるまで。
——小日山さんはいつからお菓子作りに興味を持ったんでしょうか。
小日山さん:私の場合はお菓子作りより先に、パン作りに興味を持ったんです。高校時代は帰宅部だったので、学校帰りにいろいろなパン屋さんに立ち寄ってはパンを買って帰っていました。そのうち、自分でもパンを作ってみたいと思うようになって、専門学校で製パンを学んだんです。
——じゃあ、専門学校卒業後はパン屋さんに就職したんですか?
小日山さん:はい、学生時代から大好きだったパン屋さんに就職することができたんです。ところがかなりハードな職場で……。我慢に我慢を重ねていたんですけど、ある日オーナーから「出て行け」って言われたことで我慢の糸がプツンと切れてしまって、1年も経たないうちに飛び出すようにして辞めてしまいました。

——最初からなかなか壮絶な経験をされたんですね……。
小日山さん:その後はカフェに併設しているパン屋さんで働くことになったんですけど、経験の浅い私がひとりでパン屋さんを任されることになったんですよ(笑)。基本的な作業だけは教わって、あとは自由にやっていいと言われました。
——経験が少ないのにひとりでお店をやるというのは、心細くなかったですか?
小日山さん:それはありましたけど、わからないことがあれば教えてくれる人たちが周りにいたので、むしろ勉強になったし楽しかったですね。その後は別のお店に移ってすぐ産休に入ったんですが、お休みが明けて復帰してみたら、パン屋さんがなくなってフレンチトーストの店になっていたんです(笑)。しばらくはアルバイトとして働きましたけど、自分のやりたいこととは違うと思うようになりました。
——それで「Pommier」をオープンすることに?
小日山さん:そうなんです。姉のやっている「らいおん堂」というお花屋さんが、沼垂テラス商店街から木戸にちょうど移転することになっていたので、お花屋さんのなかでアップルパイの専門店をやらせてもらうことになりました。

東京で食べた、忘れられないアップルパイの味を再現。
——それにしても、どうしてアップルパイの専門店をやることになったんでしょうか?
小日山さん:姉と一緒に東京へ行ったとき、たまたま食べたアップルパイの味が忘れられなかったんです。それまでは特にアップルパイが好きだったわけじゃないんですけど、そのアップルパイは何度でも食べたいと思える味でした。新潟にはアップルパイのテイクアウト専門店がないので、だったら自分がやってみようと思ったんです。

——小日山さんの作るアップルパイは、そのとき食べた味を再現したものなんでしょうか。
小日山さん:記憶している味をできるだけ再現していますが、アップルパイ作りは製菓学校でちょっと学んだだけだったので、ほとんど独学で作っているんです。パイ生地もちゃんと作ったことはなかったので、改めて作ってみたら想像していた以上に奥深くて大変でしたね。なかなか自分が目指しているものに近づくことができなかったので、子育ての合間をみながら試行錯誤して2年がかりで完成しました(笑)
——生地作りって、どんなところが難しいんですか?
小日山さん:綺麗な層の生地を作るのが難しいんです。室温が高いと使っているバターが溶けてきてしまうので、室温の低いうちに作るようにしています。これからの暑い季節はなおさら温度管理に気を使いますね。オープンしたばかりの頃はエアコンが設置されていなかったので、朝早くや夜遅くの気温が低い時間に作業していました(笑)
——確かに、これからの季節は大変そうですね。ところで、アップルパイは何種類あるんでしょうか?
小日山さん:スタンダードアップルパイ、シナモンアップルパイ、季節のアップルパイの3種類です。スタンダードアップルパイは、カスタードクリームとリンゴ、そして生地のバランスに気をつけながら作っています。

——シナモンアップルパイというのは、どんな特徴のものなんでしょう?
小日山さん:シナモンで煮たリンゴと、ラムレーズン、クルミを使って作ったものです。季節のアップルパイはほぼ月替わりの内容で、旬の食材を使って作っているアップルパイなんです。今まではさつまいもの「シルクスイート」や、クリームチーズとリンゴのアップルパイを提供してきました。
——オープンして間もないですけど、お店をやってきて大変なことはありますか?
小日山さん:すべての作業をひとりでやるという経験は今までしたことがなかったので、それが大変ですね。仕込みに時間がかかるので、ひとりでやっているとたくさんは作れないんです。作るだけでいっぱいいっぱいになってしまうので、なかなか接客まで手が回らなくなってしまって、お花屋さんのスタッフに手伝ってもらいながら営業しています(笑)

——そういう意味では、お花屋さんとの併設でよかったですね(笑)
小日山さん:「らいおん堂」は人気のあるお花屋さんなので、お花を買いに来たお客様がついでにアップルパイを買って帰ってくれることも多いんです。その逆でアップルパイを買いに来たお客様がお花を買って帰ることもあって、いい関係が築けていると思いますね。
——ウィンウィンな関係ですね。
小日山さん:母の日に向けてお花とアップルパイをセットにした商品をオンラインストアで販売したら、あっという間に完売したんです。今後もそんなコラボ商品を提供していきたいですね。
——他にも何か今後の展開は考えているんでしょうか。
小日山さん:最近知ったことなんですけど、7〜8月の間はアップルパイの原料になるリンゴが手に入らなくなってしまうんです。ですので以前からやってみたかったカフェに挑戦してみようと思っています。お花を楽しみながら、ゆっくり過ごせるスペースが作れたらいいですね。

Pommier
新潟市東区山木戸7-4-37 らいおん堂木戸店併設
11:00-16:00
日月火水曜休
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