帽子を使って何を表現するか。新潟発の帽子ブランド「3-three」。

奇抜なファッションセンスから行き着いた、無個性から生み出される個性。

2017年に立ち上がった帽子ブランド「3-three(スリー)」。帽子デザイナーであるsuさんが生み出す、シンプルで無個性なデザインの帽子たちは、どれも身に着ける者の個性を引き出してくれる。新潟では珍しい帽子デザイナーのsuさんに、ブランドのコンセプトをはじめ、立ち上げ秘話などをお聞きしました。

 

3-three

su

1985年新潟生まれ。国際トータルファッション専門学校を卒業後、アパレルショップにて勤務。その傍ら、あらい靜枝帽子教室へも通い、2017年、自身の帽子ブランド「3-three」を立ち上げる。

 

帽子に感じた、個性を出すための可能性。奇抜な帽子ばかりを好んでいた学生時代。

――suさんは、どんなキッカケで帽子を自らの手で作ろうと思ったんですか?

suさん:専門学校を卒業してから、某アパレルショップで働いていました。そうしたら社会に出て時間が経過していくうちに「他人に誇れる自分の特技って何なんだろうかと」考えはじめたんです。これといって何もなく、だったら何かしたいなと思いはじめて。昔からファッションが好きだったので洋服デザイナーも考えましたけど、専門学校時代に自分の個性を出すためにかぶっていた帽子を思い出したんです。

 

――個性を出すために帽子をかぶるというのは、変わった帽子を選んでいたってことですか?

suさん:ファッション関係の専門学校に通っていたのでオシャレな生徒が多くて、背の高いトップクラウンという帽子や、アルミ缶で作られた帽子など、とにかく個性的で奇抜な帽子を選んでいましたね。

 

 

――アルミ缶で作られた帽子なんてあるんですね、驚きです(笑)。服装も帽子に合わせて個性派だったんでしょうね。

suさん:そうでしたね。当時「FRUiTS(フルーツ)」「TUNE(チューン)」などの雑誌のファッションスナップで紹介されていた奇抜なコーディネートが好きでしたね。基本的に変わったモノが好きで。

 

――ありましたね、その雑誌。個性的なファッションが好きな人はこぞって読み漁っていた印象があります。

suさん:あとは「装苑(そうえん)」という雑誌で、ちょくちょく文化服装学院のファッションスナップが掲載されていたのを見ていました。渋谷にある変わった帽子屋さん「RARARA HAT(ラララハット)」の存在は、この雑誌を通して知りました。布の端切れを組み合わせた帽子とか、とにかく個性的な帽子ばかりをかぶっていて。今とはある意味で真逆だったかもしれません。

 

3年かけて、0から学んだ帽子の作り方。

――帽子については、どうやって勉強されたんですか?

suさん:アパレルショップで働きながら、国分寺にある「あらい靜枝帽子教室」へ通いました。帽子界の重鎮である平田暁夫さんも薦めるような、とても凄い技術を持った先生がやっている教室なんですけど、自分以外は50~60代のおじさま、おばさまばかりで(笑)

 

――そんな方が薦める教室なのに、マダムたちが多いんですね、意外です(笑)。どのようなことを学ぶんですか?

suさん:教室は月に1回で、3年間通いました。1年目は初歩的な布の帽子を、2年目は木型を使って麦わら帽子などを、最後の3年目はチップという特殊な布(石膏を塗った布)で作りたい帽子に合わせた型を作って、完全オリジナルの帽子を制作しました。チップはどんな型でも作れるので、ソフトクリームみたいな帽子も作れるんですよ。そして最後に3年間の総仕上げとして、オリジナルの作品を出すファッションショーがありました。僕はレザーと羽、木の枝を組み合わせたヘッドドレス、植物と麻素材のベレー帽とかを作って。いろいろな技術を学ぶことができましたね。

 

帽子を使って何を表現するか。帽子ブランドの立ち上げ秘話。

――「あらい靜枝帽子教室」で3年間学んだ後は、いよいよ「3-three」の立ち上げですか?

suさん:そうですね。洋服をはじめ、何でも奇抜で変わったデザインがファッションのベースにあって、ひねくれ者で流行が嫌いな自分。そんな自分が好む帽子は個性が強くて、装飾なんかもいろいろ付いています。でも、帽子業界にないような帽子を作りたいと漠然と考えているなかで、これではないと思ったんです。

 

――個性的な帽子をかぶり続けていたのに、考えた答えは違ったんですね。どうして個性的な帽子は違うと思ったんですか?

suさん:帽子って、ファッションのメインではないけれど、1つで目立って、キャラクターが確立してしまいます。もっと違った視点から個性にアプローチできないかと。考えた結果、個性って奇抜でなくても表現できるんじゃないかって思えたんです。シンプルでありながらも個性を出すこと。「帽子を使って何を表現するか」の答えが出ました。

 

 

――その答えが出た結果、「3-three」のコンセプトはどのように?

suさん:「個々の個性の創造」としました。今展開しているラインは「ベーシック」といって、とにかくシンプルなデザインです。つまり無個性。本来、自分自身の身体や雰囲気が持っている個性と合わせることで、どうコーディネートできるかという、個性と無個性を掛け合わせた実験でもあります。

 

――なるほど、なんか哲学的ですね。あえて、いたって普通なデザインしているってことですか?

suさん:そうですね。特に今季のラインは、もうひとつのテーマとして「没個性」を掲げました。個性のない帽子、主張のない帽子のデザインを考えて、他のモノでそれらを補おうと、無個性で普遍的なセメントや石などのグレーを使うルールを課して。フェルト、ウール、スエードなどの素材展開はもちろん、ただグレーなだけでなく、極端に白に近いグレーや、黒に見えるグレーなど、グレー色の展開も幅広くなっています。

 

 

――グレーを単色と考えずに、幅広いグレーを展開しているんですね。グレーをセレクトして、お客さんの反応はどうですか?

suさん:グレーは合わせるのが難しいともいわれます。でも、自分としては、そんな帽子をどうコーディネートしてくれるかを見るのが楽しみなんです。あとは、黒も作って欲しいとよくリクエストをもらいます。ただ、このコレクションではグレー縛りなので展開は考えていないです。

 

――最後に、「3-three」の帽子を通して、伝えていきたいコトは何ですか?

suさん:個性やジェンダーが多様化している現代なので、「3-three」を通して自己表現をどんどんしていって欲しいと思っています。「3-three」のブランド名には、展開や発展、創造という意味がありますが、数字を用いることでフラットで無の状態をイメージしました。だから年齢や系統などをカテゴライズするのではなく、感覚で自分というモノを帽子を通して発信していってくれたらいいなって思います。

 

「3-three」の帽子が買えるのはココ。

「眼鏡とは使う人のライフスタイルに直結するもの。その人自身の生活そのものに寄り添うもの」をメインテーマに掲げ、既製品ではなく、一人一人に合わせたオーダー製品、オンリーワンのメガネを提供する「Optical Inada 稲田眼鏡店(見附市)」に、「3-three」特設コーナーがあります。最新作も揃い、メガネと合わせた個性の発信にも注目です。

 

 

 

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