1日250種類! パンのテーマパーク「石窯パン工房 サフラン」。
食べる
2020.08.02
ワクワクするパンを作る、7代目パン職人にインタビュー。
女池、青山、大形に3店舗を展開する「石窯パン工房 サフラン」。1日に焼き上げるパンは、250種類にもなるというから驚きです。今回は同店を運営する「株式会社山重」の7代目を務める山崎さんに、サフランの誕生秘話やパン作りのこだわりを聞いてきました。

石窯パン工房 サフラン
山崎繁人 Shigeto Yamazaki
1980年燕市生まれ。「石窯パン工房 サフラン女池店」店長。高校を卒業してすぐに横浜にあるベーカリーで修業を開始。その後は広島、千葉を渡り歩き、2006年に新潟へ戻って来たのを機に「石窯パン工房 サフラン」をオープン。好きなパンは玉子サンド。
パンを食べるのは好きだけど、作ることに興味はなかった。
――山崎さんは、昔からパンが好きでしたか?
山崎さん:はい。パンを食べるのは好きでした。でも、パン職人だった父が帰ってくるとイースト臭くて、どうしても作ることに興味は持てませんでしたね。
――パン職人って、イースト臭くなるんですね。パンのいい香りがするイメージでした。やっぱりパンは毎日、頻繁に食べていましたか?
山崎さん:まわりの家庭と同じぐらいですかね。たまに朝食にバターロールが出るぐらいで。それはたっぷりのバターを挟んでトーストしてあって、最高にうまかったです。それこそ、今流行りの塩バターロールのはしりでしたね。

――パンを作ることに興味が持てなかったと言っていましたけど、どうして自分もパン職人になろうと思われたんですか?
山崎さん:自分は6人兄弟の5番目なんです。2人の姉がいて、三つ子の末っ子なんです。継ぐとしたら上から順にいくのが順当なんでしょうけど、誰も継がなかったんですよ(笑)。それで、ちょっとやってみようかなと思って、高校を卒業してからすぐに横浜の有名店に修行へ行きました。
――ろ、6人兄弟? 大家族ですね(笑)。横浜にある修行先は、どんなお店だったんですか?
山崎さん:当時、日本で一番バケットを販売していた超有名店です。規模も大きくて、そこでは焼く、仕込む、成形、製法などパン作りのすべてを5年間かけて学びました。

辞めたくて、辞めたくて、辞めたくて。でも勇気がない。
――横浜での修行の思い出を教えてください。
山崎さん:正直、継ぐ流れになってしまったから修行をはじめたものの、こんなに大変だとは思いませんでした。それに、やる気がなかったから失敗ばかりで、とにかく怒られる毎日で。終いに食パンを作る工程で2倍の塩を入れてしまって…。
――塩を2倍ですか?? しょっぱい食パンを作ってしまったんですね。大丈夫でしたか?
山崎さん:お客さんから大クレームの嵐でしたね。それで、どっかに行ってしまえと言わんばかりに広島の店舗へ左遷されて。でもそこでは「本拠地から凄い人が来た」となぜか噂が立って、温かく受け入れてもらいました(笑)。

――ラッキーでしたね(笑)。広島の店舗では、何年くらい働いていたんですか?
山崎さん:修行を始めてからは、ずっと辞めたくて…でも「辞める」と言う勇気がなくて。そんなこんなしていたら、中越地震が起こりました。それを理由に辞めるまでの3年間、お店にはいろいろとお世話になりました。その後は、新潟に戻ってプー太郎をしばらく。でも、厳しい世界にいたせいか、さぼっている罪悪感に襲われて、またパン屋に戻りました。それが最後に修業した千葉のお店。今までは大手だったからオーナーと働く感覚がなかったけれど、間近でオーナー兼職人の姿を見て、とにかく心を打たれました。やる気がなかったのが180度変わって「こんな人になりたい!こんなお店を新潟でやりたい!」って。それで新潟に戻った2006年に「石窯パン工房 サフラン」をオープンしたんです。

「笑顔が生まれるベーカリー」。それがサフラン。
――それでは「石窯パン工房 サフラン」のことを詳しく教えてください。どんなパン屋さんですか?
山崎さん:とにかく種類が多いのが特徴です。定番商品は200種類、季節や限定商品は毎月5種類をリリースしています。毎日焼き上げるパンは250種類以上ありますね。そのどれもが、子どもからお年寄りまで、誰でも食べやすいパンです。いわゆる万人受けするパンですね。
――そんなにたくさんの種類があるんですね。女池、青山、大形の3店舗では、それぞれ商品ラインナップは異なっているんですか?
山崎さん:そうですね。さすがに定番商品は同じだけど、それぞれの店長が考案する季節や限定商品は異なります。女池店ではクリームパンは人気がないのに、青山店では大人気など、店舗毎に売れ筋が違うからニーズに合わせていかないと。ちなみに女池店の商品は、どれも僕が考えているんですよ。

――毎月、新しい商品をリリースしていると大変じゃないですか? どうやって考えているんですか?
山崎さん:インターネットや雑誌、本などから情報収集をしたり、食品メーカーが味噌などの製造元を紹介してくれたり、とにかくいろんな可能性を常に模索しています。でも、根底にあるのは万人受けすること。いくらハード系の堅いパンが人気になったとしても、サフランのお客さんのニーズは総菜パンとか、食べやすい柔らかいパンですからね。
――なるほど。たくさん作ってきたパンのなかでも、思い入れのある商品はありますか?
山崎さん:すべてのパンに思い入れがあるけれど、やっぱり、千葉の修行先で知った「チーズフランス」「めんたいフランス」は衝撃でしたね。サフランの人気商品でもあって、自分も大好きなパンです。
――「チーズフランス」と「めんたいフランス」、食べたことあります。美味しいですよね。それでは最後に、これからの目標を教えてください。
山崎さん:毎日250種類のパンが並んでいるといっても、お客さんは、サフランのパンに飽きてきていると思っています。だからこそ、お店のイメージをひっくり返すぐらいのパンを作りたいです。それと、これからも種類を増やして、みんながワクワクしてパンを選んでもらえるような「パンのテーマパーク」にしていきたいですね。

パン職人のおすすめ。サフランに来たらコレを食べて。



石窯パン工房 サフラン女池店
新潟県新潟市中央区女池6-1-23
025-288-0800
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