お米も、パンもどっちも楽しめる。
新発田市民文化会館の「kiju cafe」
食べる
2026.08.31
6月末、新発田市民文化会館内に「kiju cafe」という新しいカフェがオープンしました。実はこちらのお店、以前Thingsでもご紹介した新発田市の「パン屋 喜十郎」さんがはじめたカフェなんです。こちらのお店ではパンだけでなくお米のメニューも楽しむことができるのだとか。そこにはどんな思いがあるのか、「kiju cafe」の店長である荒川さんにお話を聞いてきました。
荒川 和加子
Wakako Arakawa(kiju cafe)
1982年東京都出身。20年ほど前から新発田市に住みはじめ、市内の飲食店に勤務。その後「喜十郎」のオープン直後からスタッフとして働き、キッチンカーでの販売も担当する。現在は「喜十郎」が新発田市民文化会館内ではじめた「kiju cafe」の店長として働く。最近、陶芸への熱が高まっているんだとか。
東京から、新発田へ。
飲食の仕事が、料理を面白くしてくれた。
――今日はよろしくお願いします。まずは、荒川さんのことを教えてください。荒川さんは東京のご出身だそうですね。
荒川さん:そうなんです、20年くらい前に結婚を機に新発田に来ました。でも、来た初日からホームシックになっていましたね(笑)。最初は新潟の方言がほとんど聞き取れなくてだいぶ苦労したんですけど、今では東京よりも新潟で長く暮らしているので、もう慣れちゃいました。
――新潟に来られてからはどんなお仕事を?
荒川さん:いろいろやってきましたが、トータルすると飲食関係で働いていた期間が長いと思います。最初はホールで接客をすることが多かったんですが、ある飲食店で調理を担当するようになってから、料理がすごく楽しくなったんです。もともと家でも料理は作っていたんですけど、お店で料理を作るのはぜんぜん違うって感じたんです。
――どんなところが違うと感じたのでしょう。
荒川さん:自分が作った料理を、誰かが食べてくれて「美味しい」って言ってくれたり、表情がぱっと明るくなってくれたりするのが、すごく嬉しかったんです。私自身、食べるのがすごく好きなんですけど、同じくらい誰かに自分の料理を食べてもらうことも好きなんです。
――そんな荒川さんが、「パン屋 喜十郎」で働くことになったのには、どんな経緯が?
荒川さん:それまでは、カフェの店長として働いていたんです。日々の営業の中で料理を作ることはもちろん、お店全体のことも管理していました。でもそのときコロナが流行りだしたんです。病院の中に入っていたカフェだったので、普通の飲食店よりも感染対策の影響を受けて。土日に働けるところを探していたときに、オープンしたての「パン屋 喜十郎」がスタッフを募集していたんです。
――「パン屋 喜十郎」で働きはじめてから、キッチンカーを任されたんだとか。
荒川さん:お店がオープンして1年くらいが経ったとき、「キッチンカーを安く譲るから、やってみないか」ってオーナーが相談を受けて。「キッチンカーやってみない?」「いいね」みたいな感じではじまりました(笑)。新発田市にはあまりキッチンカーはなかったし、お店でお客さんを待つだけじゃなくて、私たちがお客さんにパンを届けられるのはすごくいいと思ったんです。
――そんなキッチンカーですが、販売していたのはパンだけではなかったと聞きました。
荒川さん:最初はパンだけだったんです。でもいろんな場所に出店していくうちに、「場所によって求められるものが違う」って感じるようになったんです。パンがよく売れる場所もあれば、市役所では、お昼ごはんになるようなボリュームのあるものが求められて。他のキッチンカーの方に聞いたり、自分なりにリサーチしたりした結果、お米を使ったメニューも用意することにしたんです。
――パン屋さんだけど、お米も使うって、大胆な決断のような気もします。
荒川さん:私自身、パン屋さんで働いていますけど、実はお米が大好きなんです(笑)。でも理由はそれだけじゃなくて、お客さまが「パンかお米か、どっちにしよう」って選べるのもいいかな、と思ったんです。パンとお米をどっちも楽しめるスタイルは、「kiju cafe」にも引き継がれています。


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パンも、ごはんも。
どんな人でも楽しめるメニューを。
――「kiju cafe」は、新発田市民文化会館の中にオープンしました。
荒川さん:新発田市民文化会館は、今年で開館46周年を迎える歴史のある建物なんですよ。曜日ごとにお花やお茶の教室が開かれていて、いろんな方が利用しています。ここには以前もカフェがあったんですけど、その方がやめることになって、店舗の募集に応募して今に至っています。
――キッチンカーではできなかったことを、店舗でやってみたいという思いもあったんですね。
荒川さん:そうですね。店舗だからこそ提供できるパンのメニューはずっと作ってみたかったんです。「パン屋 喜十郎」で販売しているパンをトーストにした状態で出したり、「こんなふうに食べても美味しいよ」っていう提案をしたりしたくて。トーストには「山型食パン」を使っています。もっちりとした食感と甘みが楽しめるパンなんですよ。
――「パン屋 喜十郎」らしいメニューもあるんだとか。
荒川さん:「酒粕のバゲット」を使ったローストビーフサンドですね。「パン屋 喜十郎」の看板商品のひとつでもある「酒粕のバゲット」と、キッチンカー時代から私が好きで作っていたローストビーフを組み合わせたメニューです。よかったら、食べてみてください。
――それでは、いただきます……!お肉がとっても柔らかくて美味しいです。ふわっと香る酒粕の香りもすごくいいです。
荒川さん:ありがとうございます。「酒粕のバゲット」はそのまま食べていただいても、もちろん美味しいんです。でも、せっかく店舗で出すなら、より美味しく食べてもらえるメニューを作りたいと思って考えたんです。
――「kiju cafe」ではパンだけではなく、ごはんものも楽しめます。
荒川さん:週替わりでメニューが変わるランチと、おにぎりプレートの2種類をご用意しています。お店になっても、パンかごはんか選んでもらえるようにしたかったんです。「パン屋さんがやっているカフェだから、パンしかない」っていうのも、なんか面白くないかなって(笑)


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いろんな世代が集まる場所へ。
荒川さんが思い描くこれから。
――これから「kiju cafe」をどんな場所にしていきたいですか?
荒川さん:もっと子どもたちや学生さんにも来てほしいですね。文化会館って、若い人には少し入りづらいイメージがあると思うんです。でも子どもの声が聞こえたり、学生さんが勉強していたりしたら、建物全体がもっと明るくなる気がして。
――確かに、夕方は静かですし、勉強する場所にも良さそうですね。
荒川さん:そうなんです。高校生にも「勉強しに来て」って声をかけています(笑)。長い時間いてもらっても、机に勉強道具を広げてもらっても全然大丈夫です。午前中は文化会館を利用する方がお茶をして、お昼はランチのお客さん、夕方は学生さん、みたいに、時間によっていろんな世代が集まる場所になったら面白いですよね。
――こちらのお店をきっかけに、新発田も元気になっていきそうです。
荒川さん:ひとつのお店だけで地域をどうにかするのは難しいですけど、ひとつが頑張ったら、それを見て誰かが動く、みたいにつながったら嬉しいです。私は新発田出身ではないですけど、20年以上住んでいて、人が優しくて、困ったときに助けてもらったこともたくさんあるので。少しでも力になれたらと思っています。
――荒川さん自身の、これからの目標を教えてください。
荒川さん:まずはもっとこのお店を知ってもらって、たくさんの人に来てもらうことですね。その先では、店舗も増やしていきたいです。「パン屋 喜十郎」の敷地には蔵があるので、いつかお酒を出せる蔵カフェみたいなこともできたら面白いなって。私自身が楽しむことも大切に、新しいことをやっていきたいなって思っているんです。仕事って大変ですけど、「大変だった」で終わるより、「楽しくて大変だった」で終われた方がいいじゃないですか。この考えを大事に、これからお店をいろんな人が集まる場所にしていきたいですね。


kiju cafe
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