昨年12月にオープンした「2LF BEER」は、こだわりのクラフトビールのお店。ここではオーナーの井上さんの「つくりたい」が詰まったビールを楽しむことができます。今回は醸造所とタップルームにお邪魔して、ビールに込められた思いや、お店のこと、これからのことを聞いてきました。
2LF BEER
井上 拓哉 Takuya Inoue
1983年見附市出身。製パンの専門学校を卒業後、東京のカフェで働く。その後新潟に戻り、「CAVE D’OCCI」のワイン製造部門で働きはじめる。その中でクラフトビールに出会い、2024年に「2LF BEER」を立ち上げる。休みの日は奥さまと一緒にご飯を食べるのがいちばん幸せなんだそう。
――まずは井上さんのこれまでのことを教えてください。
井上さん:中学の頃から、なんとなくパン屋さんになりたいと思っていたので、高校はパンづくりを学べる専門学校に入りました。卒業してからは「ユーハイム」という会社が運営する東京のカフェで働いて、そこでパンもつくらせてもらっていました。
――その後、新潟に戻ってきたんですね。
井上さん:新潟に帰ってきてからは、パン屋さんでは働かずに、三条の金型を製造している会社で働いていました。そこでは設計もさせてもらっていましたね。そのときふと、農作業がしてみたくなったんです。そしたら「CAVE D’OCCI」のワイン製造部門で募集があったので、応募して、そこで働くことになりました。3年、ワインの栽培や醸造を学びましたね。
――はじめはビールではなく、ワインづくりだったんですね。
井上さん:3年目にクラフトビールを作りはじめることになったんですよ。そこからワインと並行してクラフトビールづくりにも携わっていくことになりました。やっていくうちに、クラフトビールづくりが自分に合うなと思いはじめたんです。
――どうしてそう感じたのでしょうか。
井上さん:ワインと違って、ビールをはレシピをもとにつくっているんです。それがパンづくりの経験があった自分には馴染みがあったんですよ。つくっていくうちにクラフトビールの幅広さを知っていって、「CAVE D’OCCI」にはないようなビールもつくりたいと思いはじめて。ちょうど40歳になるタイミングだったので、独立を決めてお店を出すことにしました。
――「2LF BEER」の名前の由来を教えてください。
井上さん:「野に咲く花のように」という意味の「Like Little Flower」っていう言葉が元になっています。人を爽やかな気持ちにしたり、ほっとしたりできるようなクラフトビールをお届けしたいという思いを込めて、この名前にしました。
――お店自体はどんなコンセプトで作られたのでしょうか。
井上さん:ビールの醸造を間近で見られて、その場でそれが飲めるようなお店づくりをしました。新潟に観光に来た方にも立ち寄ってもらいやすいように、新潟駅から近いけやき通りにお店を出すことにしましたね。
――お店を入ってすぐ見える、カウンターがとても魅力的です。
井上さん:このカウンターは1枚板なんですよ。こうする予定はなかったんですけど、お店のシンボル的なものが欲しいなと思っていたときにちょうど出会えて。お店の内装も、カウンターが映えるような、すっきりとしたシンプルなものにしています。
――そもそも、「クラフトビール」とはどんなものなのでしょうか。
井上さん:中小規模のブルワリーで作られたビールをそう呼んでいるんです。ホップの香りが豊かだったり、フルーツを使ってつくられていたり、つくり手の個性がよく出ているビールとも言えますね。
――ここではどんなクラフトビールが楽しめるのでしょうか。
井上さん:ここで醸造しているのは「For you」と「For me」「10q(テンキュー)」、「GOSE」の4種類です。それぞれ違った味わいや香りをお楽しみいただけますよ。
――どれも気になります。詳しく教えてください。
井上さん:「For you」と「For me」はふたつでひとつの意味をもつビールになっています。「For you」は僕の奥さんが好きそうな、シンプルでどんな食事にも合わせられるブロンドエールなんです。
――奥さまのことを想って作られているなんて、素敵です。ということは、「For me」って……。
井上さん:僕の好きな、アメリカンペールエールをつくりました。「For you」に比べて、コクが深くて飲みごたえがあるものになっています。「10q」は低アルコールのセッションIPAで、苦みやホップの香りが程よくあるけど、飲み口が軽いものになっています。4つ目の「GOSE」は僕が今いちばんオススメしたいものなんです。
――「GOSE」はどんなビールなんですか?
井上さん:そもそも「GOSE」って、塩と乳酸菌を使って発酵させる、ドイツの伝統的なスタイルのことを指すんですけど、うちではそこにフルーツを加えてフルーツサワービールとしてお出ししています。今の時期は「越後姫」 を使っていて、季節によってフルーツを変えながらつくっていく予定です。
――へ〜面白そうですね。井上さんがビールをつくる中でこだわっていることを教えてください。
井上さん:品質を保つために、新鮮さや清潔さは特に大事にしています。当たり前なんですが、美味しいビールを飲んでもらうためには、いちばん大切なことだと思うので。あとは、自分がつくりたいものをつくる、ということですね。ここのは全部そうですけど、特に「GOSE」なんかは前からずっとつくってみたかったものなんです。
――ここでは他のブルワリーのビールも飲むことができるんですね。
井上さん:今もお世話になっている県内のブルワリーさんのビールをつないでいます。他のお店ではなかなか飲めないビールがここで飲める、なんてこともありますよ。このラインナップも定期的に変えていけたらいいなと思っています。
――メニューを見て気になったのですが、量り売りもされているんですね。
井上さん:車でお出かけされる方や、お家でうちのビールを楽しみたい方に向けて量り売りで販売しています。「グラウラー」という、炭酸入れることができる水筒を持参していただければ、お持ち帰りも可能ですよ。
――キャンプやピクニックのお供にもぴったりかもしれませんね。お店の反応はいかがでしょうか。
井上さん:お客さんから「美味しい」って言っていただけのが、いちばん嬉しいですね。まだはじめたばかりですが、お客さんから嬉しい言葉をもらえたり、応援してもらえたりするのが、すごく励みになっています。
――4月からブルワリーツアーもはじめられたと聞きました。
井上さん:工場の設備を実際に見てもらいながら、設備の説明や、ビールがどのようにつくられているのかをお話するツアーになっています。 工場を見終わったあとはビールの試飲も行っています。観光で新潟にいらっしゃった海外の方や、ビールが好きな県内の方にも来ていただけていますね。
――ビール好きにはたまらないツアーですね。今後の井上さんの目標を教えてください。
井上さん: 「2LF BEER」をいろんな人に楽しんでもらえるように、缶やギフトBOXをつくって販売していきたいです。ゆくゆくはお店のグッズ販売や、通信販売をしていけたらいいなと思います。
――最後に読者の方にひとこと、お願いします!
井上さん:ビール1杯から楽しんでもらえるお店になっています。散歩がてら、ふらっと気軽にお越しください。けやき通りでお待ちしています。
「2LF BEER」ではちょっとしたおつまみと一緒に、こだわりのビールを楽しむことができます。おつまみのひとつ、「燻製たまご」は、ビールの製造の過程で出る麦芽かすを食べて育った鶏の卵を使用しているんだとか。そんな環境を意識した取り組みもしている「2LF BEER」。みなさんも一度、足を運んでみてください。
2LF BEER
新潟市中央区天神1丁目19番地9 INGビル 1F
火〜木 17:00-21:00
金 17:00-22:00
土 13:00-22:00
日 12:30-21:00
※5/7、5/8はお休み
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