Things

曽祖父の代から120年続く、秋葉区の畳屋「たたみのイウラ」。

最近はフローリングの住宅が増えていますが、やっぱり畳のあるお部屋でくつろぐと、とても自然な落ち着きを感じます。茶道をはじめ、華道、柔道、剣道など日本古来の文化に畳が使われていることも、それだけ日本人と畳の関係性の深さを感じ、興味深いです。今回は秋葉区の「たたみのイウラ」さんにお邪魔し、知っているようで知らなかった「畳のこと」をいろいろと教えてもらいました。

 

たたみのイウラ/株式会社井浦たたみ工業

井浦 伸行 Nobuyuki Iura

1970年新潟市生まれ。曽祖父の代から続く「株式会社井浦たたみ工業」代表取締役。横浜の大学を卒業後、家業に入る。

 

部屋の寸法を測って「ピタッとはめる」のが畳屋の技。

——「たたみのイウラ」さんは、創業してからどのくらい経つんですか?

井浦さん:僕の高祖父が新津の新町で創業してから、120年ほどの歴史があります。長く続いている家業ですが、かといって代々続く仕事を受け継ぐプレッシャーみたいなものはあまり感じていないですね。ただ「会社がなくならないよう、真面目に仕事をしなくちゃ」とはいつも思っています。

 

——小さい頃から「畳屋さんになろう」と思っていました?

井浦さん:「畳屋はキツそうな仕事だ」と思っていたので、やりたいとは思っていませんでした。でも、子どもの頃から父に連れられて仕事を手伝っていましたし、以前は自宅の隣に工場があったので、畳屋の仕事がどんなものかは分かっていました。だから両親から「家を手伝わないか」と言われたときもあまり抵抗はなかったです。

 

——畳屋さんってどんな仕事をしているんですか? 想像できるような、できないような……。

井浦さん:畳を入れるお部屋の寸法採りをしてから、寸法に合わせて畳を作って、施工するまでが仕事ですね。

 

——畳を売るだけじゃなくて、施工もするんですね。

井浦さん:もちろんです。販売だけしている畳屋さんって、たぶんないと思いますよ。

 

 

——そうなんですね。それに寸法を測る必要があるなんて知りませんでした。てっきり畳の大きさは規格が決まっているのかと。

井浦さん:畳はどれも同じ大きさだと思っている人が大半かもしれません。もちろん畳には基準の大きさがありますけど、ほとんどの場合はサイズを測らないとピタッとはまらないんです。同じお部屋の畳でも大きさに違いがある、なんてこともあって。それに昔ながらの日本家屋は、お部屋が曲がっていたり、部屋の中に柱があったりすることもあります。それに合わせて寸法を測るんです。寸法をどう測るかが職人の腕の見せどころですね。

 

——どんな現場が多いんでしょう。やっぱり住宅のお仕事ですか?

井浦さん:新築でもリフォームでも、畳のお部屋がある場合はよくご相談いただきます。北方博物館の「三楽亭」というお部屋の依頼をいただいたこともありました。「三楽亭」は柱や畳、建具の引き出しまで三角と菱形にこだわった変わった形のお部屋なんです。歴史のある建物だし、ちょっと複雑な形をした現場だったので、気合いが入りましたね。あと、先日受けたお寺の仕事も、部屋の一部が特殊な形になっていて苦労しました。でも、難しい仕事ほどピタッっと畳が収まったときは嬉しいですね。

 

馴染みがあるけれど、あまり知らずにいる畳のこと。

——畳ができあがるまでには、どんな工程があるんでしょう?

井浦さん:寸法に合わせて畳の芯になる畳床を裁断します。それに畳表を縫い付け、最後に「へり」をつけて完成です。

 

——畳表というのは、畳の表面の「い草」のことですか?

井浦さん:昔は「い草」ばかりでしたけど、今は「い草」だけじゃなくて紙や化学繊維で作られた素材が使われることもあります。それに「へり」の種類もカラフルなものから子ども向けのものまでいろんなデザインがあるんですよ。最近では「へり」がない畳がスタイリッシュで人気が高いですね。

 

 

——フローリングと比較すると、畳にはどんなメリットが?

井浦さん:ゴロンと寝転ぶことができるのが畳の魅力ですよね。それに畳は湿気をよく吸い取ってくれるから寝室にぴったりなんです。お子さんと一緒にお布団で寝ることを考えて、寝室を畳にされる方も多いですよ。何年か過ごした後に、畳の部屋をフローリングに変えることだってできるんです。

 

——そもそも畳ってどれくらい持つものなんでしょうか?

井浦さん:畳の表面のゴザをひっくり返して使う「裏返し」をすれば、10年くらい使うことができます。頻繁に使われている部屋かどうかにもよりますが、「裏返し」の目安は畳を新しくしてからだいたい5年くらいです。年数が経って日焼けした畳でも、畳床はそのままでゴザだけを変える「表替え」をすると綺麗になりますよ。

 

——最後に、仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

井浦さん:住宅の仕様が変わって、畳の部屋が減ってきています。僕が仕事をはじめた25年前もそうだったし、今も減少傾向が続いています。でも、畳の部屋を維持するには畳屋の仕事がないと成り立ちません。そんな誇りを持って仕事を続けていきたいですね。

 

 

 

たたみのイウラ/株式会社井浦たたみ工業

新潟市秋葉区滝谷本町3-5

TEL:0250-25-5307

  • She
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード


TOP