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雪国で栽培される「越後バナーナ」は、皮まで食べられちゃう。

バナナの皮って食べたことある?

唐突ですが、みなさんはバナナの皮って食べたことありますか? 食べたことのある方、美味しかったですか? 実は柏崎市には皮まで美味しく食べれちゃうバナナを栽培している農園があるんです。農園を運営している「シモダ産業株式会社」の常務取締役・霜田真紀子さんに、どうしてバナナの栽培を始めたのか、どんなふうにバナナ作りに取り込んでいるのか、そして食べられる皮のことまで、いろいろとお話を聞いてきました。

 

 

シモダ産業株式会社

霜田 真紀子 Makiko Shimoda

1980年柏崎市生まれ。長岡高等学校卒業後、早稲田大学で学ぶ。その後、東京都の保険会社で2年間働き、柏崎市に戻ってシモダ産業株式会社で働き始める。現在は常務取締役兼営業企画として「越後バナーナ」に携わっている。大学時代は1年の半分以上をスキーで楽しんでいた。

 

「越後バナーナ」はどんな会社が作っているの?

——立派なビニールハウスが並んでますね。「霜田産業株式会社」って農業関係の会社なんですか?

霜田さん:鋳造の際に使う鋳物砂を製造する会社なんです。「循環・環境」を軸に、その鋳物砂を回収して再利用したり、産業廃棄物焼却施設から出る焼却灰を無害化したり、再利用したりする取り組みも行っています。

 

——じゃあ、元々は農業関係の会社じゃないんですね。どうしてバナナを作ることになったんですか?

霜田さん:ひとつは、2017年にできた産業廃棄物焼却施設の排熱を、何かに利用することはできないかっていう課題があったんです。もうひとつは社長が南国で食べたバナナの味が忘れられなくて、そのときのバナナを柏崎の人たちに味わってほしいという思いがあって、そのふたつがちょうど合致したんですよ。

 

——南国のバナナって、日本で食べるバナナとそんなに味が違うもんなんですか?

霜田さん:日本で食べられているバナナのほとんどは海外から輸入していますよね ?長い時間輸送することを考えて、まだ成熟してない若いうちに摘み取って、輸送する間に薬品で成熟をコントロールしているんです。収穫してから長い時間が経ちますし、当然味は落ちますよね。

 

南国のバナナが雪国の新潟で栽培できる理由とは?

——「越後バナーナ」ってどんなバナナなんですか?

霜田さん:日本に多く流通しているのは「キャベンディッシュ」っていう品種なんですが、「越後バナーナ」のベースになっているのは、最高品種と言われる「グロスミッチェル」で、糖度が高くて皮が薄いバナナなんです。だから熟成の度合いによっては皮まで食べられちゃうんですよ。

 

——へ〜、皮まで!かなりこだわったバナナ作りなんですね。

霜田さん:苗にもこだわっているんです。田中節三さんの特許技術による「凍結解凍覚醒法®」という方法で育てられた苗を使っています。バナナの種を一度凍結して、厳しい寒さを覚えさせてから解凍することで、寒さに強い品種が生まれるんです。その苗を使っているので、雪国の新潟でも育てられるんですよ。

 

——厳しい環境下で強い品種が育つというのは、バナナも人間も一緒ですね。そのバナナをどんなふうに栽培してるんですか?

霜田さん:産業廃棄物焼却炉の冷却に使った水って90℃近い高温になるんです。その温水をバナナが栽培されているビニールハウスに引っ張ってきて、温水の熱を使いながらハウス内の室温を常時24℃に保つんです。ハウスを温めた後に冷めた水は、再び冷却水として焼却炉を冷やすためにリサイクルしています。

 

こだわって栽培した末に迎えたドキドキの試食会。

——糖度の高いバナナということですけど、何か工夫はあるんですか?

霜田さん:農薬や化学肥料を使わないで栽培して、ギリギリまで木の上で成熟させてから収穫するようにしています。そうすることで皮に苦味のない、糖度の高いバナナになるんですよ。

 

——栽培ってやっぱり気を使うんでしょうか。

霜田さん:日本にはバナナの天敵になるような病気や害虫は存在しないんですが、それでもカミキリムシやコガネムシなんかが食べることもありますから、葉っぱや実は頻繁にチェックしてますね。それから与える水の量にも注意しています。少なくてもダメだし、多過ぎるとバナナの糖度が下がってしまうんですよ。

 

——霜田さんが「越後バナーナ」を初めて食べたときの感想を教えてください。

霜田さん:今年の8月6日に初収穫してから、1週間くらい追熟期間を設けなければならなかったんですね。8月18日に試食会を開催して、多くの来賓者や関係者に食べていただいたんですが、じつは私たちもその日までひと口も食べてなかったんですよ。だから「美味しいはず」っていう自信はあったけど、実際に美味しいかどうかは判らなかったので、食べてみるまではドキドキしてました(笑)。でも食べてみたら本当に美味しかったので、それからは自信を持って人に薦めることができるようになりましたね。

 

——「越後バナーナ」ってどんなふうに美味しいんですか?

霜田さん:糖度が高くて皮まで食べられるというのはお話ししましたけど、よくあるバナナのパサパサ感がなくて、しっとりもっちりとした食感なんですよ。

 

地域の様々な循環を通して、みんなが幸せに。

——ところでどんな場所で売ってるんですか?

霜田さん:主旨に賛同してくれている新潟県内の八百屋さんで販売していただいてます。その他に、販売することができない等外品のバナナを加工して、お菓子屋さんや飲食店で使ってもらうことで、食品ロスの低減につなげる取り組みも行っています。

 

——さすが「循環・環境」を軸にしている会社ですね。

霜田さん:そうですね(笑)。他にもバナナを収穫した後の株は伐採するんですけど、その株も廃棄しないで門出和紙の原料として使ってるんです。今後、コースター、ランチョンマット、名刺といった和紙製品も作っていく予定です。

 

——徹底したリサイクルですね…。他にも取り組んでいることってあるんでしょうか?

霜田さん:今月末から地元の小学校が社会科見学に来るようになります。少しでも総合学習の支援に結びついて、地域活性化のお手伝いができればと思ってるんです。地域の経済、社会、環境の循環を通じて、みんなが幸せになれるように考えています。

 

——なるほど。では今後やっていきたいことを教えてください。

霜田さん:ありがたいことに首都圏からもたくさんのお問い合わせをいただいてるんですよ。今は県内の予約注文分で手一杯の状態ですが、いずれは柏崎市の新しい特産品として「越後バナーナ」が全国に定着してくれるといいですね。そのためにも今後はハウスを増設して生産性を上げて、収穫量をどんどん増やしていきたいと思っています。

 

 

「循環」という考え方から生まれた、雪国でも栽培できる「越後バナーナ」。皮まで食べることができるバナナっていうのも、捨てる物を減らすっていうリサイクルの考え方にぴったりな気がします。そんな環境に優しい「越後バナーナ」が柏崎市の新しい特産品になるのは、そんなに遠くないことかもしれませんね。

 

 

シモダ産業株式会社

〒945-0011 新潟県柏崎市松波2-6-43

0257-23-5240

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