新発田市のとある農場にポツンとたたずむ木の小屋。実はこれ、サウナ小屋なんです。「サウナトリップニイガタ」と名付けられたこの場所は、完全予約制で限られた日にだけオープンするプライベートサウナなんだそう。今回は「サウナトリップニイガタ」のメンバーである原田さん、中原さん、玉木さんの3人に、アウトドアサウナの魅力や楽しみ方についてお話を聞いてきました。
サウナトリップニイガタ
原田 応人 Oujin Harada
1988年山口県生まれ。昨年新潟に引っ越してきたが、現在は兵庫県在住。サウナにハマり、「サウナ小屋を建てたい」と思っていたタイミングで農場のオーナーと知り合う。以前よりサウナ仲間だった中原さんと玉木さんと一緒に、昨年9月にサウナ小屋建設計画をスタートし、12月に完成。
サウナトリップニイガタ
中原 一興 Kazuoki Nakahara
1988年新潟市生まれ。
サウナトリップニイガタ
玉木 駿佑 Shunsuke Tamaki
1991年新潟市生まれ。
――みなさん普段は別のお仕事をされながら、お休みのときに集まってサウナを運営されているそうですね。
原田さん:そうなんです。僕はもともと山口出身で、今は兵庫に住んでいるのでちょうど新潟に来ているタイミングで取材を受けられてよかったです(笑)
――それはラッキーでした(笑)。みなさんはどういうつながりで知り合われたんですか?
原田さん:僕が去年新潟に引っ越してきて、こっちで過ごす中でアウトドアサウナが好きになったんです。ふたりとはもともとサウナとは別のところでつながりがあったんですけど、僕が趣味でサウナをやっているのを見て連絡をくれて、「サウナ小屋を作ろう」って流れになったときに声をかけて、いつの間にかこの3人が主軸メンバーになりました。
――原田さんが「サウナ小屋を作ろう」と思ったのはどうしてですか?
原田さん:新潟で「ABiL」っていうサウナのアパレルブランドを作っている会社の主催で、越前浜の「ばうわう」っていうところでテントサウナをやっていたんです。それに参加してみたらめちゃくちゃ気持ちいいし楽しくて。「自分もサウナを持ちたい、だけど他と同じことをやるよりは小屋を作ったほうが面白いな」と思いました。
――それにしてもすごい場所にありますよね(笑)。この場所に建てることになったのはどうしてですか?
原田さん:新潟に住んでいたときに古町の「とりやきoniya」っていう鶏焼き屋さんに行ったんです。そこはフランスで有名な「シャポン」っていうかなり希少な鶏を扱うことにこだわっているお店で、鶏もオーナーさんが自分で育てて去勢手術までやって提供しているんですよ。その取り組みが「面白い」と思って農場を手伝わせてもらったときに、鶏を育てている場所とは別にこの場所のことを教えてもらったんです。
――この場所もその方が所有している農場だったんですね。
原田さん:そのときに「ここにコンテナハウスを建てて鶏焼きを提供したり、地域を盛り上げるための展望のある場所としてコンテンツを増やしていきたい」っていう話を聞きました。僕はちょうど「サウナを建てたい」と考えていたので、その場の勢いでオーナーさんに「ここならサウナを建てられますね」って言ってみたら「造っていいよ」とOKをもらえたんです(笑)
――サウナ小屋建設の計画がスタートしたのはいつですか?
原田さん:去年の6月に建てることを決めて、実際に動き出したのは9月でした。それから4カ月かかって12月に完成しました。
――そもそもサウナって「建てよう」と思って建てられるものなんですか?
原田さん:僕らはDIYもやったことのない素人だったんですけど、「とりあえずやろう」って決めちゃって(笑)。情報を集めていく中で「Sauna Builder」というサウナ小屋作りの本を紹介してもらったのが大きな要因で、その本があったからできたっていうのはありますね。なければとんでもないことになっていたと思います(笑)。知り合いにもたくさん手伝ってもらいましたね。あと、中原さんはテントサウナを持っているのでその知識も借りながら、たくさんの方々の協力と3人の技術を合わせてなんとか建てられたっていうところです。
――サウナをはじめてみて嬉しかったことはありますか?
原田さん:自分たちが作ったものを喜んでくれる人がいるっていうのはシンプルに嬉しいですね。
中原さん:あと、ここをきっかけにサウナにハマった人が多いんです。今まで入ったことなかった人にも良さを感じてもらえてよかったです。
――サウナデビューがアウトドアってすごいですね(笑)
玉木さん:そうですね(笑)。でも少人数でやっているからすごくアットホームだし、初心者の人でも「どうやって入ったらいい?」とか聞きやすいとは思います。
――そういう「サウナトリップニイガタ」だからこそ感じられるサウナの魅力って、他にもありますか?
玉木さん:火の当たり方が銭湯のサウナとはちょっと違うんですよ。銭湯にあるのはドライサウナなので「乾燥していて熱い」って感じる人もいると思うんですけど、ここは薪で火を焚いているので熱さがまろやかに感じるんです。
原田さん:だから初心者でもやれちゃうっていうのはありますね。あとはこういうプライベートな空間なので、サウナの中でかなりコミュニケーションが生まれるんですよ。8分くらいじっとすることになるので自然と話がはずむんです。それとサウナって、最後は休憩して気持ちよくなるっていうターンがあるんですけど……。
――「整う」っていうやつですね。
原田さん:そうです!自然の中だとすごく開放感があっていいんですよ。鳥の鳴き声を聞いたり緑を眺めたり、冬は雪を眺めたりできます。雪が積もったらバスタブの中に雪を入れて、シャーベット状の水風呂にしています。みんなだいたい絶叫しますけど(笑)
――それはここでしかできない体験ですね(笑)。季節や時間によって違う景色が楽しめるのも面白いです。
中原さん:夜の暗い中で入るのもまた違っていいですよ。星空を見ながら外気浴もできますし。
――みなさんはここに来る方にどういうふうに楽しんでもらいたいですか?
原田さん:ここって森の中すぎないし、ちょうどよく自然があるんです。普段から自然の中で遊んでいるような方でも、心地よくのんびりできるいい場所だと思います。だからサウナだけにこだわらず、この環境の面白さを楽しんで欲しいですね。それと、「サウナトリップニイガタ」という名前にも意味があって……。
――どういう意味なんですか?
原田さん:自分の住んでいるところを離れて自然の多い場所に行ってのんびりすることで、旅するような気持ちよさを感じてもらいたいんです。だから「旅」って意味の「トリップ」という言葉を使いました。そういう楽しみ方もできるかな。
――なるほど。中原さんと玉木さんはどうですか?
中原さん:あえて時計を置いていないので、時間を忘れられるんですよ。自分の感覚でサウナに入ることになるので、身体と向き合うことになるというか。いろいろ思考を巡らせて、五感を研ぎ澄ませられるんですよね。「サウナに入るといいアイデアが湧きやすくなる」って言われているのもそういうところにあるかもしれないです。
玉木さん:僕が思うのは、はじめて出会った人とも気軽に会話できるっていうのはここ独特なのかなって。普通サウナってひとりで黙って入るものだと思うんですけど、ここだと自然に会話が生まれて仲良くなるのでひとりで来ても楽しめると思います。
――今後もいろいろな展開がされていきそうな「サウナトリップニイガタ」ですが、みなさんがやってみたいことを教えてください。
原田さん:僕はここをいろんな人と関わって楽しみたいと思っていて。例えばビールのお店とコラボしてイベントをやって、サウナで仕上がってからビールを飲んでもらうとか。美味しい鶏を食べるとか。そういう「サウナ×○○」をやりたいです。あとはここで新卒採用の面接とかやりたいんですよ(笑)。スーツを脱いで、お互いに素が出るじゃないですか。
――サウナで面接……案外いいかもしれませんね(笑)。中原さんはどうですか?
中原さん:サウナ小屋を作りはじめたときもそうだったんですけど、いろんな人を巻き込んで、新しいことをやるっていうのは面白いなって思います。オーナーさんの構想もあるので、今後もそれに付随していろんな人が関わってくれたらいいですね。サウナをきっかけにその人のやりたいこととか趣味とか、その人自身の枠がもっと広がるようなことをやりたいです。
――ふむふむ。最後に玉木さんお願いします。
玉木さん:大人が子供に帰れる場所が欲しいなって思います。こういう小屋を作るっていう遊びも普通はなかなかできないですし。そういう場の提供としてサウナ以外のこともできたらいいですね。サウナって、大人が遊ぶのにいい手段なのかなって思います。
サウナトリップニイガタ
新発田市藤塚浜 新発田紫雲寺の農場内
営業:完全予約制
予約:インスタグラムのメッセージ