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デザイナーと地元メーカーのコラボブランド「FD STYLE」。

デザイン性や機能性に富んだプロダクトデザインブランド。

ホームセンターにたくさん並んでいる日用雑貨。普段は何気なく眺めているそれらの商品ですが、そのすべてに、デザイナーや技術者などたくさんの人が関わっています。優れた技術力や生産性を持っていても、あまり名前を知られていない地元のメーカーはたくさんあります。今回ご紹介するのは、そんなメーカーとコラボして、デザイン性や機能性に富んだ製品生み出している会社「有限会社エフディー」さん。代表の萩野さんに、プロダクトブランド「FD STYLE」の取り組みによって誕生した製品について聞いてきました。

 

 

有限会社 エフディー

萩野 光宣 Mitsunobu Hagino

1965年新潟市西区(旧黒埼町)生まれ。幼い頃から自動車やバイクに興味を持ち、将来の夢はエンジニアだった。福島県の短大でプロダクトデザインを学んだ後、地元に戻って家具工場に入社し婚礼箪笥の製造を経験。その後、企画会社のプロダクトデザイン部門で燕三条のモノづくりに関わる。1991年よりフリーランスとしてプロダクトデザインの仕事を始め、1999年に「有限会社エフディー」として法人化する。グッドデザイン賞など多数受賞している。

 

世の中のためになっている仕事をやっていればお客さんは現れる。

——今日はよろしくお願いします。この「有限会社エフディー」はどのようにして始めた会社なんですか?

萩野さん:私は企画会社の中のプロダクトデザイン部門で、燕三条でモノづくりをやっている企業と関わりながら働いていたんです。その会社を退職してすぐに、私のお客さんだった収納庫メーカーから連絡があったんですよ。私が会社を退職したことを知って、驚いて連絡してきてくれたんですね。そのとき、その会社に入社しないかと誘われたんですけど、会社勤めをするつもりはなかったので断ったんです。

 

——あらら。もったいない話ですね。でも、それだけ認められてたんですね。

萩野さん:ありがたいですよね。入社を断ったら今度は、フリーランスとして年契約で会社の仕事を請け負ってほしいと頼まれたんです。報酬の提示をされたものの、それが高いのか安いのかすらわからなかったので、いろいろな知り合いに聞いたりしました(笑)。金額について安いという人もいれば、まだ何の実績もないのに報酬の額を気にするのはおかしいという人もいましたね。たしかにもっともだと思いました(笑)

 

——お客さんや仕事も様々だから報酬の相場って難しいですよね。結局、その会社の仕事は受けることになったんですか?

萩野さん:その会社の仕事は5年間やりましたね。そこの社長に言われて今でも印象に残ってる言葉があるんです。「君のやってる仕事がちゃんと世の中のためになっているならば、お客さんがいなくなっても、また別なお客さんが現れる」。今でもこの言葉を忘れずに仕事をしています。

 

——すごく真理を言い表した言葉ですね。そのメーカーさんからの依頼がきっかけでフリーランスとしての仕事がスタートしたんですね。ところで、会社の「エフディー」っていう名前にはどんな意味があるんですか?

萩野さん:フリーランスとして仕事を始めて半年しないうちに、また前の会社のお客さんから連絡が来て年契約の仕事を受けることになったんです。その時、会社に稟議を上げる必要があるので、何か屋号をつけてほしいと言われたんですよ。私はインテリアブランドの「alflex」が好きだったので「フレックスデザイン」という名前にして、それを略して「FD」という屋号にしたんです。ほとんど字面で決めたようなものですね。その後、1999年に「有限会社エフディー」として法人化するんです。

 

おろし金、鍋、湯たんぽ。機能性に優れた「FD STYLE」ブランド製品。

——「FD STYLE(エフディースタイル)」っていうのはどういったブランドなんですか?

萩野さん:2010年頃から始めたブランドです。「有限会社エフディー」がデザインしたものを、新潟県内の製造メーカーで製品化する取り組みの総称なんです。優れた技術力を持った職人がいる製造メーカーって、下請け仕事がほとんどなので、あんまり名前が前に来ないことが多いんです。でも「FD STYLE」では一緒に取り組む製造メーカーの名前を前面に出して、優れた生産者の姿を世界に伝えます。それが地域産業の活性化に繋がってくれたらと思っています。

 

——なるほど。ではそんな「FD STYLE」として作った製品にはどんなものがあるんでしょうか?

萩野さん:まず、大根おろしを作ったり、生姜を擦ったりするときに使うおろし金ですね。例えば大根を擦っておろすときって、大根がすり減って削りにくくなってくるから向きを変えたり角度を変えたりして擦りますよね。そんなことをしなくても力が集中して効率よく擦りおろせるように、おろし面に湾曲をつけたり、刃をV字に配列したんです。また、手軽に置いておくことができるように、先端のワイヤー部がボールなどに引っかかるように作られていて、丼や鍋に乗せたまま収納できるんです。

 

 

——シンプルだけど、色々と便利なんですね。しかもカッコイイし。

萩野さん:あと、こちらの鍋も便利なんですよ。鍋の蓋ってかさばるし、置き場に困ることが多いじゃないですか。おまけに蓋の裏には水滴がついて濡れてたりするし。そんな蓋の置き場を考えて作ったのが、この鍋なんです。鍋の縁にフックを使って蓋をかけることができて、余計なスペースを取ることなく置いておくことができるんですよ。その上、蓋の裏の水滴も鍋の中に落ちるようになっているから、周りを濡らすこともありません。

 

 

——鍋の蓋の置き場って、確かに持て余すことがありますよね。こちらの湯たんぽも変わった形ですね。

萩野さん:この湯たんぽは燕市の金属製品メーカーでデザインができていたんです。面白い形だし女性受けしそうだったので、この湯たんぽに合うようなかわいいカバーをつければ売れるんじゃないかと思いました。そこで五泉のニットメーカーでカバーを作ったんです。ニットには日東紡新潟工場の超長綿を使っています。全ての工程を新潟でおこなった産地間コラボが実現したわけです。自分がデザインした製品じゃないんですが、メーカーとメーカーをつないで製品を作り上げるのもデザイナーの仕事だと思いますね。

 

自分たちが道を作ることで若いクリエーターに続いてほしい。

——この部屋は「有限会社エフディー」のショップなんですか?

萩野さん:はい。昨年から金曜と土曜のみ営業してます。大手メーカーとの差別化を図るために、デザイナー自らが製品を売ることを考えています。この医学町ビルには民間のクリエーターが集まって、ひとつのコミュニティを作る試みをしているんです。本町人情横丁や沼垂テラス商店街のクリエーター版といったところでしょうか。いい感じで定着していってくれたらと思って参加しています。自分たちが道を作ることで、後に続く若いクリエーターたちがその道を登っていけるようになってくれたらいいなと思ってます。

 

 

クライアントワークが中心のプロダクトデザイナーと、問屋からの下請け仕事が多い製品メーカー。どちらも「誰かから頼まれたものを作る」という同じような立場の同志が、自分たちのオリジナリティを取り戻すために始めたのが、このプロダクトブランド「FD STYLE」の取り組みです。とっても機能的でおしゃれな生活雑貨を使って、新しい一年の暮らしをより快適にしてみるのはいかがでしょうか。

 

 

 

有限会社エフディー

〒951-8124 新潟県新潟市中央区医学町通41 医学町ビル2F

025-378-2800

日曜〜木曜休

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