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パティシエ夫婦が営む住宅街の小さな洋菓子店「la maison de eF」。

新潟空港の近くにある閑静な住宅街に、タルトや焼菓子をメインにした「la maison de eF(ラ・メゾン・ド・エフ)」という名の小さなパティスリーがオープンしました。美味しそうな甘い匂いに包まれた店内で、オーナーシェフの古山さんからお店やお菓子へのこだわりを聞いてきました。

 

 

la maison de eF

古山 陽一 Yoichi Furuyama

1992年新潟市東区生まれ。にいがた製菓・調理専門学校卒業後、大阪のパティスリーで修業を積んでチーフパティシエを務め、東京の製菓企業で商品開発に携わる。2023年に新潟へ戻り「café yadorigi」で1年間働いた後、2025年に「la maison de eF」をオープンする。音楽を聴くことが好きで「ONE OK ROCK」がお気に入り。

修業先のパティスリーで、お客様をどう楽しませるか学ぶ。

——このたびはオープンおめでとうございます。お店は古山さんおひとりでやっているんですか?

古山さん:妻もパティシエなので、ふたりでやっています。妻とは製菓を学んだ専門学校が一緒だっただけじゃなく、修業先だった大阪のパティスリーでも一緒に働いていたんですよ。

 

——なんだか運命を感じますね(笑)。古山さんはいつからパティシエを目指そうと思ったんですか?

古山さん:高校を卒業するタイミングで、大学と専門学校のどちらに進学するか迷ったんですが、パティシエだった父の影響もあって製菓専門学校に進学することにしたんです。

 

 

——じゃあ、卒業後はパティシエの仕事に就いたんですね。

古山さん:父の仕事仲間だった方が経営する、大阪のパティスリーで修業させてもらうことになりました。オーナーをはじめ先輩方にも可愛がってもらって、この店をオープンする際もいろいろ手伝っていただいたんですよ。本当に感謝しています。

 

——いい職場だったんですね。修業中はどんなことを教わったんですか?

古山さん:お菓子づくりの基本はもちろん、お客様を飽きさせないように、どう楽しませるかを学びました。お客様の求めるものを常に考えたり、選ぶ楽しみを味わっていただくために商品を豊富にご用意したりしていましたね。お菓子のビジュアルを大事にすることも教わりました。

 

 

——確かに古山さんのつくるお菓子って、ビジュアルが強いですよね(笑)

古山さん:オーナーが得意としていた飴細工を教わって、毎年コンテストに出場しては腕を磨いたんです。おかげで何度も受賞させていただきました。

 

——それはすごい。新潟に帰ってくるまではずっとそのお店で修業を?

古山さん:独立して自分のパティスリーをオープンするのが夢だったので、経営を学ぶため製菓企業に勤めました。その会社ではオリジナル商品をはじめるタイミングだったので商品開発に携わらせていただき、その後、2年前に新潟へ帰ってきたんです。

 

——帰ってきてからすぐにお店をオープンしたんでしょうか?

古山さん:さすがに10年も新潟を離れていたので、まずは地元の様子を見たくて、同級生がやっているカフェを手伝いながら開店に向けた準備をはじめました。新潟は、東京や大阪のような大都市とは違って自動車が主な交通手段なので、繁華街じゃない住宅街でもお客様は来てくれるということがわかりましたね。

 

彩り豊かなタルトと、シンプルな焼菓子。

——「la maison de eF」という店名は、どういう意味なんですか?

古山さん:「la maison」は「家」、「F」は僕の名前のイニシャルなんです。ちょっと雑なんですけど、フランス語で「古山の家」っていう意味になります。「F」だけだと寂しかったので、「eF」と表記してちょっとお洒落にしました(笑)

 

——直訳すると、思ったよりシンプルな店名なんですね(笑)。店舗はどういうイメージでつくったんでしょうか?

古山さん:自分が長く働いていて飽きないようにしたかったのと、主役のお菓子が映えて引き立つようにしたかったので、シンプルで落ち着いた店舗デザインを心掛けました。

 

 

——「映える」といえば、公式インスタグラムに投稿された写真が、どれも綺麗に撮られていますね。

古山さん:中心地にある店じゃないので、多くの方から知っていただくためにSNSを活用してしているんです。投稿する写真を撮影する際は、お菓子の美味しさが少しでも伝わるように工夫しています。

 

——どんなことにこだわってお菓子をつくっているのか教えてください。

古山さん:誰もが食べ慣れたお菓子に、自分なりのエッセンスを加えることで、より美味しくつくるよう心掛けています。「ここの◯◯がいちばん美味しい」と言ってもらえる店を目指したいですね。

 

——見たところ、タルトや焼き菓子をメインにしているようですね。

古山さん:タルトをメインにした店が新潟には少ないように感じたんです。外はサクサク、中はしっとりするように心掛けています。フルーツの色味を使って華やかにつくっていますので、見た目も一緒に味わっていただけたら嬉しいですね。

 

 

——修業時代の経験が生かされているわけですね。でも、焼菓子は逆にシンプルですね。

古山さん:本当にやりたいのは焼菓子の方なんです(笑)。焼菓子は卵、砂糖、小麦粉、バターといった少ない材料でつくるシンプルなお菓子なんですよ。その少ない材料でどれだけ美味しくつくることができるか、挑戦したいんです。

 

——それはまたストイックな心意気ですね。

古山さん:お菓子づくりって、ほんの数グラムの差で出来上がりが大きく変わってくるんです。そこが難しいところでもあるし、パティシエという仕事の魅力だとも思っています。そのおかげで飽きずに続けていられるんじゃないかな(笑)。自分もお客様も飽きないお菓子をつくり続けていきたいですね。

 

 

 

la maison de eF

新潟市東区太平3-32-5

025-278-8096

10:00-18:00

水曜及び不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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