燕市にある「株式会社サクライ」。金属加工の街として知られる燕三条エリアで、長きにわたり洋食器を製造しています。そんな「サクライ」には、毎日の食事が変わるような新しい食体験ができるカトラリーがあるんだとか。今年の6月に社長に就任した桜井さんに「サクライ」のこれまでや、製品の特徴、ご自身の思いなど、お話を聞いてきました。
株式会社サクライ
桜井 智恵子 Chieko Sakurai
1958年燕市出身。高校を卒業後、家業である「株式会社サクライ」に入社する。事務や経理の仕事に携わり、今年の6月に代表取締役社長に就任。朝、ヨーグルトを食るべるときは「Saks Super700」シリーズを愛用しているんだとか。
——「株式会社サクライ」ができたのっていつ頃なんでしょう。
桜井さん:1946年に創業して、来年で創業80周年を迎えます。私の父がはじめた会社で、最初は金物を仕入れて販売していたそうです。
——洋食器をつくりはじめたきっかけは?
桜井さん:だいたい60年前くらいに、工場地帯の一角で自社製品をつくりはじめたんです。当時から日本人のためのカトラリーをつくることにこだわっていて、経済成長の真っ只中でしたが、製品を海外に輸出することはなかったそうです。その後に「Saks」というブランドを立ち上げました。
——他のブランドと、どんな違いがあるのでしょう。
桜井さん:「Saks」ブランドは弊社製品の中でも、特にデザインや品質にこだわった上位ブランドになります。その中でも「Saks Super700」シリーズは「強く、優しく、美しい」をキャッチコピーにした、キズがつきにくくて、使い心地のいいカトラリーになっています。それまでとは違う、新しい食体験をしてもらえるような、機能性とデザイン性の融合を目指した製品をつくっているんです。
——新しい食体験、というと?
桜井さん:カトラリーはお皿とは違って、直接、口に入れるものですよね。ただ食べられればいいだけじゃなくて、持ちやすさや、口に入れたときの舌触りもこだわっているんです。「Saks Super700」シリーズを使うことで、食事の時間がより豊かになって、毎回の食事が楽しくなってほしくて。
——ふむふむ。
桜井さん:「サクライ」は、汚れが落ちやすい塗料を使った、水だけで汚れが簡単に落ちる製品もつくっています。その他の特殊な塗装技術を活かして、「Saks」シリーズの中には、持ち手に布を着せたものもあるんですよ。
——いろんなカトラリーをつくっている「サクライ」ですが、今年の6月から桜井さんが社長として就任されました。
桜井さん:今までと変わらず、日本の方に向けてカトラリーをつくっていくこと、ものづくりに対して妥協しないことはとても大事にしています。「Saks」のカトラリーをいろんな方に使っていただけるように、日々向き合っている最中ですね。
——「Saks」のひとつ、「Saks Super700」シリーズはどんな経緯で生まれたんですか?
桜井さん:時計メーカーの「CITIZEN」さんが家庭用品の部門を立ち上げることになったとき、カトラリーをつくることになって、うちに声がかかって一緒に作りはじめたんです。その後、独自で製造・販売をさせてもらうことになりました。
——時計メーカーさんがきっかけだったんですね。このシリーズの特徴を教えてください。
桜井さん:キズをつきにくくするために、ステンレスの表面を硬化する加工をしているんです。この加工は「CITIZEN」さんの時計のベルトにも使われているもので、今までのステンレスのカトラリーよりもキズへの耐性が強いんです。そこに磨きの工程を加えることで、とろっとした光沢のある、なめらかなカトラリーに仕上げています。
——我が家のカトラリーと比べたら、輝き具合が全然違います(笑)
桜井さん::販売できる完成品の状態まで磨いてから硬化処理をして、さらに磨きを掛けて、口に入る部分だけでも6回磨くんです。こうすることで他にはない光沢が出るのはもちろん、口触りもなめらかになる、とても重要な工程なんです。
——そんな「Saks Super700」シリーズには、3種類のデザインがあります。
桜井さん:「Saks Super700」には、クラッシックなデザインの「エジンバラ」と、シンプルで細身な「ソーホー」、グッドデザイン賞を受賞した「ゼウス」の3種類があります。「ゼウス」は有名百貨店のバイヤーから「『Saks Super700』で新しいデザインのカトラリーをつくりたい」とお声がけいただいてつくることになったんです。せっかくつくるなら、ということで、ちょっと難しいデザインに挑戦してできたのが、「ゼウス」なんですよ。
——デザインには、どんなこだわりが?
桜井さん:テーブルに置いたときに立体感が出るように、かつ光がきれいに屈折して見えるようなデザインにしていて。見た目はもちろん、持ちやすさも必要ということで、持ち手にカーブをつけています。このカーブがあることで上下の重量バランスもよくなって、手にフィットするかたちにしました。
——製品をつくる中で、苦労したことを教えてください。
桜井さん:まず持ち手にカーブをつけることがすごく難しいんです。プレスしたときに、金型のどこかに圧力がかかりすぎて壊れやすくなってしまうし、磨きづらくて。現場からは嫌だって言われたこともありましたね(笑)。それでも、製造面とコスト面をギリギリまで調整してできた商品なんです。
——「Saks Super700」シリーズ、実際に使わせてもらったんですが、口に入れたときの滑らかさが段違いでした。食事の邪魔をしないって、こういうことだったんだなって。
桜井さん:ありがとうございます。以前、友人にも「Saks Super700」シリーズを使ってもらったとき「食べて癒やされる」って言ってもらったんです。メーカーとして、そういう言葉をもらえるのは本当に嬉しくて。お客さまのなかには、「せっかくこのカトラリーを使うなら、もっと美味しい料理をつくりたい」と料理本を買われた方もいらっしゃいます。
——すごい効果がありますね(笑)。いつもの食卓の中で、お箸やカトラリーを気にしていない人は多いかもしれません。
桜井さん:そうかもしれないですね、今では安い値段で手に入りやすくなりましたし。でも食べるという行為で、いちばん味に影響があるのはカトラリーだと思うんです。直接口の中に入るものは、こだわってほしいと強く思っていて。素材はもちろん、加工の仕方ひとつで味が大きく変わるので。
——「サクライ」の製品を使ったことのある方は、みんな頷いていると思います(笑)。10月に行われる「工場の祭典」ではその違いが体験できるんですよね。
桜井さん:材質や仕上げによって、味わいや使い心地の変化を試してもらえる「利きカトラリー」というもので体験できます。「工場の祭典」では工場も見学できますし、カトラリーを実際に手にとって、持ちやすさを確かめてもらうこともできます。実際に違いを感じて、その場で買われていく方も多いんですよ。
——「利きカトラリー」、挑戦してみたいです。最後に桜井さんの今後の目標を教えてください。
桜井さん:ひとりでも多くの方に「Saks Super700」をはじめ「サクライ」の製品の魅力を知ってもらえるようにしていきたいんです。一度使ってもらえれば、その違いはわかってもらえると思うので、とにかく試してもらえたら嬉しいですね。
株式会社サクライ
燕市物流センター1丁目11番地
Saks Super700 ゼウス
新しい食体験をつくる、
「強く、優しく、美しい」カトラリー。
「サクライ」だからできる表面硬化処理は、シルクのような手触りと口あたりと、長く使い続けることができる耐摩擦性を実現。食事をもっと美味しく、楽しくさせてくれるカトラリーです。