古材とアイアンを組み合わせた「S.W.D+s-plan」の家具たち。
ものづくり
2020.03.07
時間が生み出すサビと汚れ。それもアイアン家具の醍醐味。
新潟市中央区、沼垂テラス商店街に店を構える「S.W.D+s-plan(エスウェルドデザインプラスエスプラン)」。一見「ここは何屋さん?」と思わせる店構えですが、その正体は、アイアン家具をオーダーメイドできる家具屋さん。ところが、お店の中に家具は並んでいないんです…。並んでいるのは古材と雑貨、そしてスニーカー。そんなちょっと不思議なお店のオーナー、杉﨑さんに、アイアン家具の魅力やこだわりを聞いて来ました。

S.W.D+s-plan
杉﨑 潤 Jun Sugisaki
1980年愛知県生まれ。5歳で新潟県に移住。福岡大学を卒業後、アルビレックスランニングクラブの立ち上げメンバーとしてUターン。2015年より家具作りの活動「SWELDdesign(エスウェルドデザイン)」をスタートし、2017年に沼垂テラス商店街にて「S.W.D+s-plan」を開業。
刺繍やスニーカーが並んでいるけど、実は家具屋さん。
――あの、「S.W.D+s-plan」って、何屋さんですか?
杉﨑さん:それ、よく聞かれます(笑)。刺繍があったりスニーカーが並んでいたりするから雑貨屋さんに思われるんだけど、実は家具屋なんです。
――でも…家具は並んでいないですよね…?
杉﨑さん:住宅や店舗のテーブルや棚をオーダーメイドで作っているから、お店には家具が並んでいません。でもオーダーメイド家具に使っている古材の足場板や、アイアンの取っ手などの部材はありますし、さっき紹介した新潟の作家さんが作った刺繍とか「にゅ」って描かれたスニーカーとか雑貨の販売もしています。

――杉﨑さんが作る家具には、古材やアイアンが使われているんですね。
杉﨑さん:はい。アイアン家具といって、古材とアイアン(鉄)で作る家具です。ちょっと武骨な男らしさがあります。お洒落なブルックリンスタイルが世の中に定着してきたのもあって、最近人気の家具なんですよ。

古材の価値はゼロからスタート。でも、時間の経過で100以上にも。
――アイアン家具の魅力はどんなところですか?
杉﨑さん:アイアンだけだと固くて冷たい印象だけど、古材と合わさることで柔らかさや温かみが生まれます。それに木材にしか表現できない繊細なラインも魅力のひとつ。あとは汚れや傷かな。
――え? 汚れや傷ですか?
杉﨑さん:新品の家具は買ったときの価値を100としたら、使っている間にできてしまった汚れや傷で90、80…と徐々に価値が下がっていきますよね。でもアイアン家具の場合は、古材を使用しているから、そもそもスタートの価値がゼロだと思っています。そこから暮らしているなかで汚れたり、傷が付いたりして、それが味となって、価値は100以上にもなる。こじつけかもしれないけど、逆の考えで捉えられるんです。

沼垂テラス商店街での出会いから生まれた「S.W.D+s-plan」。
――なるほど。ところで杉﨑さんは、どんなキッカケで「S.W.D+s-plan」をスタートしたんですか?
杉﨑さん:僕は愛知で生まれて、5歳のときに新潟へ来ました。それから福岡大学へ進んで、卒業後は中学から陸上をしていたこともあってアルビレックスランニングクラブの立ち上げメンバーに加わったんです。で、その後仕事は内装業をやっていたんですけど、そのときに家具も作っていて、足場板を探していたんですよ。広島に足場板の専門店があることは知っていたけど、新潟にもそういうのがないのかなって探しはじめたのが、この店をはじまめるそもそものスタートですね。
――足場板の専門店なんてあるんですね。それで、新潟にもあったんですか?
杉﨑さん:いろいろと探したら、なんと沼垂テラス商店街にあったんです。確か2015年だったかな。まだこの商店街が本オープンを迎える前で、今みたいにお店が並んでいない頃です。

――それでどうしたんですか?
杉﨑さん:ただ行ってみたらお店は閉まっていて「営業日は木曜、金曜、土曜」の張り紙があって。その日は木曜日だったんです。せっかく来たのにと打ちひしがれていたら、隣の店の人が「明日は来るって言ってたよ」と教えてくれました。それならと思って翌日も行ったら、またまた休み(笑)。諦められなくて店内を覗いてみたら、名刺が見えたんです。しかも電話番号まで。すぐに電話しましたよね、「いつ開いてますか?」って。
――なかなかタイミングが悪かったんですね(笑)
杉﨑さん:ちなみに、電話越しの相手は、僕と同じ「杉﨑さん」(笑)。驚きですよね。この出会いから、沼垂テラス商店街で開催されている朝市に出店させてもらえたり、お店に自分が作った家具を置かせてもらえたり、家具作りの活動の幅が広がりはじめました。

――タイミングは合わなかったけど、素敵な出会いをされたんですね。その足場板の専門店は何ていうお店なんですか?
杉﨑さん:店名にも付いているんだけど「s-plan」です。
――え? どういうことですか?
杉﨑さん:それが、あるとき「このお店をしてみない?」と打診されたんです。正直悩んだけど、家具作りを仕事にしていこうとは思っていたから「頑張ります」と、この話を受けることにしました。それで自分が家具作りの活動名として名乗っていた「SWELDdesign」に、これからも足場板を取り扱っていくこともあったから「s-plan」を合体させて「S.W.D+s-plan」を誕生させたんです。

声から熱量を感じて。対話から作るアイアン家具たち。
――ちなみに家具作りってどのようにオーダーをしたらいいんですか?
杉﨑さん:安さを求めてサイズやデザインを妥協するのではなくて、しっかりと家具を選んでもらいたいと思っています。だからこそ、オーダーはホームページやメールからじゃなくて、しっかりと対話しながら進めています。家具を作りたい方は、作りたいサイズを測ってまずはお店に来てみてください。
――サイズからのスタートなんですね。
杉﨑さん:そうですね。だからサイズが分からない場合は売らないし、作らない。例えばダイニングテーブルって、毎日ご飯を食べて、コーヒーを飲んでくつろぐ場所ですよね。でもサイズがライフスタイルに合っていなかったらダメじゃないですか。それにオーダー家具は一生物なので、しっかりと声から熱量を感じて、その人その人に合ったアイアン家具を作るのが僕の仕事です。

自然なサビと汚れは、それも味。
インタビューの最後に「アイアンはサビます。もちろん、サビさせたくないなら特別な塗装をするけど、自然なサビや汚れは愛用している証拠だし、共に過ごした時間。そして味なんだよ」と杉﨑さんは語ってくれました。ずっとキレイに使うのもいいけれど、時間の経過とともに生まれる味も素敵だなって。そう感じさせてくれたアイアン家具でした。

S.W.D+s-plan
新潟県新潟市中央区沼垂3-5-18
080-4434-4950
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