佐渡市の特産品といえば「おけさ柿」。種がなく、まろやかな甘みが特徴の柿です。おけさ柿の産地としてよく知られている羽茂地区では、地形を生かした栽培が行われています。柿の収穫時期に「羽茂農業振興公社」へお邪魔して、中川さんと畠野さんに、おけさ柿のことや公社の取り組みについて聞いてきました。
公益財団法人 羽茂農業振興公社
中川 治 Osamu Nakagawa
1958年佐渡市生まれ。JA佐渡に園芸担当として長く勤めたのち、「公益財団法人 羽茂農業振興公社」に入職。事務局長を務める。
公益財団法人 羽茂農業振興公社
畠野 美由紀 Miyuki Hatano
1980年佐渡市生まれ。JA羽茂に勤めたのち、「公益財団法人 羽茂農業振興公社」へ入職。
――「羽茂農業振興公社」さんって、どういうお仕事をされている法人なんですか?
畠野さん:羽茂地域の農業を支えるためにできた法人です。この地域の特産品はおけさ柿なのですが、地域の方が耕作できなくなった柿畑を私たちでお預かりして、耕作して、これから農業をはじめたいという方にお譲りすることがメインのお仕事です。
――羽茂は柿の栽培に適してた環境なんですね。
中川さん:羽茂の地域は中山間地が多く平場が少ないので、この地域でできる農産物を探して、最終的に渋柿の栽培が80年くらい前からはじまったそうです。先人たちが作ってくれた特産のおけさ柿が現在も引き続き栽培を継続されていることが、羽茂や佐渡にとって良かった。
――「おけさ柿」っていうのは、ブランドの名前なんでしょうか。
畠野さん:そうですね。この羽茂地域が元祖です。商標の関係で何がおけさ柿なのかっていう定義は難しいんですけど、新潟県内のJAから出荷される渋柿がおけさ柿と呼ばれます。
――おけさ柿の特徴ってどんなところなんでしょう?
中川さん:種がなくて、平べったいのが特徴だな。うちで作っているのは「刀根早生(とねわせ)」と「平核無(ひらたねなし)」の2品種。
――おけさ柿って渋柿なんですよね。もとから甘い柿を出荷するんじゃなくて、あえて渋柿を渋抜きして出荷しているのはどうしてなんですか?
畠野さん:甘柿って実はそんなに甘みがないらしいんです。私も甘柿を端から端まで食べたことがあるわけではないんですけど、渋柿の渋を抜いたものの方が圧倒的に甘いんですよ。
――へ〜! それは知らなかったです。
中川さん:甘柿はどっちかっていうと、固いっちゅうかさ。
畠野さん:サクサクっていう食感ですよね。それはそれで美味しいんですけど。
中川さん︰渋抜きのためにアルコールで処理するもんだから、どっちかっていうとまろやかな甘さに仕上がるんだな。
――新規就農者を増やすために、こちらでは農業体験の受け入れをされているんですよね。
畠野さん:1年中受け入れをしていますが、10月〜11月中旬は、おけさ柿の収穫を体験できます。昨日も、東京から女性の方がおひとりで体験に来られました。「子どもが大きくなったので、そろそろ農業をはじめたいと考えているんです、できたら佐渡に移住したいんです」って。
中川さん:島外から来ても、うちは宿泊施設もあるんで体験しやすいんです。やっぱり仕事として合う合わないがあるから、「農業に興味がある」だけではなかなか大変。まずは体験してもらうのがいちばんいいんじゃないかな。
――農業って大変なことも多いと思うんですけど、その中でも魅力になっているのってどういう部分だと思いますか?
中川さん:農業ってさ、好きんときにやれるんだよね。自分がやりたいときにやって、休みたいときは休める。あとは収穫だよな。
――やっぱり収穫の喜びって大きいものですか。
中川さん:収穫するまでが大変やけど、やっぱりな。私もこの夏、個人的にシャインマスカットを作ってな。直売場でしか販売しなかったけども、「うまかった」とか「まだねーんか」って言われたり。大変だけど、最終的にいいのができればそれがいちばんだな。
公益財団法人 羽茂農業振興公社
TEL:0259-88-3559