福島県会津地域にある「星野リゾート 磐梯山温泉ホテル」。日本百名山のひとつである磐梯山の麓、猪苗代湖を見下ろせる絶好のロケーションに建つリゾートホテルで、「新潟からいちばん近い星野リゾート」でもあるんです。ホテルの目の前には国内最大級のスキー場が広がり、スキー好きやスノボ好きにはたまらない立地。なんとこちらのホテルにThings編集部がご招待いただいたので、女子ふたりで1泊2日、思いっきり楽しませてもらいました! 今回はいつもよりちょっと記事をボリュームアップして、ホテル滞在レポートを皆さんにお届けします。
ホテルに到着すると、館内のあちこちに福島の郷土玩具「赤べこ」がいてほっこり。写真を撮っていると、今回私たちを招待してくれた「磐梯山温泉ホテル スタッフ」の神(じん)さんが迎えてくれました。
「ここは『会津文化体験ホテル』がコンセプトのマウンテンリゾートで、会津の郷土料理や民芸品など、文化の魅力に触れていただくことができます。磐梯山や猪苗代湖が見渡せる好立地に建っていて、周辺の有名な観光エリアへはどこも車で約30分の距離なので、アクセスもいいんです。自然もラーメンも居酒屋も楽しめますし、時期によってはわかさぎ釣りも体験できます」(神さん)
会津のシンボル「鶴ヶ城」が建つ「会津若松エリア」、雄大な自然を感じられる「裏磐梯エリア」、日本三大ラーメンのひとつである「喜多方ラーメン」発祥の地である「喜多方エリア」。どのエリアまでも車で約30分で行けてしまうので、ホテルを拠点に周辺を回遊してみるのもおすすめの楽しみ方なんだそう。
到着してさっそく、お部屋に案内してもらいました。今回案内してもらったのは、全149室のうち、2部屋だけという「会津モダンスイート」。壁には会津の自然をイメージしたデザインが施されているほか、会津に伝わる綿織物「会津木綿」のクッション、伝統工芸品である会津塗のぐい呑みやポットが用意されています。
部屋の冷蔵庫には会津の地酒が用意されていて、代金は宿泊料金に含まれているため、自由に飲んで楽しむことができます。地元の文化や伝統を感じる部屋で、気心知れた仲間とゆっくりと地酒を味わえるのがこの「会津モダンスイート」の魅力。こちらの部屋の他にもキッズルームやメゾネットルーム、愛犬ルームなど、滞在のかたちに合わせた部屋を選べます。
ホテルの目の前には広大なゲレンデが広がり、冬にはスノーアクティビティを楽しめます。今シーズンから、猫魔ヶ岳の南北にまたがる「アルツ磐梯」と「猫魔スキー場」が連結リフトでつながり、国内最大級のスキー場「星野リゾート ネコマ マウンテン」として生まれ変わりました。家族連れも初心者も上級者も楽しめる、バリエーション豊富なふたつのエリアを自由に行き来することができます。たくさんの赤べこで飾られた広場があるほか、子ども向けに赤べこ柄のウェアのレンタルが用意されていたり、赤べこ柄にラッピングされた雪上車があったりと、写真映えすること間違いなしです。
「スキーやスノボ好きのスタッフが多いので、そこから出るアイデアが企画として実現することも多いんです。いい文化ですよね」(神さん)
神さんが話すように、ウィンタースポーツを愛するスタッフが多いからこそ、スキーヤー・スノーボーダー目線の嬉しいサービスがあるのもこのホテルの魅力。今シーズンからゲレンデを利用される方に合わせて、16時チェックイン、14時チェックアウトを導入したんだそうです。また、仲間たちと滑りについて語り合ったり、無料でワックスを利用できたりするスペース「Hangout」も新設されました。
スキー場を見て回ったり、ロビーで「ウェルカム味噌汁」をいただいたりしていると、気づけば夕食の時間。ビュッフェレストラン「kisse・kisse(キッセキッセ)」に向かいます。ちなみに「きっせ」は会津弁で「おいで」っていう意味なんだとか。
色とりどりの料理が用意されている中、大きな赤べこのテーブルには会津の郷土料理が並びます。「にしんの山椒漬け」「いかにんじん」「三五八漬け」「こづゆ」などなど……。会津では新鮮な海産物の入手が難しかった時代に、保存性のよい干物がよく食べられていたんだそうです。そのため、会津の郷土料理には保存食を活用したものが多いんです。
その他にも、ライブキッチンで作られる「わっぱめし」や、打ちたての蕎麦と揚げたての天ぷらがセットになった「天せいろ」なども楽しめます。朝食には「喜多方ラーメン」も用意されていました。
夕食を終えると、日本酒専門バー「会津SAKE Bar」がオープンしていました。福島県内に61ある酒蔵のうち30蔵が会津にあり、そのすべて蔵の地酒を取り揃えているんだとか。この日も会津の地酒が10種類以上用意されていて、どのお酒もお猪口1杯から飲むことができました。
カウンターに立つのはホテルのスタッフで、利き酒師でもある、小野さん。お客さんの好みやそのときの気分を聞いて、おすすめの地酒を提案してくれます。もちろん日本酒の知識豊富で、それぞれのお酒に合う料理や、おすすめの飲み方、酒器による味わいの違いなんかも教えてくれます。
「新潟のお酒はよく『淡麗辛口』といわれますが、こっちのお酒は『濃醇旨口』といわれています。海産物が手に入りにくかった時代に、保存が効くよう干物などの料理がよく食べられていて、それに合うよう濃厚で味わい深いお酒を造るようになったんです。純米酒で米のうまみがよく感じられるのが、会津のお酒の特徴だと思います」(小野さん)
お米の産地であり、銘水にも恵まれた土地で造られる日本酒は、フルーティーな味わいなんだそう。小野さんお気に入りの地酒についても聞いてみました。
「私が結局いつも選んじゃうのは『髙橋庄作酒造店』さんの『会津娘』ですね。飲み飽きない味で、その場の主役になるというよりは、その場の食事を引き立てるようなお酒だと思います。飲み手や飲む場を想像して作られているんです」(小野さん)
年に1度行われる「全国新酒鑑評会」で都道府県別金賞受賞数「9回連続日本一」を達成するなど、全国的に高い評価を受けている福島の日本酒。こちらのホテルでも、春になると、品評会気分で飲み比べをする「会津ノムリエ品評会」というイベントが開催され、大人気なんだとか。日本酒好きならワクワクしちゃうイベントですよね。ちなみに会津には居酒屋文化が根づいていて、人口に対して居酒屋の数が多い土地なんです。ホテルを出て会津若松市内の居酒屋で夕食を楽しめる送迎付きプランもあるので、2泊目の夜に地元の居酒屋を堪能するのもおすすめです。
美味しいご飯と美味しい日本酒でお腹いっぱい。夜はぐっすり……。でもただ食べて飲むだけではない、会津文化を感じられる体験が、このホテルには揃っているんです。
ロビーに用意されているのが「薬研こしぇる茶」のコーナー。江戸時代から薬草の栽培が盛んに行われていた会津には、漢方薬の文化があって、こちらでは数種類の茶葉の中から自分で選んで挽いて、好みのお茶を作ることができます。ちょっとした空き時間の間にも、会津ならではのアクティビティを楽しめるんです。
夜には赤べこのやぐらを囲んで、民謡「会津磐梯山」に合わせた盆踊りを楽しむ「あいばせ!踊らんしょ」が開催されます。地元民謡歌手による生歌生演奏の迫力あるショーで、太鼓の音に合わせてスタッフさんと一緒に踊ります。ほろ酔いの中みんなで踊れば、盛り上がること間違いなし。
2日目に私たちが体験させてもらったのは、「会津てわっさ」。「てわっさ」とは会津弁で「手わざ」という意味で、赤べこをはじめ、起き上がり小法師や白虎刀など、会津の郷土玩具の絵付けを体験できます。集中して絵付けをしていると、気分は赤べこ職人……。完成した世界にひとつの赤べこに、とっても愛着が湧きました。
ちなみに「赤べこ」の由来は諸説あるんだそう。ひとつは柳津町が発祥といわれていて、被災したお寺を再建する際に赤毛の牛が一生懸命手伝ってくれたという説。もうひとつは天然痘が流行った際に赤べこの張り子を贈ったところ、身代わりになってくれて病気が治ったという説。そういった由来から赤べこは厄除け・縁起物とされていて、地元の人に親しまれ続けているんだそうです。
絵付けした赤べこを受け取って、楽しかった旅行はいよいよ終わり。白虎隊の衣装を来たスタッフさんが、お見送りしてくれます。最後にホテルスタッフの神さんから、読者の皆さんへメッセージをいただきました。
「ただ楽しむだけではなくて、発見や面白いものがあることが価値につながると思っています。季節ごとに、新しい発見につながるような企画をご用意しているので、まずはこのホテルを目的に会津へ来ていただいて、そこから周辺観光や、いろいろな体験を楽しんでいただきたいですね」(神さん)
今回の旅で印象的だったのは、このホテルで働いている方たちが誰よりも会津を楽しんで、訪れる人たちにその魅力を伝えようと勉強、努力されている姿でした。地域とホテルで連携して企画されているイベントも多く、一体となって会津地域を盛り上げていこうという思いを強く感じました。短い滞在の間で、会津文化や会津の人たちの赤べこ愛に触れる、発見のある楽しい旅でした!
星野リゾート 磐梯山温泉ホテル
福島県耶麻郡磐梯町大字更科字清水平6838-68
TEL:050-3134-8094(星野リゾート予約センター)