Things

新鮮で美味しい卵を作り続けて60年。燕市の「ツバメファーム」。

  • ものづくり | 2022.04.18

燕市の田んぼ道を車で走っていたら、「生たまごならここ!」と書かれた看板と小屋を発見。車を停めて中に入ってみたところ、小屋の中には大きな自販機がずらりと並んでいました。ここでは養鶏場「ツバメファーム」が生産している新鮮で美味しいこだわりの卵が、24時間いつでも購入できるんだとか。お忙しい社長さんに代わって、娘さんである泉さんに「ツバメファーム」の卵の特徴やこれからの目標など、いろいろとお話を聞いてきました。

 

 

ツバメファーム

横山 泉 Izumi Yokoyama

燕市生まれ。養鶏業を営む「ツバメファーム」現社長の娘に生まれ、幼いころから卵作りに励む両親の姿を見て育つ。創業60年になる転換期のタイミングで、本格的に家業を手伝うようになる。卵採りからパック詰め、事務作業やお客さんの対応など、なんでもこなす。

 

原点は、「美味しくて身体によいものを食べて喜んでもらいたい」という社長の思い。

――泉さんはどんな経緯で「ツバメファーム」で働くようになったんですか?

泉さん:もともとは別の仕事をしながら帰宅後や休みの日にこちらを手伝っていたんですけど、段々やることの量が多くなってきて現状では仕事が回らなくなってきたので、一大決心をしてそれまでの仕事を辞めて専属で手伝うことにしました。それと、もうすぐ創業60年になる転換期だったこともあって、デザイナーさんにお願いしてロゴを作ってもらったり、ECサイトをはじめたり、「若い意見を取り入れて経営をしていこう」っていうタイミングだったので。それで、「私も力になれればいいな」って思って。

 

――そうだったんですね。働くご両親の姿は昔から見ていたわけですよね。泉さんが小さい頃は、養鶏業についてどう感じていたんですか?

泉さん:両親は昔から朝早くから夜遅くまで休日もなく働いていて、その苦労している姿をずっと見てきました。私たち子どもは皆小学校から帰ってきたら鶏舎に行って、卵採りを手伝っていましたし。両親は常に忙しいから自分たちは放置されるし、匂いは気になるし、とても嫌でしたね(笑)

 

――それでも「力になりたい」と思うようになったのはどうしてですか?

泉さん:うちの社長って、経営者としてはどうかと思うんです。あんまり儲けを考えないんですよ。トップクラスのエサを当たり前のように使って、それでも安い価格で卵を売っているんです。「美味しくて身体に良いものを食べてもらってみんなに喜んでもらいたい」っていう信念で動いていて。そういう姿を見ていたら、大変だと分かっていても助けたくなったんです。

 

――社長さん、素敵な方なんでしょうね。会ってみたくなりました。

泉さん:「父親だから」というわけじゃなくて、私がよその人間だったとしても「こういう人が生産しているものを買って応援したいな」って思うような人情味あふれる尊敬できる人ですよ。

 

一度食べたらハマる、濃厚で旨味たっぷりな「アスタ卵」。

――「ツバメファーム」はもともとお米農家だったとお聞きしました。

泉さん:そうなんです。300年以上続く古い農家で、もともとはお米を作っていたんですけど、ニワトリを飼っている親戚に勧められて養鶏業をはじめました。だけど難しくて、全然儲からなかったって言っていましたね(笑)それでもずっと循環型農業を目指して試行錯誤しながら続けてきました。

 

――養鶏業ってどんなところが特に大変なんでしょうか。

泉さん:生き物相手なので、とにかく休みがないんです。本当に年中無休で働いています。お正月の早朝から鶏舎に行って卵を採っているときは、正直心が折れそうになります(笑)

 

――手作業で卵を採っているんですか? てっきり機械化されているのかと思っていました……。

泉さん:うちは最新の設備ではないので自然の環境の中で昔ながらの飼い方をしていて。「水は飲んでいるかな」「エサは食べているかな」「元気かな」とか、毎日ニワトリの様子を見ながらほとんどを手作業でやっています。

 

 

――「ツバメファーム」では「アスタ卵」や「ごま卵」など、特徴的な卵も作られていますよね。どんな経緯で生まれたんでしょうか。

泉さん:大きな養鶏場が卵をスーパーとかに卸して儲けを出すためには、ニワトリを10万羽飼わなきゃいけないって言われているんです。うちも最大で2万羽飼ったことがあるんですけど結局儲けを出すには届かないから、逆に1万羽ちょっとまで減らして、水やエサにこだわった特別な卵を作ることにしました。

 

 

――なるほど。それぞれの卵について詳しく教えてください。

泉さん:「アスタ卵」は抗酸化作用のあるアスタキサンチンを含んだ卵で、濃厚で旨味たっぷりな味わいです。2010年から作り始めて、その翌年から販売をはじめたんですけど、最初は全然売れなかったそうです。認知されるようになったのはここ数年だと思います。「ごま卵」は2014年から作りはじめました。エサにごまを使っているので、風味豊かな味わいになっています。

 

――「アスタ卵」は、今ではいろいろな飲食店さんでも使われていますよね。よく耳にします。何をきっかけに認知されるようになったんでしょうか?

泉さん:「アスタキサンチンが摂れる」っていう特徴はあるんですけど、とにかく美味しいんですよ。だから、1度食べるとハマってリピーターになる方が多いんです。プレゼントとして貰った方が買いに来てくださることもよくあります。それで徐々に知ってもらえるようになりました。

 

――ますます食べてみたくなりました……。おすすめの食べ方はありますか?やっぱり生卵で?

泉さん:生でも、茹でてもどんな食べ方でも本当に美味しいです。社長は健康のために「アスタ卵」を毎日いくつも食べていた中で、ゆるいゆで卵にしてみたら、ゼリー状の黄身がまあ美味しかったらしいんです。「こんな美味しいものを自分だけが食べているのは悪いから」って、ゆで方など研究を重ねて今は自販機でも置いています。私は卵かけごはんにして食べるのが大好きで、美味しすぎてあっという間になくなってしまいます。

 

 

――先ほどからひっきりなしにお客さんが卵を買いに来られていますね。

泉さん:ありがたいことに1日に何回も補充するんですよ。鶏舎がすぐそこにあって、そこから持ってきた卵をすぐに詰めて自販機へ入れているので、本当に新鮮です。

 

――すごい鮮度ですね。自販機はいつから設置しているんですか?

泉さん:1994年の4月からです。それまでは卸しにだけ出していたんですけど、やっぱり直売がしたかったそうなんです。卸すとなると、一所懸命作った卵をすごく安い値段で取引しなくてはいけないし、他の養鶏場さんから来た卵と一緒になって販売されてしまうので。

 

 

――「これはツバメファームの卵です」とは示せないんですね。

泉さん:とてもいいエサと水で手をかけて卵を作っているのに、他のものと一緒にされてしまうのが嫌だったんです。それと、直売だと採ってきた卵をすぐに置けるから鮮度が抜群なので。最初は道端に設置していたんですけど、車が停まると危ないので2016年の夏に場所を移して、自販機の台数を増やして今のかたちになりました。

 

――卵以外にも気になる商品が置いてありますが……。

泉さん:社長が「卵以外でも楽しんでもらえたらいいな」って、いろいろなものを入れているんです。昔は「ゆで卵切機」とか「鶏の削り節」とかを置いていて、在庫がたくさん残っています(笑)。今は「たまごパン」や「とり皮」とかがあります。儲けはないです(笑)。それでも60年近くこの場所でやってこられたのは、社長の人柄もあるのかなって思います。そして何と言ってもお客様に支えられてツバメファームがあります。

 

作り手の思いが乗った卵を食卓に届けたい。

――泉さんの今後の目標を教えてください。

泉さん:新しいことにも挑戦していきたいし、小さい養鶏場だからこそできることも続けていきたいです。目も手も行き届くし、心を込めて全部の作業ができるじゃないですか。機械が作ったものよりも、人が心を込めて作業して作ったもののほうが、食べ物に作り手の思いが乗っていくような気がしませんか?

 

――すごくわかります。

泉さん:それと、若い方も含めて「ツバメファーム」をもっとたくさんの人に知ってほしいです。休みなく働いていた分、両親には報われてほしいし。社長はいいものを作っても、それを発信しようとしないんですよ。だから私が良さを伝えていければいいなと心から思っています。

 

 

四姉妹だという泉さん。取材中にはお姉さんも顔を出されてお話してくださいました。社長さんにお会いできなかったのは残念でしたが、泉さんとお姉さんがお友達のように仲良くやりとりされている姿を見て、「明るくて素敵なご家族なんだろうな」と思いました。「ツバメファーム」の卵は、自動販売機とECサイトから購入できます。新鮮で濃厚な美味しい卵をぜひ一度食べてみてください。

 

 

ツバメファーム

新潟県燕市道金485

  • She
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード


TOP