子どもから大人まで、みんな大好きなカレー。その種類はインドカレーにはじまり、ネパールカレー、タイカレー、欧風カレーなどいろいろ。最近では、スパイスだけで仕上げるスパイスカレーなんてカレーも人気です。カレーブームが到来し様々なカレー店がオープンするなか、今回は長年に渡って新潟のカレーカルチャーを牽引してきた「VOVO古町本店」にお邪魔して、店長の笹川さんに「VOVO(ボボ)」のカレーについていろいろとインタビューしてきました。仰天の事実…お楽しみに。
VOVO古町本店
笹川 祐介 Yusuke Sasagawa
1987年新潟生まれ。飲食店での経験を経て、2015年より「VOVO古町本店」にて勤務。スケボーとスニーカー収集が趣味だけど、休みでもカレーを食べ歩くほどのカレーフリーク。
――カレーはもちろん好きだと思います。どんなカレーが好きですか?「VOVO」のカレー以外で(笑)
笹川さん:「VOVO」のカレー以外ですか(笑)。そうですね~、シンプルなスパイスカレーですね。ホールスパイスがそのまま盛られているのではなくて、具材とルーがとにかくシンプルでありながら、複雑にスパイスが絡み合って完成されたカレーが好きですね。新潟だと「SPICE PUSHER 164(スパイスプッシャー164)」とか好きです。
――「SPICE PUSHER 164」ですか。以前、取材に行きました。おいしいですよね。ちなみに、辛いカレーってどうですか?
笹川さん:僕、辛党です。舌に刺すような辛さだけど、辛いだけではなくて、しっかりとうま味もあるような辛いカレーが好きです。「VOVO」のメニューでいえば「BEEF(ビーフ)」ですね。
――笹川さんって、どういったキッカケで「VOVO古町本店」で働きはじめたんですか?
笹川さん:お世話になる前からオーナーとは面識があって、「飲食店で働いていた経験のある人を探しているから、ちょっとカレー食べに行かない?」って誘われたんです。飲食店での経験もあったし、カレーも好きだったので、若干前のめりに誘いに乗りました。ただ、この時まで「VOVO」のカレーを食べたことがなかったんですよね(笑)
――え?カレー好きなのに食べたことなかったんですか?意外です(笑)
笹川さん:気にはなっていたんですけど、タイミングが合わなくて…。誘われて初めて食べた「VOVO」のカレーは感動しましたね。カレーを作る過程の話も合わせて聞かせてもらって、手間暇かけていること、食材にこだわっていること、4種類のカレーで勝負していることなど。カレーの味以外にも心が震え、働かせて欲しいとお願いしました。それが2015年。僕のカレー屋人生がスタートした瞬間です。
――まずは修行からスタートですよね?大変だったことは何ですか?
笹川さん:「VOVO」のカレーって、とにかく奥が深いんです。煮込む火加減、具材の切り方、テンパリングの方法など、たくさんの失敗を重ねて、ちゃんと「VOVO」のカレーを作れるようになるまでに1年かかりました。
――メニューのなかで、最も難しかったカレーは?
笹川さん:「BUTTER CHICKEN(バターチキン)」ですね。ニンニク、生姜を炒める時間が最も味を左右します。特徴的な酸味とコクのバランスも。とにかく難しかったですが、カレーの面白さを一番感じられたのはこのカレーですね。
――カレーの面白さというと?
笹川さん:「一晩寝かせたカレーがうまい!」って、よく言われているじゃないですか。味の変化が露骨に現れるんです。トマトの酸味具合が変化したり、甘みやコクが深まったり、食べる時間帯によって「BUTTER CHICKEN」の顔が変わります。
――「VOVO」のカレーって、寝かせているんですか?
笹川さん:おいしいピークを食べてもらいたいので寝かせています。カレーの寿命って4日と言われています。1日目は、角が立っていて素材の味が個々にハッキリとしています。2日目になると、角が少し取れて深みが増して、3日目にコクとうま味がグッと増して「BEEF」「BUTTER CHICKEN」がめちゃくちゃうまいタイミングになります。そして4日目、熟成されてすべてがベストの状態になりますが、なかなか食べられません。ほとんど3日目のベストな状態で鍋が底をついてしまうので、食べられたらラッキーです(笑)
――「VOVO」のカレーのなかでも、かなりの中毒性がある「BEEF」。めちゃくちゃ辛いんですけど、どうやってあの辛さを?企業秘密だったら諦めます(笑)
笹川さん:じゃ、言える範囲で(笑)。トウガラシを悪戯なほどに使っているんですよ。
――悪戯なほどに?一本でも辛いですよね。どのくらい入っているんですか?
笹川さん:1皿に対して30~40gのトウガラシを使用しています。20~30本分ですね(笑)。そして粉末のトウガラシも加えて、他のスパイスと一緒に煮込みます。トウガラシって、火を通すことで辛味が増すんです。しっかりと辛味を抽出して、苦いスパイスのグローブとの相乗効果で、あの中毒性のある「BEEF」は完成します。
――……それは辛い訳ですね(笑)。
笹川さん:正直、仕込んでいると目が痛いです(笑)。ちなみに、トウガラシをプラスして食べる強者もいますよ。ある程度の辛さまで達すると、辛さは変わらないそうですが。
――ノーマル状態でも、かなりの辛さなのに。これから「BEEF」にチャレンジする方に、アドバイスはありますか?
笹川さん:辛いからといって、水をガブガブ飲まない方がいいですね。辛さは消えないので。飲むならラッシーをオススメします。あと、サラダは残しておきましょう。ヒリヒリとした口内に、一時の癒しをもたらしてくれますから。
――開店当初より「BEEF」「BUTTER CHICKEN」「VEGETABLES(ベジタブル)」「DRY(ドライ)」の4種類を展開していますが、ニューフェイスの登場はありますか?
笹川さん:11月~2月の期間限定で、ジビエ(イノシシ、シカ)のカレーを提供しています。このカレーは、僕が初めて考案したカレーたちなんです。15時間煮込んだスープにスパイスを合わせ、イノシシのうま味を最大限に引き出しました。ドライカレーとソースカレーのコラボレーションカレーです。
――ジビエのカレーとは珍しいですね。どうしてジビエを選んだんですか?
笹川さん:オーナーは上越で「柿崎ブーシェリー」というジビエの食肉処理施設もしています。シーズンになるとイノシシ、シカを狩りに行きます。その肉を使って何かできないかと考え、「イノシシのキュリー」「シカのキュリー」は誕生しました。現在、既存のメニューはレトルトや缶詰として販売もしています。これからジビエのカレーも登場しますので、イートインと合わせて楽しんでください。
悪戯な辛さの「BEEF」中毒者のひとりである私。ヒーヒーと唇を腫らしながら食べていましたが、そんなにも大量なトウガラシが投入されているとは露知らず。なるほど、辛い訳だ。サラダにラッシーと、辛さの救世主を聞きましたが、もうひとつ忘れていました、カラフルな付け合わせ。細かく刻まれた漬物ってことは理解していたので、ここぞとばかりに正体を聞いてきました。なんと、しその実、らっきょう、桜大根。ガッツリ和食ベースじゃないかと思いつつ、確かに日本人は福神漬けやらっきょうを一緒に食べるな…って、納得。ドバっと全部をふりかけて食べるのがオススメのスタイルらしいです。そもそも付け合わせのネーミングは「ふりかけ」だから。
VOVO古町本店
新潟県新潟市中央区本町通1344-2 マンション大西1F
025-224-9249