新潟を拠点に活動する4人組ミクスチャーロックバンド「The Madpotatoman(マッドポテトマン)」。昨年で活動は10年目を迎え、最新アルバム 「FUTURE ERA」のリードソングはFM NIIGATAパワープレイにも選出されました。これまでリリースした曲の歌詞には「新潟」や「アルビ」といった言葉も見られ、バンドの新潟愛が感じられます。ボーカル/MCと作詞を担当しているHayatoさんに、楽曲のことや新潟で活動を続ける思いを聞いてきました。
The Madpotatoman
Hayato
1993年新潟市生まれ。専門学校在学中、先輩に誘われ2013年に「The Madpotatoman」を結成。ボーカル/MCと作詞を担当。平日は会社員として働きながらバンド活動に励む。
――まずは「The Madpotatoman」結成のきっかけを教えてください。
Hayatoさん:音楽の専門学校に通っていたんですけど、自分はスタッフ科だったのでバンドには一切興味がなくって。なんなら嫌いでしたね(笑)。でも音楽は好きで、高校生の頃からラップをやっていました。そしたら「スタッフ科のあいつ、ラップできるらしいぞ」って先輩の耳に入って、誘われたのが結成のきっかけです。最初は5人組だったんですけど、今のメンバーで結成当時からいるのはギターのアラジンと自分のふたりです。
――最初にバンドを結成したのは学校の先輩だったんですね。そもそもHayatoさんがラップをはじめたのはどうして?
Hayatoさん:ラップをはじめたルーツは「SOUL’d OUT」ですね。中学2年生のときにハマって、そこからのめり込んでいきました。
――バンドを組まれてからは、どんなジャンルの音楽をやっていたんですか?
Hayatoさん:「Dragon Ash」とか「RIZE」とか、日本のミクスチャーロックです。でも自分はそういう音楽をぜんぜん知らなかったし、卒業したら東京に行きたいと思っていたので、2年生になってからは「卒業までもう1年頑張ってみるか」っていうくらいの気持ちでやっていました。こんなに長く続けるとは1ミリも思っていなかったです。
――そこから活動にのめり込んでいったきっかけってなんだったんでしょうか。
Hayatoさん:音楽の専門学校っていろんなバンドがいるんですよ。ボーカル科の人が多いバンドとか、歌が上手ければビジュアルもいいバンドとか。学校側やライブハウスシーンはそういうバンドをプッシュアップするんですけど、俺たちはそういう扱いをされなかったんですよね。それが普通に悔しかったし、「何をやっているんだろう」って思いました。
――他のバンドとの扱いに差を感じていたんですね。
Hayatoさん:そんな悔しい気持ちでいたときに就職活動が上手くいかなくて。東京の会社を何社か受けて落ちたんです。「じゃあバンドを頑張ろう」と思って新潟で就職しました。それで社会人になってからは尚更バンドが楽しくなったんですよ。同時に社会の厳しさとか悔しさもふつふつと感じて、そのマインドは今もあります。
――悔しさがバンドの活力にもなったんですね。作詞作曲はどなたがされているんですか?
Hayatoさん:作詞は自分です。作曲は最初、「The Madpotatoman」に誘ってくれたドラムとベースがしていたんですけど、彼らが辞めてしまってからはずっとベースのてるが作っています。
――どの曲もHayatoさんの実体験をもとに作詞されているんでしょうか。
Hayatoさん:そうです。今は自分の思ったことを歌詞にしています。「SOUL’d OUT」に影響を受けたのもあって、最初は感情を歌うことよりもスキルを見せることに憧れがあったんです。できないのに英語で作詞したりして。だから最初の頃と今とでマインドは変わっていないんですけど、表現方法は変わってきていると思います。
――歌詞に感情を込めるよう変わっていったと。
Hayatoさん:「悔しい」とか感情があるのに、それが聴いている人にぜんぜん伝わっていなかったんですよね。先輩からも「ライブのMCでアツいことを言っているのに、その後に『俺、ラップうまいでしょ』って曲をやられても伝わらないからMCみたいな曲を作れ」って言われたんです。「ああ間違いないな」と思って、ここ3年は熱量をそのまま音源にしたような曲を作るようになりましたね。
――「伝えたい」ということは、自分たちの曲を届けたい対象がはっきりとあるんでしょうか。
Hayatoさん:自分たちと同じ心境の人とか、「人生ぜんぜん上手くいかないな」っていうような人たちですね。そういう人たちに向けているっていうか、逆に何も考えずに「人生最高!」っていう人たちに自分たちの曲は響かないと思います。俺らは負け犬の代弁者というか。そうあれたらいいですね。
――メンバーみなさん、それぞれバンド活動とは別でお仕事をされているんですよね。
Hayatoさん:そうです。ドラムのあっきーらは電気製品関係の営業、ギターのアラジンは工場、ベースのてるは解体屋の社長、自分は運送関係の営業をしています。基本的にみんな土日休みで、遠方でライブがあるときは休みを取っています。
――バンドとお仕事の両立は大変ではないですか?
Hayatoさん:楽しくやっていますよ。それに仕事を疎かにする人たちとはバンドをしたくなくて。バンドをするにもお金はかかりますし、ちゃんと働いている人たちならオンオフがはっきりしているので、音楽に打ち込むときは打ち込んでくれると思うんです。「音楽だけじゃなくて仕事にも真面目な人がいいよね」って話をメンバーとよくしています。
――じゃあお互いに、バンド以外の生活も尊重しながら活動されているわけですね。
Hayatoさん:それはめちゃくちゃそうですね。バンド活動はめちゃくちゃ頑張るけど二の次でいいというか。最近、メンバーのひとりの奥さんが体調を崩してスタジオに来られないっていうことがあったんです。そういうときは奥さんを優先してもらって、翌週のスタジオもキャンセル。キャンセル料もみんなでカンパしようぜって。そういうふうに家族優先のホワイトなバンドです。
――東京で就職しようと思ったこともあったそうですが、歌詞に「新潟」が出てきたり、地元への愛を感じます。
Hayatoさん:シンプルに、ドン引きされるぐらい新潟が好きなんです(笑)。もっと新潟に携わりたいって思いますし。東京に行かなくてよかったです(笑)
――新潟で活動していく中で、地元を大切に思う気持ちがより強くなっていったんですね。
Hayatoさん:明日は大阪でライブなんですけど、ライブ着はアルビのユニフォームって決めています。アルビのことを歌った曲も出しているんですよ。それに俺たちのいちばんの夢は武道館とかじゃなくて、ビッグスワンでアルビの試合前にライブをすることなんです。最近はその目標をライブ中に公言しはじめました。
――それは絶対に実現させたい夢ですね。
Hayatoさん:「こんなに新潟が好きなバンドいるんだよ」っていうことを新潟の人たちにもっと知ってもらいたいですし、新潟のよさにもっと気づいてもらいたいですね。これからも新潟を中心に活動を続けていきます。
The Madpotatoman
The Madpotatoman one man live ” La Familia ” vol.3
日時:2024年7月13日(土) Open 18:00 / Start 18:30
会場:三条ロケット・ピンク