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遊びが広がる木のおもちゃを作り続ける「ナカムラ工房」。

子どもの遊びは、その後の性格や考え方に影響する。

みなさんは子どもの頃どんな遊びに夢中でしたか? どんなおもちゃで遊んでましたか? 当時の「遊び」が大人になってからの性格や考え方にも影響しているように感じることはないでしょうか。新潟市秋葉区に、そんな「遊びの大切さ」に気づき、木のおもちゃ作りを続けている人がいます。「ナカムラ工房」の中村さん。今回は工房にお邪魔して、おもちゃを見せてもらいながら、おもちゃ作りへの思いを聞いてきました。

 

 

ナカムラ工房

中村 隆志 Takashi Nakamura

1981年新潟市秋葉区生まれ。子育て支援センターで保育士として5年間勤務した後、長野県上松技術専門学校の木材工芸科で木工を学ぶ。卒業後は新潟市に戻り2010年4月「ナカムラ工房」を開設。NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃコンサルタント。1年前からヒラメを狙ってサーフの釣りを楽しんでいる。

 

保育士時代に木のおもちゃと出会い、木工おもちゃ職人に。

——いろんな木のおもちゃがありますね。中村さんはなぜ木のおもちゃを作るようになったんですか?

中村さん:工房を始める前は、子育て支援センターで保育士をやってたんです。そこで子どもが遊ぶ姿を見ながら、遊びというものが子どもの成長過程で大きな役割を果たすものだと感じていました。私は子どもの頃からもの作りが好きだったので、施設内の壊れたおもちゃを修理したり、おもちゃをしまう収納を作ったりして、おもちゃに触れる機会が多かったんですね。その頃、施設環境の見直しをすることになって、私はおもちゃ選びを任されることになったんですけど、そのときに木のおもちゃと出会ったんです。自分で木のおもちゃを作り始めたのはその頃です。

 

——最初に作ったおもちゃを覚えてますか?

中村さん:象の形をした「ラトル」でした。ラトルっていうのは振って音を出すおもちゃで「ガラガラ」と呼ばれることもあります。私が作ったのは象の耳の部分が持ち手になっていて、長い鼻の部分が数珠みたいになっているものでした。子どもたちのおもちゃを作っているうちにもっと本格的に作ってみたいと思うようになっていったんです。

 

——それで工房を立ち上げたんですね。

中村さん:はい。でも木工の基本をしっかりと学びたかったので、長野県にある上松技術専門学校の木材工芸科に入学しました。そこで道具の手入れから、機械の使い方、効率のいい作り方を勉強したんです。独学だけでは知識に限界がありますから、きちんと学んでよかったと思います。

 

木育を推進する「ウッドスタート」事業への参加。

——「ナカムラ工房」を立ち上げて、最初はどんな活動をしていたんですか?

中村さん:イベント出店でワークショップをやったり、木のおもちゃを扱っている雑貨店に製品を持参して売り込みしたりしてました。その頃は木のおもちゃをガラガラ引っ張って東京の街を歩いたりしてましたよ(笑)。5年前からは見本市に出店するようになって、いろいろと反響をいただくようになりました。

 

——最初はいろいろ大変だったんですね。最近はどのような仕事をしているんですか?

中村さん:イベント出店や雑貨店への卸売をしています。あと「ウッドスタート」っていう事業に参加したりしています。

 

——どんな事業なんですか?

中村さん:市町村と東京おもちゃ美術館が協働して、地元の木で作ったおもちゃを使って木育を推進する取り組みなんです。そのひとつに「誕生祝い品事業」っていうものがあって、地元産の木材で作ったおもちゃを生まれた赤ちゃんへの誕生祝いとして市町村から贈るんですよ。私は長崎県にある松浦市の「あおのまちパズル」というおもちゃを作らせてもらいました。松浦市の風景をイメージして作った、積み木とパズルが一緒になったようなおもちゃです。

 

——箱の底に海とか線路とかの風景が描かれてるんですね。

中村さん:そうなんですよ。この積み木みたいなパズルの部分が魚や船、電車の形になっていて、海のところに魚や船を置いてみたり、線路の上で電車を走らせたりして遊ぶことができるんです。

 

——おおー、いろんな遊び方ができる上に地域の風景まで再現できるわけですね。この黄色いのも魚ですか?

中村さん:これはアジフライです(笑)。松浦市はアジの水揚げ日本一で「アジフライの聖地」を宣言しているほど、アジフライが名物になってるんですよ。

 

遊びが広がる木のおもちゃを見せてもらいました。

——木のおもちゃを作るときってどんなことに気をつけてるんですか?

中村さん:子どもたちがどうやって遊ぶのか、遊びがどんなふうに広がっていくのか考えながら作っています。あと木のよさを生かして、触り心地がいい丸みがある形になるように意識してますね。材料を選ぶときはおもちゃの遊び方で木の種類を変えています。例えば動かして遊ぶおもちゃだったら軽いスギやヒノキを選びますし、噛んだりする可能性があるおもちゃにはブナとかの硬さのある木を選びます。

 

——そのように考えながら作られた木のおもちゃを、いくつか見せていただいてもいいでしょうか。

中村さん:わかりました。まず最初にお見せするのは「ころんころん」っていう車みたいなおもちゃです。底に4つの車輪がついていて走らせて遊ぶんですけど、横に転がしたり前後に転がしたり、ひっくり返したまま回転させたりできるんです。このおもちゃは日本グッド・トイ委員会認定の「グッド・トイ2014」選ばれました。

 

 

——この丸みを作るのが難しそうですね。こちらも車みたいなおもちゃですね。

中村さん:「ギュット」っていう名前のグリップカーです。握ってゴロゴロと転がして遊ぶおもちゃなので、赤ちゃんが握りやすい大きさで作ってあります。噛んでも傷まないようブナを使ってるんです。4〜5年前から「スノービーチ」っていう新潟産のブナを使う動きが広がってきてるんですよね。

 

 

——このトーストとおにぎりはどうやって遊ぶものなんですか?

中村さん:「ラトル(目玉焼き・おにぎり)」っていうおもちゃなんですが、中に小豆が入っていて振るたびに音がします。赤ちゃんは音がするおもちゃが好きですからね。トーストとおにぎりの端っこが食べたみたいに欠けているのは、赤ちゃんが持ったり噛んだりしたときにかわいく見えるんじゃないかという遊び心です(笑)

 

 

——こちらの魚のおもちゃも音を鳴らして遊ぶものですか?

中村さん:「おさかならと」っていう商品名のラトルです。「〜だそうです」っていう意味の「らと」っていう新潟弁とラトルをかけた名前になってます。サイズが小さいから出かけるときもバッグに入れたりして持ち運びしやすいんです。実をいうとこれが「ナカムラ工房」のおもちゃ第1号なんです。

 

大人のためのワークショップや子どものための木育活動をやってみたい。

——「ナカムラ工房」で今後やってみたいことってありますか?

中村さん:大人を対象にした木のおもちゃ作りのワークショップを工房で始めたいですね。自分で作った木のおもちゃをお子さんやお孫さんにプレゼントできると素敵だと思うんですよ。あと、木のおもちゃができるまでを子どもたちに知ってもらえるようなイベントもやってみたいです。森の木がどのように育って、切られ、製材加工されて製品になるのかを実際に見たり体験したりできる、木育につながる活動もやっていきたいと思っています。

 

 

中村さんの作り出す木のおもちゃは安全で見た目が美しいというだけではなく、子どもたちがどのように使って遊ぶのかという、遊び方の広がりまで考えて作られているものでした。これからも子どもたちが楽しく遊べて、心豊かな人間として育ってくれるようなおもちゃを作り続けてくださいね。

 

ナカムラ工房

〒956-0025 新潟県新潟市秋葉区古田3-12-34

090-1201-5892

10:00-18:00

土曜日曜祝日休

 

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