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エスプレッソや焼菓子をおともに、自分の時間を楽しめる「ぴえに。」

今年10月、西堀通にエスプレッソや焼菓子が楽しめる「ぴえに。」という名前のカフェがオープンしました。エスプレッソにこだわるお店でありながら、オーナーの小林さんはもともとコーヒーが苦手なタイプだったんだとか。小林さんがエスプレッソにハマったきっかけや、お店に込めた思いについてお話を聞いてきました。

 

 

ぴえに。

小林 奈々美 Nanami Kobayashi

1991年十日町市生まれ。製菓専門学校でカフェ経営を学んだ後、アパレル雑貨店、カフェ、イタリアンバルなどで働く。新潟に帰ってからは「鈴木コーヒー」直営のコーヒーショップで働きながら開店準備をし、2022年10月に「ぴえに。」をオープンする。読書やゲームが好きで、現在はポケモンにハマっている。

 

エスプレッソを看板にしたカフェをはじめた理由。

——オープンおめでとうございます。小林さんはどうしてカフェをはじめようと思ったんですか?

小林さん:私は子どもの頃からお菓子づくりが好きだったので、お菓子屋さんになるのが夢だったんです。でもお菓子屋さんって、お客様が自分の作ったお菓子を食べてくれるところをなかなか見ることができないじゃないですか。カフェだったらお客様がお菓子を食べてくれるところが見られるし、「美味しかった」って直接言ってもらえるかもしれないですよね。だからいつか自分でカフェを開きたいと思うようになって、製菓専門学校のカフェ経営科で勉強したんです。

 

 

——なるほど。じゃあ、専門学校を卒業してからはカフェでお仕事を?

小林さん:いえ、いきなりカフェとはまったく関係のない、アパレル雑貨の店で働きました(笑)。最終的にカフェをやろうと思っていたので、その前に他の仕事も経験しておきたかったんです。お客様にさりげなく商品を薦める接客技術を学ばせてもらって、今でもドリンクやお菓子を薦めるときに役立っています。

 

——まったく違ったジャンルのお店でも、学ぶことってあるんですね。その後はどんなお店で働いたんですか?

小林さん:イタリアンバルで働いて、そこでエスプレッソの魅力を知って、ラテアートを学びました。実は私、それまでコーヒーの苦みが苦手で、お砂糖やミルクをたっぷり入れないと飲めなかったんですよ。

 

 

——それなのにエスプレッソの魅力を知っちゃったんですか(笑)

小林さん:勤めていたイタリアンバルでは毎朝担当者がエスプレッソの味を確認していたんですけど、その姿がいかにもプロっぽくてかっこよかったんです(笑)。そのうち勧められて私も飲んでみたら、美味しいときと美味しくないときの味がまったく違っていたんです。同じ豆や同じ機械を使っているのにどうしてこんなに違うんだろうと不思議に思ったんですけど、豆の量や挽き方、湿度なんかで味や香りが変わってくるということを知って、勉強のためにいろんなカフェを飲み歩くうちにエスプレッソの魅力にハマっていました。

 

——エスプレッソ以外のコーヒーについても勉強されたんですか?

小林さん:それまでは県外で働いていたんですが、新潟に帰って職探しをしているとき、百貨店のなかにあるコーヒーショップでカフェラテを頼んだら、めちゃめちゃかわいい猫のラテアートが描かれてたんです。それに惹かれて、持ち歩いていた履歴書をお会計のときに置いてきたんですよ(笑)。採用していただいてから知ったんですけど、カフェだと思っていたら「鈴木コーヒー」さん直営のコーヒーショップだったんです。会社に入ってからは産地や農園、加工法といったコーヒーの知識をいろいろ教わりました。

 

ロゴや内装に隠された、お店のコンセプト。

——「ぴえに。」という店名の由来を教えてください。

小林さん:「ピエニ」というのはフィンランド語で「小さい」とか「ささやか」とかの意味がある言葉なんです。エスプレッソをメインにしたお店にするつもりだったのでイタリア語でも考えてみたんですけど、そうすると「ピッコロ」になってしまって、私のイメージするものとは違うかなって思ったんですよね(笑)

 

——ロゴも印象的ですね。

小林さん:私は本が好きでお客様にも本を読んだりしながら過ごしてほしいので、デザイナーさんがそれをまとめてデザインしてくれました。原稿用紙に垂れたインクのイメージなんですが、同時に文章の句点やマンガの吹き出しも表しているんです。ひと区切りつける場所であったり、会話を楽しむ場所でもあってほしいという思いが込められています。

 

 

——お店の雰囲気もロゴにぴったり合っていますね。

小林さん:ありがとうございます。お客様が落ち着いて過ごせる雰囲気を意識しましたね。フィンランド語の店名に合わせて、北欧家具に多いアースカラーを基調にしています。あと格子状の棚は原稿用紙をイメージしているんですよ。

 

 

——本当だ! 言われてみれば、なんとなく原稿用紙っぽい(笑)。店内ではどんなふうに過ごすお客さんが多いんでしょうか。

小林さん:ひとりで読書をされているお客様もいますし、お友達とおしゃべりを楽しまれる方もいます。お客様からお店のことやエスプレッソの飲み方を聞かれることもありますね。オープン前からInstagramをやっているんですけど、フォロワーさんが来店して写真をアップしてくれていると、オンラインだけの存在じゃなくて実在する人なんだなって改めて実感します(笑)。お店のアカウントにお菓子の紹介を載せるとそれを見て買いにきてくれる方もいるので、みんなチェックしてくれているんだなと思って嬉しくなっちゃいますね。

 

エスプレッソの魅力を伝えたい。

——おすすめメニューを教えてください。

小林さん:カフェラテは人気がありますね。うちは使っているエスプレッソにこだわっていて、本場イタリアのエスプレッソに寄せているんです。だからコクや香りが強くて、後味が甘く感じられます。カフェラテがエスプレッソを飲むきっかけになってくれたら嬉しいですね。

 

——お菓子のおすすめはどうでしょう?

小林さん:やはりエスプレッソに興味を持ってほしいので、エスプレッソを使ったプリンをおすすめしたいですね。その他にもお客様の声から生まれた米粉を使ったマドレーヌとか、卵を使わないスコーンがあります。ちょくちょく食材を変えたりして、小さなお店だからこそ出せるようなお菓子を作っていきたいですね。

 

 

——お菓子にもエスプレッソを使っているんですね。そこまで推しているエスプレッソの魅力を教えてください。

小林さん:小さいカップに普通のコーヒーと同じ量の豆が使われていて、1杯で満足できる飲み物なんですよね。個人的には朝起きたときや仕事をはじめる前、気分を切り替えるために飲むことが多いですね。本当に美味しいのは淹れてから10秒〜20秒の間といわれています。

 

——めちゃめちゃ短いじゃないですか(笑)

小林さん:だから車を店の前に停めてカウンターでさっと飲んでさっと帰っていくお客様も多いんですよ。あと本場のイタリア人は、砂糖をたっぷり入れてデザート感覚で飲む人が多いんです。ブラックで飲む日本人を見て「よくあんな苦いものをそのまま飲めるな」と驚くイタリア人もいます(笑)

 

——苦みを味わうものだと思っていたら、案外そうでもないんですね(笑)。でもコーヒーが苦手だった小林さんが、エスプレッソの魅力を語っているのは本当に不思議ですね。

小林さん:だから多くの方にエスプレッソやコーヒーの美味しさを伝えていきたいんです。来月からはゲストバリスタをお呼びして、オリジナルのハンドドリップコーヒーを提供するイベントなんかもやってみようと思っています。

 

——へ〜、それは楽しみですね。オープンしてひと月経ちますけど、今後はどんなお店にしていきたいですか?

小林さん:忙しい生活や仕事の合間に自分の時間が作れるような場所になれたらいいなと思っています。本を読んだり、おしゃべりを楽しんだり、のんびりした時間を楽しんでいただきたいですね。

 

 

 

ぴえに。

新潟市中央区西堀通3番町798

080-6753-0730

9:00-17:00(L.O.16:30)

月曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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