本物のデザインにこだわったインテリアショップ「APARTMENT」。

あたたかな明かりが印象的な、レトロな佇まいのインテリアセレクトショップ。

新潟市中央区の西堀通と鍛治小路の交差点そばに、煉瓦色のちょっとレトロな佇まいのビルが建っています。夜になると並んだ窓からあかりが漏れ、おしゃれな中にも温かみを感じさせてくれるこちらのお店は、「APARTMENT」というインテリアセレクトショップです。どんな基準でアイテムをセレクトし、どんなふうに空間作りを提案しているのか。マネージャーの池田さんに聞いてきました。

 

APARTMENT

池田 寛 Hiroshi Ikeda

1971年新潟市西区生まれ。APARTMENTマネージャー。雑貨店退職後にAPARTMENTのスタッフとなる。趣味は多く、自転車、けん玉、観葉植物などがある。観葉植物に関しては現在十数鉢あり、部屋の中がジャングル化している。

 

どんなインテリアを、どんな基準でセレクトしているの?

——今日はよろしくお願いします。ずいぶんいろいろなアイテムがありますが、どのようにして見つけてくるんですか?

池田さん:店のコンセプトとしては、「本物のデザインだけを扱う」っていうことなんです。この言葉にはふたつの意味があって、ひとつはコピー商品は扱わないということ。世の中には「ジェネリック」や「リプロダクト」と呼ばれる商品がたくさん出回っています。これはデザイナーズ家具の復刻・再生品という意味で、コピー商品ともいえます。デザイナーの意匠権利っていうのは30年で期限が切れてしまいうんですね。そうなった後にはコピー商品が「ジェネリック」「リプロダクト」として売られるようになるんです。もちろん違法ではありませんし、どのインテリアを選ぶのもお客さんの自由です。ただ、当店ではデザイナーへの敬意を忘れないようにしたいという思いで、正規ルートからしか仕入れしていません。買おうと思っているインテリアが本物かどうか知りたいときは、遠慮なく聞いてほしいですね。

 

——なるほど。あとひとつはどんな意味があるんですか?

池田さん:「本当にいいデザイン」ということですね。デザインを見るときって全体のシルエットを見るじゃないですか。でも、全体のシルエットっていうのは、細部の積み重ねでできていると思うんですよ。たとえばイスがあるとします。背もたれの角度、木の質感、脚のカーブ、エッジの滑らかさなどのデザインが積み重なって全体のシルエットができているんです。見た目のほかにも、使いやすさといった機能面、お求めやすさといった価格面もチェックしています。

 

——やはり厳しい目でセレクトをしているんですね。ちなみにどんなメーカーの品物を扱っているんでしょうか?

池田さん:まず「Herman Miller(ハーマンミラー)」。アメリカの家具メーカーで、事務用家具、オフィス設備などの製造メーカーです。それから「カリモク60」。「カリモク家具」という日本の家具メーカーが、60年代に作っていた家具を復刻させたものが「カリモク60」というシリーズです。60年代といえば、日本人の生活に洋風なインテリアが入ってきた時代。そんなテイストの家具なんです。そのほかにも「journal standard Furniture(ジャーナルスタンダードファニチャー)」「ACME Furniture(アクメファニチャー)」といった、アメリカンヴィンテージ家具なども扱っています

 

好きな家具に囲まれて生活してほしい。

——お客さんにはどんなライフスタイルの提案をしていますか?

池田さん:やはり好きな家具に囲まれて生活してほしいと思うんですよ。「ただいまー」って家に帰ったとき、お気に入りのソファが部屋で待っていてくれたら、きっと幸せな気持ちになれると思うんです。思い入れのない家具に囲まれて過ごすよりは、自分の納得できる家具に囲まれて生活する方が、幸せな生活を送れると思います。

 

——そういう提案をするために、商品展示には気を使っているんでしょうか?

池田さん:はい。インテリアがよりよく見えて、買い物しやすいように工夫しています。模様替えはしょっちゅうやってますね。新商品が入ってきたタイミングはもちろん、とくに意味がなくても模様替えをしています。模様替えすることでスタッフも新鮮な気持ちになれるし、モチベーションが上がるんですよね。そして、そういう雰囲気って、お客さんにも伝わるものなんですよ。

 

無意識に斜め後ろから見てしまうのが、職業病。

——「APARTMENT」ってどんないきさつでスタートした店なんですか?

池田さん:オーナーの田村が、チャールズ・イームズ(アメリカの建築・家具デザイナー)のヴィンテージチェアを数脚見つけてきて販売したのが始まりです。オーナーはアメリカ暮らしが長かったので、当初はアメリカのヴィンテージ家具だけを販売していました。オープン当時はそんな店が新潟にはまだなかったんですが、しばらくするとミッドセンチュリーインテリアブームがおとずれ、ヴィンテージ家具が注目されるようになったんです。当時の人気雑誌でも取り上げられ始め、少しずつ軌道に乗っていきました。

 

——池田さんはいつごろから「APARTMENT」にいるんですか?

池田さん:平成21年頃に前の職場を退職したタイミングで、オーナーから声をかけられたんです。以前の職場は雑貨屋で、バタバタとめまぐるしく毎日が過ぎていきました。そんな日々を送る中で、もっと腰を据えてお客さんと向かい合いたいと思うようになっていたんです。「APARTMENT」ではお客さんと濃密に関わることができて、充実した日々を送っています。

 

——池田さんにとって理想的な職場だったんですね。ところで、池田さんには職業病のようなものってありますか?

池田さん:ありますね(笑)。イス、自転車、自動車の気になるデザインがあると、無意識に斜め後ろから見てしまうんです。正面が美しいのは当たり前なんですが、本当にいいデザインのものって、斜め後ろがきれいなんですよ。その角度が美しい製品っていうのは、デザインに気を抜いていないということですからね。

 

店舗になったビルを見たとき、古い建築物が持つ「力」を感じた。

——この建物もレトロな雰囲気があっておしゃれですよね。

池田さん:ここには10年前くらいに移転してきました。昭和50年代に建てられたビルで、もとは婚礼衣装店だったようです。7〜8年空きビルだったので、視察に来たときは床が腐ってたりして大変でした。お化け屋敷みたいなビルだと思ったんですが、表から外観を見たときに古い建築物が持つ「力」を感じて、この場所に移転することにしたんです。表向きに並んでいる窓を生かしたくて、ひとつの窓にひとつの照明器具をはめていきました。そうしたら、それまでお化け屋敷のようだったビルがおしゃれなビルに変わって、見晴らしがよくなったと向かいのマンションの奥さんから感謝されました(笑)

 

——そんなに荒れていたんですか。内装工事が大変そうですね。

池田さん:設計事務所などには頼まずに、自分たちで職人やスタッフを集めて直接工事の依頼をしたんです。私たちは図面なんて引けませんから、口頭でんぼんやりしたニュアンスを伝えて作業してもらったりして(笑)。かなり無茶なお願いもしましたので、職人さんとの間ですったもんだもありましたが、完成したときに職人さんから「楽しかった」といってもらえました。

 

——西堀で営業していて感じることはありますか?

池田さん:ここで店をやっていることの心地よさはありますね。近所の子どもやおじいちゃん、おばあちゃんも遊びに来る商店みたいな感じ。おせんべいや犬のおやつを差し入れしてもらったり、ご近所づきあいもあるんですよ。お客さんの中には、ここに「APARTMENT」があるのは知っていても店に入ったことがない人って多いんじゃないでしょうか。そんな方には、町歩きのついでにでも、ふらっとのぞいてみてほしいと思うんです。きっと何か面白いものを発見できるはずですので。

 

 

「本物のデザイン」にこだわり、厳しい目で選んだインテリアをお客さんに使ってほしいという「APARTMENT」。そのこだわりとは裏腹に、とても気さくでアットホームなムードの居心地いい空間になっています。それもまた、こだわりの本物の家具に囲まれているから、なのかもしれませんね。古町にお出かけの際には、ふらっと覗いてみてはいかがでしょうか。

 

 

APARTMENT

〒951-8062 新潟県新潟市中央区西堀前通738-1

025-225-1950

11:00-19:00

第1・3日曜休


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