着るだけでなく、魅せる洋服。新潟から世界へ向かう「UTOPIA」。
ものづくり・カルチャー
2019.06.02
MADE IN JAPANを生かした洋服を世界へ発信。
新潟を拠点として2017年に設立した服飾ブランド<UTOPIA(ユートピア)>。亀田縞や五泉ニットといった新潟の素材を使い、世界へ向けて新しいスタイルを発信しています。そんなUTOPIAのデザイナーである佐藤さんに、「旅する衣」をコンセプトとして発表されたコレクションや、新たな試みについて、いろいろなストーリーをお聞きしました。

UTOPIA
佐藤悠人 Yuto Sato
1986年秋田生まれ。小学校4年生から山形県へと移り住み、専門学校進学を機に拠点を新潟に移す。卒業後、2009年からUtopiaの名で絵画・服飾などの表現活動を開始。2017年にブランド<UTOPIA>を立ち上げる。休日はフットサルでアドレナリンを、滝鑑賞でヒーリングをとスイッチの切り替えに長けている。
「UTOPIA」という服を知る。まるで旅をするようなテーマとは。
――まずはじめに「UTOPIA」とは、どんなブランドですか?
佐藤さん:「みてドキドキ、きてワクワク、あるいてウキウキ」するような気持ちになれるモノづくりを目指しています。2018年の12月に2019S/S「はじまりの旅」コレクションを発表しました。
――具体的にどのような服なんですか?
佐藤さん:例えば五泉のニット、亀田の亀田縞などの新潟の地場の素材を用いて男女関係なく、ペアでも楽しんでもらえるようにユニセックスのスタイルで展開しています。一見シンプルですが、部分的に工夫を凝らして、ゆったりとしたシルエットだったり、ふんわりとした広がりがもてるようなデザインも特徴ですね。
――ユニセックスなんですね。テーマである「旅する衣」とは、どういったことですか?
佐藤さん:このテーマは「性別のわからない19歳が、何かに挑戦しようと旅に出る」といったストーリーからできています。何かに挑戦したいという思いだけで、理由、計画もなく、とにかく見たことのない世界にワクワクしているんですよ。これから作り出していくコレクションにワクワクしている気持ちと掛け合わしてもいますね。
――どんなことが待っているのかわからなくて、ドキドキしてしまう旅ってことですね。
佐藤さん:そうですね。ちなみにこのテーマをもとに、2019S/Sは旅立ちの意味も込めて「はじまりの旅」、2019A/Wは「美麗なる景色」というタイトルで展開しています。
――2019A/W「美麗なる景色」は、どのようなストーリーなんですか?
佐藤さん:このストーリーは、思いついたきっかけがあるんです。毎年、元旦に父とスキーに行くんですよ。山形県蔵王で見た樹氷に感動して。それで、「旅に出たものの目的がないことに迷いをもっていた時に、1本のとても美しい大きな樹氷に出会う。その姿に感動をして、いろいろな景色を見ることを目的に決めた」というストーリーが思い浮かびました。

魅せる服として、ファッションショーを展開する「オドル フク」。
――「UTOPIA」のファッションショーは少し変わっていると耳にしましたが、どのようなファッションショーを行っているのですか?
佐藤さん:ファッションショーって基本的には着飾ったモデルたちが、ランウェイを歩くじゃないですか?それってバイヤー、メディア向けだと思うんですよ。なので、実際に着てくれる方にこそ見てもらいたく、踊ると服をテーマにした「オドル フク」というファッションショーを考えました。
――オドルとフクですか?
佐藤さん:具体的に2019A/W「美麗なる景色」では、国指定重要文化財になっている新潟県政記念館で行いました。りゅーとぴあで活動している日本初の公共劇場専属舞踊団「Noism(ノイズム)」の5名のダンサーにコレクションの服を着て踊ってもらいました。実際に着て踊る(動く)ことで、服の揺らぎや可動域なども見てもらえたと思っています。

――確かにオドルとフクですね!場所も趣がありますし、とても素敵な空間だったんでしょうね。
佐藤さん:いろいろと演出にも挑戦しました。2019A/W「美麗なる景色」は樹氷がメインとなっているので、景色は雪じゃないですか。どうしたらその世界感を表現できるかなと悩み…白い布で表現することにしました。会場への通路にはじまり、メイン会場全体まで、大量の白い布を垂らしたり、重ねたりして雪景色のような雰囲気を作り上げました。あと、香りも演出に加えてみたんです。進むにつれて森の中にいるような雰囲気にしたく、自然の冬をイメージした木々の香りを場所によって配置しました。
――もうファッションショーの領域を超えていますね!
佐藤さん:来てくれた方には感動してもらい、楽しんでもらいたかったので頑張りました!「新潟県政記念館でUTOPIAの服をダンサーが着て踊る」という新潟という場所だからこそできたファッションショーだと思っています。

これから「UTOPIA」は世界を目指す。
――チラッと目標が書かれた紙をアトリエで見てしまいました。これって…。
佐藤さん:今年、目標を立てたんですよ。いや、立てせられたというか(笑)。

――え?自分で立てたんじゃないんですか?
佐藤さん:NHKのディレクターに友人がいて、彼とドキュメンタリーができたら楽しいよね!みたいな他愛もない会話をしていたんですよ。そしたらいきなり目標を立てようと言い出し、とっさに思いついたのが専門学校時代に夢描いていた「パリコレ進出」だったんです。普通だと東京コレクションに出てから10年ぐらい頑張ってといったプロセスが基本なんですが、違う道からということで5年後にパリコレに進出するという目標が決まりました。
――パリコレまでに何かチャレンジしてみたいことはありますか?
佐藤さん:美術館って全国、どこにでもあるじゃないですか?「新潟の素材を使って作ったコレクションを新潟にある美術館で発表する」って、他県の美術館なら他県の素材を使って「UTOPIA」らしいファッションショーができたらいいなって思っています。なので、全国の素材を使って美術館というステージで表現することを目標として、まずは新潟の美術館から「UTOPIA」独自のファッションショーをやっていけたらなと思っています。
――パリコレって、ファッションショー自体も独自性があるじゃないですか?すでにその領域まで行かれてますよね。
佐藤さん:仕事をしながら、仕事を通して友達作りができないかなと常に考えていて。「UTOPIA」のファッションショーに関わってくれた人たちも、仕事をはじめとしたきっかけから集まった人たちなんです。職業もバラバラですし。でも向かう方向が一緒で、たくさんの考えがあるからこそ、僕らのファッションショーは完成したんだと思います。

「服は主役になることはない。ファッションショーは総合芸術。」と語る佐藤さん。その言葉通りに踊りと服が混在したファッションショーは独自性があり、「UTOPIA」としての世界観が確立されているように思えました。踊ることで見られる、揺らぎやシルエット。そこから見えてくる、「着るだけでなく、魅せる服」。それが「UTOPIA」の服。新潟から世界を目指す若者の挑戦から目が離せません。
UTOPIA Atelier&Shop
新潟県新潟市中央区学校町通2-598
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