巻の料亭文化とおもてなしの心を守り続ける「料亭 三笠屋」。
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2020.09.22
大正時代からの老舗料亭。守り続けてきた4代目店主にお話を聞く。
新潟市西蒲区の巻地区で、古くから続いている老舗料亭「三笠屋(みかさや)」。不景気や市町村合併などの影響で、地元の宴席が減り続ける中、料亭を守り続けてきた4代目店主の本間さんに、料亭や料理についてのお話をいろいろと聞いてきました。


料亭 三笠屋
本間 丈晴 Takeharu Honma
1969年新潟市西蒲区生まれ。大正5年から続く料亭三笠屋の4代目。銀座の料理店で修行したのち、新潟に帰った27歳頃から家業の三笠屋で働き始め、2019年に店を継ぐ。趣味は読書、ゴルフ、スキーとインドアからアウトドアまで幅広い。
会食から宴会まで、いろんな場面に対応できる料亭。
——とっても歴史を感じる建物ですよね。いつ頃から続いている料亭なんですか?
本間さん:大正5年創業ですので、もう100年以上続いています。私は4代目の店主なんです。
——店舗正面からはわからなかったんですが、すごく奥行きのある建物なんですね。お部屋はいくつくらいあるんですか?
本間さん:少人数用の個室から120名様まで対応できる宴会場まで、全部で9部屋くらいあります。すべてのお部屋が完全な個室になってますので、大人数でのご宴会はもちろん、ご接待、ご会食、記念日のお祝いなんかにご利用いただくことが多いですね。庭園の一角には離れやお茶室、神殿なんかもあるんですよ。神殿は結婚式の時にご利用いただけます。
——お庭もすごく広くて立派ですね。
本間さん:ありがとうございます。いろんなお部屋から庭園を眺めていただくことができて、落ち着いた和の風情を感じながらお料理を楽しんでいただくことができると思います。

おもてなしの相手に合わせて、食材や料理を考える。
——本間さんは最初から家業の料亭を継ぐことを決めていたんでしょうか?
本間さん:そうですね。歴史のある料亭ですから、守り続けていきたいっていう気持ちはありましたね。
——ではお仕事は最初から「料亭 三笠屋」で?
本間さん:いいえ。やはり外の世界も見ておいた方がいいということで、東京の銀座にある料理店で修行をしたんです。日本酒「大関」のアンテナショップでした。でも、家庭の事情ですぐに呼び戻されてしまったので、その店には1年半しかいなかったんですよ。だから本格的に料理を覚えたのは「三笠屋」で父と一緒に働くようになってからですね。

——お料理についてはどんなこだわりで作ってるんですか?
本間さん:日本料理店の中には、何を使った料理を食べてるのかわからないっていう店も多いんですけど、私はしっかりと素材がわかるような料理を心掛けています。そのためにも素材選びはもちろん、素材の良さを生かして美味しく料理するようにしてますね。
——素材を大切に、ですね。他にこだわっていることってありますか?
本間さん:うちの料亭はおもてなしに使われることも多いんですよ。そういったお客様とのお付き合いだったり人間関係だったりを大切にしたいと思ってます。だから、ご予約を受けるときには、必ずご一緒するお相手が地元の方なのか、県外から来る方なのか情報をお聞きするようにしています。その上で、地元の方がご一緒なら県外の素材を使ったお料理、県外の方がご一緒なら地元素材を使ったお料理をお出しするようにしてるんです。

巻の町が移り変わっていく中で、どのように料亭を続けてきたのか?
——巻で100年以上も料亭を続けて来られたわけですが、町の移り変わりをどんなふうに見てらっしゃいますか?
本間さん:以前の巻は公官庁の町だったんです。だから忘新年会とかの宴席も多くて、ピークの昭和50年代には芸者さんが80人くらいいたし、料亭や仕出し店も10軒くらいあったんです。それが不景気や市町村合併といった影響で宴席も少なくなってしまって、今では芸者さんも3人しか残ってないし、料亭は2軒しか残ってないんですよ。
——そんな中で、どうやってお店を続けることができたんですか?
本間さん:まず通常の本格的なお料理に加えて、リーズナブルなお料理もご用意して、値段に幅を持たせるようにしました。あとは「牡蠣」とか「かに」とか毎月素材のテーマを決めて、「季節の料理の会」という催しを開催するようにしたんです。そのおかげで、なんとか続けてくることができました。
——いろいろと工夫をされてきたんですね。
本間さん:それに、巻の産業で残っているのって農業だと思うんですよ。だから、うちの料亭でも地元の農産物を使いながら、巻のアピールをしていけたらと思ってます。

新潟を代表するような新しい名物料理を生み出したい。
——今後新しくやってみたいことってありますか?
本間さん:県外の人たちから見ると、新潟って米と酒だけが有名だったりしますよね?もっと新潟を代表するような、新しい名物料理を開発できたらって思ってます。あと、今回の新型ウィルス感染症をきっかけに「子ども弁当」の配布を始めてみたんです。この活動が子ども達の和食体験につながってくれて、和食の魅力を知ってもらえるきっかけになったらいいなって思ってます。

100年以上もの間、巻地区で営業を続けてきた老舗料亭「三笠屋」。宴席が減っていく中でも長く続いてきたのは、お客様をおもてなしする気持ちを大切にしているからのように思いました。大切な人と特別な日を過ごしたい人はぜひ訪れてみてください。きっと素敵な思い出ができると思いますよ。
料亭 三笠屋
〒953-0041 新潟県新潟市西蒲区巻甲2533
0256-72-2323
11:00-15:00/17:00-22:00
不定休
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