新発田の国道7号線沿いに、ランチ時にはお客さんでごった返す人気店「文化洋食ino」があります。その人気の秘密は味もさることながら、ハンバーグをはじめとしたボリューム満点のメニューに。今回は店長の井上さんから、料理のこだわりやお店についてのお話をいろいろ聞いてきました。
文化洋食ino
井上 仁太 jinta Inoue
1990年新潟市中央区生まれ。フェンシングの推薦入学で岐阜県の大学に入学。様々な飲食店のアルバイトを経験した後、ダイニングバーに就職。2018年結婚を機に新潟市に戻り、実家が経営する「文化洋食ino」の店長になる。趣味は釣りや狩猟で、新発田市の川東猟友会に所属している。
——それにしても、ハンバーグのボリュームがすごいですね。
井上さん:「ハンバーグチーズ焼きセット」は店に来るお客さんの80%が注文する人気メニューなんです。お客さんにお腹いっぱい食べてほしいという思いから、350gのハンバーグになっているので食べ応えは充分あると思います。
——これだけ分厚いと調理が難しいんじゃないですか?
井上さん:火加減には気を使っていますね。中にきちんと火が通るようにしなければならないんですけど、あまり火を通しすぎると肉が固くなって肉汁がなくなってしまうんです。毎回タイマーをセットして調理していますが、そのときの気温や肉質によっても違ってきますから、時間だけで調理するのはあまり当てにならないんですよ。だから必ず目で見て確認しながら調理するようにしています。
——ハンバーグ以外のメニューとなると、どんなものがオススメですか。
井上さん:「シーフードのトマトソースパスタセット」は人気ありますね。エビ、ホタテを使ったペスカトーレです。シーフードを白ワインで煮込んで下処理した後、その煮汁を使ってトマトソースも作っているので、全体的にシーフードの風味を味わうことができるんです。ハンバーグと同じようにボリュームもあって、麺を130g使っていますので、こちらも食べ応えがあると思います。
——ハンバーグもパスタもボリュームがありますねぇ。ということは他のメニューも食べ応えがあるんですか?
井上さん:他のメニューもボリュームは多めですね。「ドリアセット」もそのひとつです。メインのドリアはカニドリアで、手作りのベシャベルソースにはカニがたっぷり入っているから、カニの風味がかなり強く味わえますよ。お客さんに満足してほしいという思いでボリュームが多くなっちゃうんですね。
——「文化洋食ino」はいつ頃から続いているお店なんですか?
井上さん:1999年に私の父がはじめたお店です。父は胎内市のホテルで料理長をやっていたんですが、自分の店をやってみたいという思いを持ち続けていたそうです。ずっとホテルでフランス料理を作り続けてきたので、もっといろんな人が気軽に食べてくれるような料理を作りたいということで、洋食店を始めたんだそうです。
——なるほど。メニューを見てもその思いが伝わりますよね。井上さんはずっとこのお店で働いてきたんですか?
井上さん:いいえ。私は高校時代にフェンシングをやっていて、岐阜県の大学にフェンシングで推薦入学したんです。大学時代はいろいろな飲食店でアルバイトをしていて、大学卒業した後はアルバイト先の紹介で岐阜県のダイニングバーに就職しました。そこは中華料理がメインの店だったので、中華料理の腕は上がりましたね。昼もオムライスの店でアルバイトしていました。そうして飲食店で働くうちに、家業の「文化洋食ino」を継ぎたいという気持ちが強くなっていきましたね。
——新潟に帰ってきたのは「文化洋食ino」を継ぐためですか?
井上さん:結婚することがきっかけになって2018年に新潟へ帰って来ました。それで「文化洋食ino」を継ぐことを決めて、店長として働くことになったんです。店長といっても、店のスタッフは全員家族や親戚ですけど(笑)
——ご家族や親戚で経営してるんですね。それって、やりやすいですか?やりにくいですか?
井上さん:両親の他に、妹といとこが一緒に働いてるんです。両親が店をやっているのを子どもの頃からずっと見ながら育ってきましたから、すっかり当たり前になっちゃってますよね。他人と一緒に働くよりも気を使わなくて済むし、どちらかといえば楽なところが多いです。あと、他人に叱られるよりも素直に受け止めることができますよね。家族経営のアットホームな雰囲気は店にも現れていて、うちの売りにもなっているんじゃないでしょうか。
——「文化洋食ino」を継ぐことになっていかがでしたか?
井上さん:大学時代から店の手伝いはやってたんですけど、当時はソースをかけたり、ポテトを揚げたりといった作業がほとんどで、調理は一切やらせてもらえなかったんです。今回、店を継ぐことになって調理も教わりました。仕込みの分量とかはメモしておけるんですけど、ハンバーグのこね方なんかの技術は数をこなさないと身につかないですからね。体で覚えるのが大変です。父は手に持っただけでハンバーグの正確な分量ぴったりに計ることができるんですが、自分はまだそこまで行ってないので、追いつけるように頑張りたいですね。
——お店が結構広いんですけど、調理はお二人だけでやってるんですか?
井上さん:全部で80席あるんですけど、そのお客さん分の料理を二人で調理しています。父がやっているのを今まで見てきたんですが、実際にやってみると大変さがよくわかりました(笑)。以前働いていたダイニングバーでは調理に時間が取れたので、じっくりこだわって作ることができたんです。アルバイトしていたオムライスの店は、逆に時間をかけずどんどん作り続ける仕事でした。「文化洋食ino」の調理場はその両方をやらなければならないんです。クオリティーにこだわりながらも、お客さんを待たさないようにしなければならないスピード勝負なんですよ。
——二人だけで調理するのは大変なんですね。それでは今後の目標はありますか?
井上さん:父について働きながら、いろんなことを吸収していきたいですね。それで、「文化洋食ino」をお客さんから喜んでもらえるような店にしていきたいと思ってます。私は父の影響もあって狩猟を趣味にしてるんです。いつかは自分で調達したカモとかを使ってジビエメニューもやっていきたいと思ってるんですよ。
ホテルの料理長だった父親が、誰もが気軽に食べれる料理店として始めた「文化洋食ino」。その思いを受け継ぐため、息子の井上さんが父親と共に毎日奮闘しています。お客さんのお腹も気持ちも満足してほしいという思いで作られている、ハンバーグをはじめとしたボリューム満点のメニューの数々。アットホームな雰囲気のお店で、そんな料理を味わってみてはいかがでしょうか?
文化洋食ino
〒957-0006 新潟県新発田市中田町1-1619-1
0254-22-3653
11:00-22:00
月曜休