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創業から半世紀、これからも地元に寄り添う「鶏料理 鳥安」。

2021年に創業50周年を迎えた新潟市北区の「鶏料理 鳥安(とりやす)」が、昨年秋にリブランディングオープンしました。ちなみにこのお店、経営しているのは「Trattoria NoraCucina(トラットリア ノラ・クチーナ)」「TORATTORIA ORA HARACUCE(トラットリア オラ・ハラクチェ)」を手掛ける有限会社 山田の山田社長。今回は地元で50年続いてきた「鶏料理 鳥安」への思いを聞いてきました。

 

 

有限会社 山田

山田 秀行 Hideyuki Yamada

1972年新潟市北区生まれ。慶応義塾大学卒業。銀行の仕事を経験し、家業の「鶏料理 鳥安」で働きはじめる。2005年に北区葛塚で古民家を使ったイタリアンレストラン「Trattoria NoraCucina」をオープン。2011年には「月岡わくわくファーム」で「TORATTORIA ORA HARACUCE」をオープンする。現在は新潟県内に5店舗の飲食店を展開。学生時代から続けているアイスホッケーを、今では親子二代で楽しんでいる。

焼き鳥屋のカウンターで宿題をしていた子ども時代。

——いつもお世話になっています。以前は「Trattoria NoraCucina」も取材させていただきました。今日もよろしくお願いします。

山田さん:こちらこそ、よろしくお願いします。

 

——まず「鳥安」さんはいつ頃創業したお店か教えてください。

山田さん:昭和46年に父がはじめたお店で、一昨年で50周年を迎えることができました。創業当時はまだ電気冷蔵庫が普及していない家庭も多くて、冷たい生ビールや焼きたての焼き鳥は飲食店でしか食べられない時代だったので、仕事帰りの人達でカウンター席がいっぱいだったそうです。

 

——50年間ずっとここで営業されてきたんですか?

山田さん:以前はすぐ近くにある10帖の飲食長屋で営業していて、その2階で暮らしていたんです。だから階下のお店からお客様の賑やかな声が聞こえてきたり、お店のカウンターやテーブルで学校の宿題をやったりして育ちました。そのせいか、子どもの頃から飲食業の感覚が身体に染み込んでいるんですよね。

 

 

——アットホームなお店だったんですね。こちらに移転されたのはどうしてなんですか?

山田さん:妹が生まれた年に、両親が僕たち子どもの成長を考えてくれた上で、住居ごとこちらに移転したんです。当時はお酒の席での喧嘩も日常的にあった時代でしたからね(笑)

 

——そういう理由での移転だったんですね。以前聞いたお話では、「自分で起業したい気持ちがあったので『鳥安』を継いだ」ということでしたよね。

山田さん:そうですね。僕が「鳥安」に入った3年後に父が病気で他界してしまったんですけど、その間にお店や商売のことを色々間近で見ることができたのはありがたかったですね。

 

地元に寄り添い、存在意義のあるお店でありたい。

——ホームページを拝見すると、昨年の秋にリブランディングオープンをされているんですね。

山田さん:本当は50周年を迎えた一昨年にやりたかったんですけど、新型コロナが流行りだした頃だったので、手をつけることができなかったんですよ。ようやくコロナ禍が落ち着きを見せはじめた様子だったので、そのタイミングで思い切ってお店の見直しを行いました。

 

——具体的にはどんなことを?

山田さん:建物が老朽化していたので、まずは改築をしました。今までは20〜30人の宴会をたくさん受けてきましたけど、これからは少人数で親しい人達とゆったり食事を楽しむ時代になると思いましたので、席もコンパクトな個室中心にしたんです。

 

 

——確かに大人数での宴会は少なくなりましたもんね。

山田さん:同時に料理の見直しも行っています。焼き鳥の振り塩を佐渡の海水から作られる天然塩に変えて、レシピの見直しや調理手順の統一を徹底しました。また、今後ますます進む人手不足や労働時間短縮のために、最新の冷凍凍結機やセントラルキッチン増設にも取り組みました。

 

——でもあんまり変えちゃうと、昔から続く伝統がなくなりそうで寂しいですね。

山田さん:もちろん、変えられない部分もたくさんあります。焼き鳥のタレは創業時から製法を変えず、継ぎ足しながら使ってきたものですし、国産若鶏にこだわる姿勢は変わらず続けていこうと思っています。

 

 

——伝統を守りながら、新しいことにも挑戦していくわけですね。

山田さん:鶏肉や油をはじめとした原料費が高騰していて厳しいですが、こだわりは守り続けていきたいですね。それから、人気があるものや流行しているものに飛びついて瞬間的に売上を上げるということではなく、じっくりとお客様の信用を培っていきたいですね。いつまでも地元の方々から必要とされる、存在意義のあるお店であり続けたいと思っています。

 

——それって、具体的にはどんなことですか?

山田さん:例えば「今日はお休みだから、どこかでランチしようかな」「みんなで集まる場所をどこにしようかな」といった日常的なシーンで「鳥安」を思い出していただきたいんです。あと、ご家族の大切な記念日にご利用いただいて、将来「あのときは鳥安で食事したよね」って思い出していただけるようなお店でありたいんですよ。

 

 

——地元の人たちに寄り添ったお店であり続けたいということなんですね。

山田さん:毎年クリスマスや年末年始になると、地元の方々から何百件ものオードブルのご注文をいただくんです。たくさんの人から思い出していただけているんだなと思うと、地元の方々から必要とされていると感じられて嬉しいですね。

 

——最後に、今後の目標があったら教えてください。

山田さん:「鳥安」は50周年を迎えることができたので、今後は100周年まで続けていけたらと思っています。100年続けば地域の食文化として認めていただけるのではないかと思いますし、100年経ってはじめて「老舗」って言われるのかなと思うので(笑)

 

 

 

鶏料理 鳥安

新潟市北区白新町2-12-3

025-387-5283

11:30-15:00/17:00-22:00(金土曜、祝前日は23:00まで)

無休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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