三条市の一ノ木戸商店街にある、茶葉とコーヒー豆の専門店「星野園」。道路を挟んだその反対側には「星野商店」という古着のお店があります。こちらは「星野園」に勤める星野さんが、「大好きな古着が仕事になれば」という思いではじめた古着屋さんです。お店に置いているアイテムのことや古着の魅力について聞いてきました。
星野商店
星野 綱希 Tsunaki Hoshino
1983年三条市生まれ。サラリーマンを経験した後、6年前に家業である「株式会社 星野園」に入社。家業で働く傍ら、2022年に古着屋さん「星野商店」をオープン。
――「星野園」さんの取材時にも伺いましたが、星野さんは大の古着好きなんですよね。いつから古着を好きになったんですか?
星野さん:中学の頃からずーっと好きです。学生の頃ってお金がないじゃないですか。古着ならいいものが安く買えるから、コスパがよかったんですよね。今は古着も高くなってきていますけど、昔は今の何十分の一っていう価格でいいものが手頃に買えたんです。そこからハマっていきました。
――いつかはお店をやりたいと思っていたんでしょうか。
星野さん:最初は思っていなかったんです。でも10年以上前に、自分のコレクションをネットオークションに出してみたら売れたことがあって。そのときから「古着って商売になるのかも」と思うようになりました。趣味だからあんまり売り買いはしたくなかったんですけど、趣味が仕事になったらいいなっていう気持ちもあって、古着屋をはじめることにしました。
――「星野園」さんの真向かいにあって、行き来もしやすそうですね。
星野さん:最初は「星野園」の奥にある建物を店舗にしようかと考えていたんです。でもやっぱり道路に面しているほうがいいだろうし、真向かいなら管理もしやすいなと思って。この場所を貸してもらえることになりました。
――星野さんは基本的に「星野園」さんのほうにいらっしゃるんですよね。こちらにお客さんが来たらどうされているんですか?
星野さん:このお店に協力してくれている人がいて、お客さんが来たら教えてくれるんです。そしたら僕が「星野園」から来て対応するっていう。
――行ったり来たりするのは大変ではないですか?(笑)
星野さん:あっちもこっちも忙しいと、大変なときはあります(笑)。「ちょっと外すのでゆっくり見ていってください。すぐ戻りますんで」って。常連さんとかだと、僕が二足の草鞋を履いているって理解してくれていていますね。
――星野さんは古着の中でも特にこういうものが好き、ってあるんですか?
星野さん:「Levi’s」とか「patagonia」「L.L.Bean」、あとは「Champion」とか。そういうアウトドア・スポーツメーカーのブランドが好きです。ここにある商品の8割方がそういう商品なんじゃないかなと思います。
――同じブランドでも、現行品とはまったく違うわけですよね。
星野さん:ぜんぜん違いますね。今ってコスパ重視というか、大量に作って安く売るような時代だと思うんですけど、昔の服は「ここまでやるか」っていうぐらい職人の魂というか、そういうものを感じられるんです。
――細部までこだわって作られたことが分かるんですね。
星野さん:定価で質がそんなによくないものと、同じくらいの価格で質がいいものがあれば、後者を選ぶのは必然なんじゃないかなって。それに今の古着は、減ることはあっても増えることはないし、所有している満足度っていうのもありますよね。古着の魅力ってそういうところなんじゃないかなって思います。
――お店に来られるお客さんは、どういう方が多いですか?
星野さん:年齢層は幅広いですね。学生さんから僕より年上の方までいらっしゃいます。多いのは、90年代の古着ブームを経験したお客さんですかね。「懐かしい」って見ていかれます。その頃古着を好きになった人は、ずっと古着が好きなんじゃないかな。
――ここ数年で三条の商店街にも古着屋さんが増えましたよね。
星野さん:そうですね。「MYSTERY TRAIN Vintage &Thrift」さんが最初で、次に「gypso」さん、僕、それから「CRAZY ABOUT」さんっていう感じですかね。
――4店舗を巡ってみるのも面白そうですね。
星野さん:それぞれ置いているジャンルが違うので、「こういうものが欲しい」っていうお客さんに他のお店を勧めたり、逆に他のお店がここを勧めてくれたり。そのへんは持ちつ持たれつじゃないですけど、お客さんが何を求めているかだと思っています。
――今後はどんな思いで「星野商店」を続けていきたいですか?
星野さん:僕はここをあんまりお店だと思っていなくて、趣味の部屋だと思ってやっているんですよ。だからものすごく大きくするつもりもないし。これからも好きなものに囲まれて続けていけたらいいなって思います。
星野商店
三条市林町1-1-4