歴史ある温泉街と魚沼の魅力を再発見する「大湯アートフェスFLOU」。
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2023.06.12
魚沼市にある開湯1300年の「大湯温泉」を舞台に、歌やダンス、映像、プロジェクションマッピングなど、様々なジャンルのアーティストがパフォーマンスを行う「大湯アートフェスFLOU」。第2回となる今年は、7月15日と16日の2日間で開催されます。今回は実行委員長の坂本さんと実行委員の清塚さん、瀧澤さんに、運営に携わる地元の方たちの思いについて聞いてきました。


大湯アートフェスFLOU
坂本 淳 Jun Sakamoto
1976年東京都生まれ。「株式会社百笑縁ファーム」代表取締役。2002年に農業をやるため東京から魚沼市へ移住。2021年に法人化し、「株式会社百笑縁ファーム」を立ち上げる。今年より「大湯アートフェスFLOU」の実行委員長を務める。

大湯アートフェスFLOU
清塚 ひとみ Hitomi Kiyozuka
1979年大阪生まれ。2歳ごろまで横浜で過ごした後、父親の地元である魚沼市に移住。バスガイドとして勤めた後、坂本さんが代表取締役を務める「株式会社百笑縁ファーム」に入社し、地域情報サイト「まいぷれ魚沼・南魚沼」編集部スタッフを任される。

大湯アートフェスFLOU
瀧澤 さくら Sakura Takizawa
2002年魚沼市生まれ。地元魚沼市を盛り上げるため、商店街のPR動画の制作や、商店街の空き店舗を活用したイベントの企画などを行う。活動を行う中で坂本さんと知り合い、「大湯アートフェスFLOU」に運営メンバーとして参加。
現代アートを通じて、歴史ある温泉街の新しい魅力を再発見する。
——今お邪魔している大湯温泉って、どういう場所なんでしょうか。
坂本さん:開湯1300年以上の歴史ある温泉街です。バブル期にはメインのすずらん通りにいろんなお店が並んでいて、置屋も射的をできる場所もあったそうです。
瀧澤さん:みんな浴衣の裾にお金を入れて歩いているので、お金がいっぱい落ちていたらしいですよ。子どもは朝になるとそれを拾って学校に行っていたとか(笑)。そのくらい勢いがあったそうですね。
清塚さん:今では人が歩いているとびっくりされるくらいですけどね(笑)
——とても雰囲気がある温泉街ですし、それだけ栄えていたというのもなんとなく頷けます。
坂本さん:そんな大湯温泉の新たな魅力を、現代アートを通じて再発見していこう、というのがこのイベントの目的ですね。ただ見て回るんじゃなくて、お客さんとの一体感が生まれるような参加型のかたちになればいいなと。ディレクションは東京のイベント会社に任せているんですけど、今はホームページに参加アーティストの方が随時発表されている状態で、今年は昨年以上にジャンルレスなラインナップになりそうです。
イベントを通じて目指すのは、地元の若者たちが自由にチャレンジできる環境づくり。
——実行委員の皆さんのことも教えてください。実行委員長の坂本さんは東京のご出身なんですね。
坂本さん:僕は東京の出身で、農業がしたくて東京から移住してきたんです。新潟には縁もゆかりもなかったんですけど、両親が先に新潟に移住していて。遊びに行ったときに家庭菜園で育てていた野菜を食べてみたら、それがあまりにも美味しくて、自分も農業をしたいと思ったんです。
——清塚さんは坂本さんが経営する会社で、魚沼の情報サイト「まいぷれ魚沼」を運営しているそうですね。
清塚さん:坂本さんとは家が近所なんですよ。子どもが同級生なのでPTA役員とかも一緒にやっていて。坂本さんの会社で「まいぷれ」をはじめるっていうときに誘われて、以前はバスガイドをやっていたんですけど、コロナ禍で仕事がなくなっていたなかで地域発信もしたいと思っていたので、思いきって社員になりました。

——農業法人なのに、地域情報サイトを運営しているのはどうしてなんですか?
坂本さん:この20年で魚沼のいろいろな現状を目の当たりにしていて。小学生とか中学生のときって、みんなすごく地元が好きなんですよね。でも大きくなるにつれて、仕事がなかったりで外に出ていっちゃうじゃないですか。それで戻ってこない。だからその子たちが大人になっても魚沼で生活していけるような仕事を作ってくために、地域づくりをやっていこうと思ったんです。
——確かに、地元で働きたくても仕事がないと、泣く泣く県外に出ていくことになっちゃいますよね。
坂本さん:人を育てて、育てた子たちがしっかり自立できるような環境を作っていく。すべてをうちで受け入れるわけにはいかないので、地域経済そのものを活発化させて、受け皿となり得る企業や地域の基盤を作っていこうという思いで「まいぷれ」をはじめました。

——そもそも「大湯アートフェスFLOU」はどんな思いではじまったイベントなんですか?
坂本さん:昨年の実行委員長でもある、大湯温泉にある「友家ホテル」のご主人が立ち上げたイベントなんです。今までこの地域では夏になると「うおぬま夏の雪まつり」をやっていたんですけど、せっかく温泉街なんだから外から人が呼べるようなイベントにしようと「FLOU」をはじめたんです。
——今年、坂本さんが実行委員長を務めることになったのにはどんな経緯が?
坂本さん:昨年はイベントにブースを出したくらいの関わりだったんですけど、我々が「まいぷれ」のように地域づくり事業をやっていることを去年の実行委員長はご存知だったので、イベントをもっと市内全域に広げていきたいっていう思いもあったのか、やってくれないかと言われて。その話を貰ったとき真っ先に「大湯のためだけにイベントをやるんだったら僕は実行委員長をやらないよ」と言ったんですよ。
——どういう思いでそうおっしゃったんでしょう?
坂本さん:大湯のためだけじゃなくて魚沼市全体のためにやるっていうこともそうなんですけど。これは田舎あるあるで、結局年配の方の意見が強くて、年配の方の意見をそのまま反映するっていうことになりがちなんですよね。だけどそうではなくて、僕が若い子たちを引き込むから、その子たちの意見がちゃんと反映されて、やりたいことにチャレンジできるようなかたちに持っていきたいと伝えたんです。それでいいということだったので、実行委員長を引き受けることにしました。

——そこで瀧澤さんに声を掛けたんですね。
坂本さん:さくらさんは去年「魚沼市観光のミライ会議」という行政の事業に参加していて。そういった事業があることは耳にしていたので、ぜひそういう子たちに「FLOU」のメンバーに加わってもらいたいなと思って、今年の4月に声を掛けさせてもらったんです。
——瀧澤さんは魚沼でどんな活動をしているんですか?
瀧澤さん:高校生のときは、地元の商店街のPR動画を作ってYouTubeにアップする活動をしていました。最近では商店街の空き店舗を使ったイベントの企画とか、地域を盛り上げるための活動をしていています。その流れで坂本さんに知り合って、「FLOU」に参加することになりました。

——瀧澤さんのような若い方が地元に貢献しようと奮闘しているのって、すごく素敵なことですね。
坂本さん:天然記念物より貴重な存在ですよね(笑)。こういう若い子たちの動きを我々大人が止めるって絶対にあってはいけないことですし、思いっきりやってもらえるような環境を作りたいと思っています。今回の「FLOU」ではそれを達成するというよりは、これからさくらさんのような若い子たちがチャレンジできるような環境づくりや、地域への意識付けをしていきたいんです。

魚沼の魅力を、まずは魚沼の人たちに知ってほしい。
——皆さんはどんな方にこのイベントのことを知ってほしいですか?
坂本さん:僕は最初、魚沼の外からいろんな人が来て欲しいと思っていたんですけど、さくらさんに「それは次の段階でもいいんじゃないですか?」と言われて。まずは魚沼の人たちにこのイベントのことを知ってもらって、その上で外からの人を呼ぶべきだって。その通りだなって思いました。だからまずは魚沼市民の方全員に知ってもらいたいですね。
清塚さん:こんな場所があるってことを知らない地元の人もたくさんいますからね。年配の方だと「プロジェクションマッピング」とか、言葉自体知らないかもしれませんし。
瀧澤さん:「FLOU」のような最先端の技術を使ったイベントって魚沼にはこれまでなかったので、地元の人たちも行きづらかったっていう話を私も聞いて。そういうのを少しずつ埋めていきたいなって思います。
——「FLOU」の実行委員長として、坂本さんがいちばん伝えたいのはどんなことですか?
坂本さん:ひとことで言ってしまえば「魚沼はまだ捨てたもんじゃないよ」ということですね。人がいなくなったり、マイナスのイメージを持っている人が多いと思うんですよ。でもやり方によってはまだまだ輝かせられるっていうことを魚沼の人たちに知ってもらって、「私も何かやってみようかな」と思ってもらえるようにつなげていきたいです。

大湯アートフェスFLOU
開催日 7月15日(土)・16日(日)
会場 魚沼市大湯温泉
※チケットはホームページからのECサイトと各チケット取扱店で販売中
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