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胎内市坂井集落の魅力を発信する「里の駅 いちべえ」。

胎内市坂井集落で育った山菜や野菜を地域の皆さんで協力し合いながら販売している「里の駅 いちべえ」。ここは地域おこし協力隊と新潟県内の大学生の協力から生まれた施設で、坂井集落の魅力を発信する拠点となっています。今回は「里の駅 いちべえ」運営委員会会長の増子さんと、「そば処 いちべえ」店長の佐藤さんに、オープンまでの経緯などいろいろお聞きしてきました。

 

里の駅 いちべえ

増子 達也 Tatuya Masuko

1971年胎内市生まれ。里の駅いちべえ運営委員会会長。趣味は登山、釣り、ゴルフ、落語鑑賞。

 

里の駅 いちべえ

佐藤 清司 Seiji Sato

胎内市生まれ。そば処いちべえ店長。18歳の頃より和食料理人、蕎麦職人として働く。

 

坂井地域の強みや課題を多世代交流でぶつけ合った

――「里の駅 いちべえ」はどのようにしてオープンしたんですか?

増子さん:東北電力さんが行っている「まちづくり元気塾®」という地域活性化支援の事業で、支援団体として選んでいただいたところから始まっています。地域ニーズに即した専門家の方が来てくれて、まちづくり活動のお手伝いをしてくださる、そういう事業になります。最初は、区長や農家組合長と専門家の方とともに坂井活性化実行委員会が立ち上がり「里の駅いちべえ運営会」が発足しました。

 

――増子さんはその元気塾の一員として当初から?

増子さん:外でタイヤ交換しているときに集落の偉い人が来て、「若い人もいないとだめだっけ」って言って半ば強引に連れて、気がついたら元気塾に参加していました(笑)。そんな流れで「代表は若い人の方がいいから」ってことで里の駅いちべえの代表もやることになりました。僕は名前だけ貸すような感じくらいのつもりだったんですけど……。

 

――その元気塾というのは、どんなことをするのでしょうか。

増子さん:地域の学生たちも交えて、ワークショップを何度も行いました。坂井地域の強みや課題を話し合って、活性化のためのアイデアをみんなで出し合いました。そのなかのひとつが、地域の拠点施設「里の駅」づくりだったんですね。単に物を売る場所にするんではなくて、坂井地域の特色を見せる施設にしていきたいという想いを共有しました。

 

 

――なるほど、それが「里の駅 いちべえ」としてかたちになったわけですね。

増子さん:坂井地域の特産品を販売したり、休憩所として機能するような施設というコンセプトで、2018年にオープンしました。

 

――「そば処 いちべえ」はどのような展開だったんですか?

増子さん:里の駅がオープンしてから2~3年経った頃、今度は助成金を申請することになりました。その助成金の申請条件は3つあって、「中山間地域」「郷土芸能」「地域活性化」でした。坂井集落は昔から御神楽を行っていて300年くらいの伝統もあるんです。申請条件もすべてクリアできているし、「ダメもとでもまずは申請してみよう」っていう感じで応募しました。新潟県で2団体だけ通ったんですが、そのひとつとして選んでもらったんです。それが「そば処 いちべえ」です。

 

風味豊かな蕎麦に仕上がる、「挽きぐるみ」製法。

――蕎麦屋だったのはなぜですか?

増子さん:佐藤さんが人気店の有名な蕎麦屋さんに勤めていたときがあって、当時その評判がとっても良かったんです。なので「せっかくそんないい腕があるんだから、もう一度お蕎麦屋さんやりませんか?」って皆んなでお誘いしたんです。

 

――そうだったんですね。佐藤さん、こちらのお蕎麦の特徴はどんなところですか?

佐藤さん:まず8割が蕎麦粉、2割が小麦粉です。この割合はバランスが良くて美味しいと言われていますね。あとは風味や食感を大事にしていて「挽きぐるみ」という製法で作っています。実と皮を一緒に石臼で挽くので、色はちょっと濃い目になって、昔で言う「田舎そば」に近い蕎麦になります。でも香りとか風味が全然違いますから、美味しく食べていただけると思います。

 

 

――「挽きぐるみ」とはどんな製法ですか?

佐藤さん:普通は生産の段階で砕くんです。蕎麦殻を一番、二番、三番粉っていうふうに分けていき、一番粉は御膳粉といって更科粉になります。この部分は一割も取れなくて量が少ないので蕎麦を作るときだけの粉にして、あとの二番、三番粉を石臼で挽くんです。でもうちの場合、蕎麦殻を全部一気に挽いているので色も濃くなるし風味も良くなります。

 

――他にこだわっている部分などありますか?

佐藤さん:蕎麦粉へのこだわりとしては挽き置きをしないようにしています。最低でも前日か、なるべく営業しながら挽いて新鮮なものを使うようにしています。挽いたあとの粉もすぐにつなぎの粉と一緒に冷蔵庫に入れます。こうすることで粉の湿度や水分量を調整して馴染ませることができて、風味が損なわれないんですね。

 

地元農家さんの野菜を使って、地域連携を強化。

――新鮮なものを提供する工夫がされているわけですね。

佐藤さん:天ぷらに関してもなるべく地元の山とか、この辺で採れる野菜を使うようにしています。もう少しすると山菜の時期も終わって野菜もなくなってくるので、朝市で農家の方たちが出店している素材を使うようにして、地域と連携して営業しています。

 

増子さん:山菜も珍しいものが多いのでぜひ見ていってください。皆さん「これなんだろう?」ってびっくりしていきますね。

 

――訪れた方がこの地域を体験できる場所としての立ち位置になっているわけですね。

増子さん:集落の良さを伝えるコミュニティみたいな感じですかね。ゆくゆくはもっと地域との連携を増やしながらやっていきたいと思っています。

 

 

――今後の目標もそういったところになりますか?

増子さん:そうですね。あとはお蕎麦屋さんをもっと広いお店にして、たくさんの方に食べていただきたいです。胎内市は結構観光地が多くて、近くにはフィッシングパーク、胎内スキー場、胎内観音、道の駅、樽が橋遊園などたくさん見どころがあるんです。観光地に遊びに来たら、ぜひこっちにも寄って帰ってほしいなと思います。日曜日は地元農家さんが出す新鮮な野菜を買える朝市もやっていて、値段もお得で珍しいものもたくさん並んでいるので、一度見に来てください。

 

佐藤さん:あと蕎麦だけでなくて時期の山菜や野菜を使った定食とかも出したいですね。秋は山芋定食とかいいですよね。せっかく良い素材があって採ってくれる人もいるのに提供する場所が少ないのがもったいないと思っています。

 

 

里の駅 いちべえ

胎内市坂井606-4

11:00-14:00

土・日曜日のみ営業(平日は基本お休み)

(営業日はFacebookをご確認ください)

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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