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村上の平和を守る!ローカルヒーロー「キャプテン・ムラカミ」の正体。

普段は保育士。「キャプテン・ムラカミ」の源は郷土愛と特撮愛。

県北・村上に、地域の平和を守るローカルヒーローがいます。その名もズバリ、「キャプテン・ムラカミ」。豊かな自然を想起させる緑色のスーツに身を包み、村上を世界征服の拠点にしようと企む悪の組織「アンゴルモア」から愛する地元を守るべく、村上市内各地のイベントのステージで戦いを繰り広げています。2012年秋に突如デビューし、本格的なアクション、観客を巻き込んだストーリー、キャプテンのみならず悪役たちも含めた個性豊かなキャラクターで、子どもたちを中心に一躍地域の人気者に。現在まで6つのエピソードが上演され、9月29日(日)に岩船港港湾緑地で開催されるイベント「いいねっか村上2019」のステージでは待望の新エピソードが披露されます。「中の人」で生みの親、建部さんに誕生秘話やこれまでの苦労などを聞きました。

 

キャプテン・ムラカミ

建部 拓巳 Takumi Tatebe

1989年村上市生まれ。物心ついてすぐにウルトラマンや仮面ライダーの虜となり、学生時代はルーツを辿って昭和の特撮ヒーローにどっぷり。ヒーローショーのスーツアクターなどを経て、オリジナルのご当地ヒーロー「キャプテン・ムラカミ」を生み出す。現在は保育士として働きながら、地域のイベント等でショーを上演。村上の平和を日夜守っている。

 

顔出しOK。当初は人知れずやるつもりだったが…?

――本日はよろしくお願いします。マスクのヒーローですが、顔出しOKなんですね?

建部さん:大丈夫ですよ。勤めている保育園の子どもたちや親御さんにも、思いっきりバレてますから(笑)。当初はそれこそ往年の特撮ヒーローみたいに、普段は周囲に隠して人知れずやろうとか思っていたんですけど、最初のステージでいきなり子どもたちから「あ、タクミせんせーだ!」「せんせーガンバレー!」って(笑)。なので、諦めました。

 

――(笑)。デビューは2012年の秋に三面川の中州公園で開かれたイベントのステージでしたね。

建部さん:そうです。あの時のショー、実は急きょ準備したんですよ。直前になってステージに穴が空いたか何かで、イベントの主催団体にいた地元の先輩から、「お前ヒーローショーやってたよな?何とかしてくれないか」って。尊敬する先輩なので、俺で力になれれば、と。とはいえ、ほんと当日まで2週間もないくらいで。

 

 

――マジですか?それが「キャプテン・ムラカミ」誕生のきっかけ?

建部さん:突貫工事でした。急きょ台本を書いて、アクション仲間に連絡して、録音して、リハーサルして。まぁ、自分はずっと特撮ヒーローが大好きで、スーツアクターとしてヒーローショーに出たりもしていたので、以前から頭の中でずっと「自分ならこうやる」っていう構想を練っていたんで。それを外に出す、よいきっかけでした。結果的には。

 

――…なるほど。衣装もですか?

建部さん:まず最初にドンキに走ったことは否定しませんよ(笑)。緑色にしようっていうのは、最初から決めてました。好きな色なので。マスクは、分かる人はすぐに分かると思いますけど、某アメコミヒーローのコスプレ用グッズを塗装して、額の「A」も少し削って「M」に替えています。

 

――どれどれ…ほんとだ!

 

 

建部さん:うまくやれば、遠目だと意外と分からない(笑)。ボディアーマーは悪役のものも含め、父がむかし趣味で使っていて家に転がっていたモトクロスバイクのプロテクターを流用したりしています。こういうのが得意なアクション仲間もいるので協力してもらったりしながら、できるだけお金をかけずに自作するようにしています。裏コンセプトは「現実に町を歩いていてもギリギリセーフ」です(笑)

 

――うーん、まぁアウトではないでしょうけど・・・(笑)

 

キャラクター豊富な悪役。元ネタは実際の経験。

――「キャプテン・ムラカミ」といえば、次々新キャラが登場する悪役が魅力的です。

建部さん:ありがとうございます。正直、台本を書いているとキャプテンよりも悪役の台詞の方が先にスラスラと出てきます(笑)。いま世界を席巻している「アベンジャーズ」とは間逆で、1人のヒーローがたくさんの悪役と戦うという設定なのも、そのせいかもしれませんね。

 

 

――ストーリーやキャラクターは、どのように生み出しているのでしょう。

建部さん:子どもの時からずっと観続けてきたウルトラマンや仮面ライダーなどがベースにあるとは思うんですけど、基本的には自分の経験したことから作りますね。例えば好評の「ドン・テキーラ」っていう悪役は、自分が生まれて初めてお酒のテキーラを飲んだ時、酔っ払ってテンションが上がってバカみたいに楽しかった経験から生み出しました。またストーリーであれば、やりたいアクションから逆算して考えることが多いですね。ヒーローショーの見せ場は何といってもアクションですから。できるだけ分かりやすい筋で、なぜこのキャラとこのキャラが戦っているのか、ハッキリとしている方が観る側もアクションにノりやすいと思うんで。

 

 

――そのアクションも、かなり本格的ですね。

建部さん:アクションは一番盛り上がる見せ場なのはもちろんのこと、台詞などと同じように表現のひとつだと考えています。例えば、パンチの強弱や振りを変えるだけで、観る側に伝わるメッセージも変わります。さっきのストーリーの話ともつながりますが、キャラクターがどんな感情を込めて戦っているのかで、アクションの立ち振る舞いが全然違ってくるんですよね。それはメインのお客さんである子どもにも伝わる、というか、そういう言語化できないテンションみたいなものは子どもにこそビビッドに伝わるんじゃないかと思いますね。子どもの反応は正直ですから。最初のステージで、登場時には笑いが起こったんですけど、ファーストアクションのシーンでそれがどよめきに変わったんですよ。その瞬間はとっても気持ちよかったですね。

 

未経験者、観客を巻き込んでのショー。あくまで身近な存在として。

――ショーにはアクター仲間だけでなく、アクション未経験の地元の人も出演させたりしていますね。

建部さん:アンゴルモアが毎回やる公開処刑の生贄役のほか、幹部の子分とかも、そういう未経験の人たちにやってもらっています。あくまでショーを楽しんでもらうのが一番なので、観るだけでなくで出ても楽しめますよ、と(笑)。あまりステージと客席の間に境界線を引きたくないんですよ。未経験で出てもらう人には、もちろん特別な役割を求めているわけではないので、ノリが良くて、リハーサルを何回かいっしょにやれば、クオリティ的にも大丈夫です。最近は地元の後輩中学生にも何人か声を掛け、リハに参加してもらってます。学校でネタにもなるしいいだろ、って(笑)。最近は内向的な子が多いですが、自分としては目立てることを喜んでほしいですね。

 

 

――キャプテン・ムラカミはあくまでみんなの身近な存在なんですね。

建部さん:そうです。今で言えばユーチューバーみたいなノリなのかな、「近所の兄ちゃんが面白いことやっているから観て下さい」っていう。未経験の人に出てもらうのもそうですが、演者が観客の中に紛れ込んでいったり、歓声でキャプテンがパワーアップしたり、ストーリーに必ず参加型の展開を入れるのも、その表れといえるかもしれませんね。

 

 

――新作の7エピソード目は、どんな展開になるのでしょう。

建部さん:改めて、原点のアクションをがっつりとお見せしたいな、と。久しぶりの新作なので、これまでなかなかできなかったフラストレーションを発散させるような内容になると思います。みなさん、9月29日は岩船港までぜひ観に来てください!

 

――楽しみにしています。本日はありがとうございました!

 

 

 

キャプテン・ムラカミ

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