新潟のアイドルシーンを盛り上げるため、元アイドルが事務所を立ち上げて、新しいアイドルのプロデュースをはじめました。今回はアイドルグループ「cana÷biss(カナビス)」の元メンバーで「FIRST.IDOL.GATE(ファーストアイドルゲート)」を立ち上げた「あやちむ」こと岩瀬さんに、ご自身のアイドル人生やプロデュースの難しさについてお話を聞いてきました。
FIRST.IDOL.GATE
岩瀬 彩花 Ayaka Iwase
1999年加茂市生まれ。通称「あやちむ」。2016年に新潟の芸能事務所に所属しアイドル活動をスタート。2018年にmusic trace inc.へ移籍し、同年10月より「cana÷biss」に加入。2021年からはアイドル事務所「FIRST.IDOL.GATE」を設立しプロデュースをはじめ、2024年のcana÷biss解散に合わせてアイドル活動を卒業する。お酒が好きで、よく小料理屋でひとり飲みしている。
——「岩瀬さん」だと呼び慣れないので、皆さんにも馴染みのある「あやちむさん」と呼んでもいいですか?
あやちむ:私もそっちの方がしっくりきます(笑)
——あやちむさんは子どもの頃からアイドルに憧れていたんでしょうか?
あやちむ:そうですね。高校生の頃にはアイドルオタクとして「ももいろクローバーZ」さんや「チームしゃちほこ(現TEAM SHACHI)」さんの追っかけをしていました。「チームしゃちほこ」さんでは秋元帆華さんを推していたので、後に自分も赤色担当になったんです(笑)。ただアイドルになりたいというよりは、アイドルを自分でプロデュースしてみたいという気持ちの方が強かったんですよね。
——ドルオタだったあやちむさんが、アイドルになったきっかけは?
あやちむ:新潟のアイドルグループも応援していて、よくライブ参戦していたんですけど、ある日運営の方から「そんなに好きなんだったら、アイドルとしてやってみないか」とスカウトしていただいたんです。それでソロアイドルからスタートしたんですけど、ドルオタがアイドルになったことで同じオタクの方々から反感を買って、ネットでも散々叩かれましたね。
——そんな苦労があったんですね。ずっとソロアイドルとして活動していたんでしょうか?
あやちむ:ふたり組ユニットからグループまでいろいろなアイドル活動をしていましたが、高校を卒業するタイミングで「music trace(ミュージックトレース)」という事務所に移りました。ファミレスでオレンジジュースを飲みながら5分間面接して、どういうグループをやりたいのか聞かれたので、「アイドルになれるんだったら何でもいいです」って答えた記憶があります(笑)
——「music trace」ではどんなアイドル活動をしたんでしょう?
あやちむ:しばらくはソロアイドルや「DJあやちむ」として活動していましたが、ソロ活動に限界を感じていたこともあって、2018年に卒業したメンバーの代わりに「cana÷biss」へ加入しました。
——ソロからグループでの活動に変わって、戸惑うことはなかったですか?
あやちむ:私は歌もダンスも得意じゃなかったので、メンバーの足を引っ張るんじゃないかと心配でした。特にグループで歌った経験がなかったので、慣れるまでは大変でしたね。でもメンバーがすぐに受け入れてくれたおかげで、のびのびと活動することができました。
——「cana÷biss」として活動するなかで、大変だったことがあったら教えてください。
あやちむ:歌が得意じゃない上に、声質が「cana÷biss」の雰囲気に合わなくて、レコーディングが上手くいかずに泣いてしまったことがあります。ダンスの振り入れも苦手で覚えるまでは大変でしたね。それから1日に数ヵ所を回すサーキットイベントも大変でした。会場には別のグループを応援している3〜4人のお客さんしかいなかったりするんですけど、自分たちのファンになってもらおうとステージを頑張っていました(笑)
——そんな厳しいステージもあるんですね(笑)
あやちむ:ありますよ(笑)。その反対に、ワンマンライブで大きな会場が満席になったときは、集まった皆さんが「cana÷biss」を応援してくれているんだと感じて嬉しかったですね。自分が主役になれる生誕祭ライブも毎年楽しみでした(笑)
——そんな「cana÷biss」も今年の3月に解散しちゃったんですよね。
あやちむ:10周年のタイミングで卒業しようと考えていたメンバーもいたし、私も3年前から「FIRST.IDOL.GATE」というアイドル事務所を立ち上げて、プロデュース業に力を入れたいと思っていたので、みんなで話し合って解散することになったんです。
——「FIRST.IDOL.GATE」では何組のアイドルが活動しているんですか?
あやちむ:現在は「U≠may(ウンメイ)」と「WANNA(ワナ)」のふた組です。「F.I.G」を設立した翌年にオーディションを開催して、40人のなかから5人を選んで「U≠may」を結成したんですけど、1年間で活動休止することになってしまったんです。残ったメンバーで「WANNA」を結成したんですけど、メンバーの意向に沿って「U≠may」のようなキラキラ系ではなく、クール系のアイドルになりました。
——あれ? 「U≠may」はお休みしているんですか?
あやちむ:昨年の11月からしばらくお休みをしていたんですけど、オーディションを通過したメンバーにより、新生「U≠may」として3月に再デビューしたんです。
——そういうことなんですね。あやちむさんが色々なことを、ひとりでやっているんですよね。
あやちむ:プロデュースからマネジメントまでひとりでやっていますね(笑)。ダンスの振り入れをしたり歌のレッスンを見たりすることもあります。曲や衣装を作るときもめちゃくちゃ細かく要望を伝えるので、うるさいと思われてるんじゃないかな(笑)
——例えばどんな要望を伝えるんですか?
あやちむ:曲を作っていただく際には、まだメンバーの歌唱力が低いので曲の力でテンション感を出してほしいとか、メンバーの自然な表情を引き出せるような曲にしてほしいとか伝えています。衣装にしても白くてキラキラしたイメージにしてほしいとか、アイドルになれたときめきや喜びを表現してほしいとかお願いしています。
——なるほどー、色々考えて曲や衣装を作っているんですね。では、アイドルを育成する難しさを感じることってありますか?
あやちむ:もちろんありますよ。いろんな子がいますから、それぞれに合わせて進めなければならないのは大変ですね。あとメンバー間のごたごたが起こることもありますけど、私は介入しないでメンバー同士で解決してもらっています。そうすることでメンバーの絆も深まると思うんですよ。私もアイドルを経験してきたのでメンバーの気持ちはわかるんです。
——確かにアイドル経験者のプロデュースなら心強いでしょうね。
あやちむ:最初は大変なことばかりだったんですけど、最近になってやっと楽しくなってきました。「WANNA」の子達は練習の成果を出すことだけで精一杯だったんですけど、この頃では楽しんでパフォーマンスする余裕が出てきたんです。そうした成長を感じることができるのは嬉しいですね。
——これからが楽しみですね。今後はどんな予定があるんでしょうか?
あやちむ:今年の夏に向けて新しいアルバムを製作しているところです。それから新しいグループのデビューも予定しています。いつか新潟に劇場型のライブハウスを作ることが私の夢なんですよ。
——新潟のサブカルチャーをもっと盛り上げるためにも、ぜひ頑張ってほしいです。
あやちむ:コロナ禍の影響でお客さんの元気が無くなったり、アイドルグループがどんどん減ってきていることに危機感を感じているんです。現在頑張っている運営さんたちの後を受け継いで、10年後の新潟でアイドルシーンを盛り上げていけるように頑張っていきたいと思っています。アイドルの夢を追いかける子達を応援しながら、新潟のサブカルチャーを盛り上げていきたいですね。
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