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産地をめぐり、日本茶の魅力を伝える「茶に逢う」。

出雲崎町にある「茶に逢う」。気軽に日本茶が楽しめるお店です。「お茶が作られる場を実際に見たい」と全国各地を訪れたことがきっかけで日本茶にハマったという竹部さんに、お話を聞いてきました。

 

茶に逢う

竹部 雄貴 Yuki Takabe

1992年新潟市生まれ。医療系の専門学校を卒業後、理学療法士として働く。その後、飲食業に転身。西蒲区のコーヒーショップと弥彦の飲食店を経て、2024年に「茶に逢う」をオープン。好きなお茶は、静岡産無農薬烏龍茶。

 

いつもと違うひとときがもたらす、喜び。

――以前「たわい」さんにも取材にご協力いただきました。「たわい」と「茶に逢う」、同じ店舗にふたつお店があるスタイルと言えばいいでしょうか?

竹部さん:どういうふうに表現したらいいのか難しいですよね(笑)。共同経営とも違うし、茶室は「茶に逢う」、それ以外は「たわい」というわけでもなくて。自分たちでも説明ができません。でもその「説明ができない」っていうのもいいかなって思っているんです。

 

――とにかくここに来れば「たわい」と「茶に逢う」の両方が楽しめますね。ところで竹部さん、以前はリハビリの現場で働いていたそうですが。

竹部さん:専門学校を卒業してから、理学療法士として関東の病院で3年ほど働きました。新潟に戻ってからは高齢者施設に勤務していたんです。そこでは月に1度、おじいちゃんおばあちゃんをおもてなしするカフェを開いていました。そのとき、「こんなふうに皆さんを楽しませる場所を作りたいな」って思いが強くなって。いつかお店を構えることを目標に、コーヒーショップでも働きはじめました。

 

 

――カフェイベントは、息抜きできる時間だったんでしょうね。

竹部さん:医療機関にいると、患者さんたちから見える世界がその施設の中だけになってしまう気がするんです。でもイベントでは、皆さんがいつもとは違う世界に触れている感じがしました。もっと範囲を広げてはどうだろうと、当時ダブルワークしていたコーヒーショップに利用者さんをお招きしたこともありました。

 

産地を巡るからこそ、伝えられる。

――「茶に逢う」さんでは、本格的なお茶が楽しめるんですよね。

竹部さん:カジュアルにお茶に触れていただける場所です。「美味しいお茶が日本にはたくさんあるんですよ」と伝えられたらいいなと思っています。

 

――どんなお茶があるんですか?

竹部さん:日本各国から取り寄せた煎茶、ほうじ茶、紅茶、烏龍茶などをご用意しています。

 

——甘味メニューもありますよね?

竹部さん:定番はどら焼き。あとは月替わりのメニューがあります。「たわい」にも甘味メニューがありますよ。

 

 

――コーヒーショップからのスタートでしたが、日本茶にシフトしたのはどうしてでしょう?

竹部さん:振り返るとコロナ禍の影響があるのかもしれません。というのは、僕は生産現場を「実際に見たい」「生産者さんと直接お話ししたい」という気持ちを強く持っていて。その頃、「たわい」の岩田さんと出会うきっかけになった弥彦の飲食店で働いていたんですけど、そこで岐阜県の東白川村というところのお茶を知りました。正直なところ僕は、村上茶、静岡のお茶、京都のお茶くらいしか知らなかったんですよ。思いもよらない場所でお茶が生産されていると知って、「もっと他にもあるのでは」と調べるようになったんです。コロナ禍でコーヒーの生産地である海外には行けないけれど、日本には行ける場所もあるよねってどんどん各地を訪れるようになりました。それから日本茶にハマっていったんです。

 

――新潟からはるばる生産地を回られたんですね。

竹部さん:「よく来たね」って歓迎されるんですよ。そこで摘み取りを体験したり、農機具を見せてもらったりして。

 

――体験することを大事にされているんだなって思いました。

竹部さん:いちばん大事にしていることかもしれないですね。実際に見て、知ったこと、感じたことをお客さまにお伝えしています。「美味しい」だけじゃないエッセンスみたいなものが伝わったらいいですよね。

 

自宅で味わう日本茶とはちょっと違う。ひと味もふた味も特別に。

――生産地に足を運ばれてびっくりしたエピソードを教えてください。

竹部さん:静岡に行ったとき、いちばん驚いたかもしれません。どこもかしこも茶畑で。新潟の田園風景とは違うし、「お茶を作る場所はこういう場所なんだな」って感動しました。山の奥に突然茶畑が拓けている地域もありましたね。その土地ごとにいろいろな工夫をして、お茶の栽培をしているんですよね。

 

――日本茶の魅力はどんなところにありますか?

竹部さん:農家さんにすぐに会いに行けるところかなと思います。日本の文化でもありますし、実際に生産されている方のところにお邪魔して、お茶を味わえるなんてすごく贅沢なことですよね。それから同じお茶なのに、生産される場所によってぜんぜん違うものができるところもおもしろいですよね。

 

――それは風味が違う?

竹部さん:味が違うんです。土や気候の違いで、大きく変化するんですよ。

 

 

――こんな素敵な茶室で味わえる日本茶、すごく美味しいでしょうね。

竹部さん:お湯の温度、湯呑みの温め具合など、美味しく味わっていただけるように細かいところも気を配っています。ほうじ茶なんかは、自宅でも飲めるんだけど、それをもっと特別に美味しく飲むためにどうするかっていつも考えています。

 

――最後にこれからやりたいことなどがあれば教えてください。

竹部さん:日本茶を求めている海外の方も増えているようなので、いろいろなお茶を楽しめるお宿もいいなとかティースタンドもできたらいいなとか、アイディアは浮かびます。でも今はこの場所でまだまだ頑張りたいと思っています。

 

 

 

茶に逢う

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