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固定概念を覆す、食パンや水饅頭が人気の和風なお店「べべ」。

三条市の住宅街に、まるで和菓子屋さんのような佇まいのお店があります。「優しさと笑顔を作るお店 べべ」。和風な店内には棚の代わりに古い桐だんすが置かれ、その上にはパンや焼き菓子が並べられています。どんな思いでやっているお店なのか、オーナーの川村さんにお話を聞いてきました。

 

 

優しさと笑顔を作るお店 べべ

川村 和也 Kazuya Kawamura

1986年三条市生まれ。新潟県内の製菓・製パン専門学校を卒業後、三条市内の人気ベーカリーに就職して12年間勤め、2019年5月に「優しさと笑顔を作るお店 べべ」をオープンする。趣味は車いじりから食べ歩きと幅広い。

 

「べべ」が和菓子屋みたいなパン屋になったわけ。

——お店の外観だけ見ると、パン屋さんじゃなくて和菓子屋さんみたいですね。

川村さん:元々この建物は、カンナ職人だった僕の祖父が使う工房だったんですよ。だから祖父のつくったカンナや、曾祖母が大切にしていた桐だんすを店内にディスプレイしています。僕は和風なものが好きな上に、ちょっと変わり者だったりするので「パン=洋風」という一般的な固定概念を崩したかったんです。ついでに言うと、店名には「パン屋」とも「ベーカリー」とも謳っていないんですよ。

 

 

——あっ、本当だ。「優しさと笑顔を作るお店」って書いてある。店名の「べべ」っていうのは、どういう意味があるんですか?

川村さん:新潟の方言で着物や服のことを「べべ」っていいますよね? 服っていうのは生活するなかで着ていて当たり前のものなので、それと同じくらい日常的な存在でありたいと思って名付けました。

 

——なるほど。そういう意味だったんですね。あと壁に貼ってあるパネルやショップカードに、子ども達の笑顔の写真を使っていますよね。

川村さん:子どもの笑顔は安心や安全を表現しているアイコンなんです。本当はもっとたくさん子どもの写真を載せようと思っていたんだけど、あんまりいっぱい載せると何かに掲載するたびに許可を取るのが大変なので、身内の子どもだけにしたんです(笑)。あの写真のおかげか、保育園から給食やおやつとしてパンのオーダーが多いんですよ。

 

パン職人を目指したきっかけは、子ども時代に好きだったパン屋さん。

——川村さんはどうしてパン職人を目指そうと思ったんですか?

川村さん:自分には事務職が合わないだろうと思っていたので、何か手に職をつけようと思っていたんです。そのとき頭に浮かんだのが、子どもの頃に大好きだったパン屋さんでした。自分でも美味しいパンを作って、みんなによろこんでほしいと思ったから製菓製パン専門学校に入学しました。でも最初のうちは、パンとお菓子のどちらをやろうかと迷いもあったんです。

 

 

——どうしてパンを選んだんですか?

川村さん:専門学校で出会った恩師の影響です。その先生の考え方がとても自分に合っていたので、いろいろと共感するところがありました。今でも大切にしているのは「社会に出たらお金と人の貯金をしなさい。困ったことがあったら、そのどちらかが助けてくれるから」という言葉です。学生のときはいい言葉だと思っただけでしたが、今になってみると身に沁みて実感することも多いんですよ。

 

——その先生からパンづくりを学んで、卒業後はパン屋さんで働いたんですね。

川村さん:はい。三条市内でも人気のあるパン屋さんに就職して12年くらい働きました。「こうしたらどうだとう」とか「ああしたらどうなるんだろう」とか、「今日は昨日よりもいい仕事をしよう」と試行錯誤して、新しい発見をするのが楽しかったですね。毎日がとても充実していました。

 

——そのお店から独立することになったのは、どうしてなんですか?

川村さん:パン屋さんで働き始めたときから、いつかは自分の店を持ちたいという思いはあったんです。それから12年経ったタイミングで、独立に向けた話がいろいろ舞い込んできたんですよね。それで「ベベ」をオープンすることになりました。

 

人気食パンの秘密は固定概念を崩した製法。

——おすすめの商品を教えてください。

川村さん:だんとつに人気があるのは食パンですね。

 

 

——食パンはどういうこだわりで作っているんですか?

川村さん:人気のある高級食パンって世間にたくさんありますよね。でも、いい材料を使って値段の高い食パンをつくれば、美味しくなるのは当たり前だと思うんです。だから僕はどこでも手に入るような普通の材料を使って、お手頃価格なのに美味しい食パンをつくりたいと思ったんです。

 

——材料にこだわらなくても、美味しい食パンは作れる、と。

川村さん:製法の固定概念を思いきって変えているんです。粉に対しての水分量が一般的な基準をはるかに超えていて、食パンが自立するギリギリのラインを狙ってつくっています。だからうちの食パンは、厚切りはもっちり、薄切りはしっとりした食感になるんです。ベーシックな食パン以外にライ麦を使った食パンもありますけど、パサパサして固いライ麦食パンのイメージを覆して、しっとりした食感で人気があります。

 

 

——ギリギリのところを狙って作るとなると、かなり繊細な作業になりそうですね。

川村さん:そうですね。気温や湿度に合わせて、水分量、こね方、焼き方を毎回変えています。勘で加減をしているから、他の人に作り方を教えることができないんですよ。

 

——なるほど。食パンの人気が高い理由がわかった気がします。他に人気のある商品はあるんですか?

川村さん:「べべまんじゅう」っていう水饅頭も人気があります。こちらは水にこだわって、三条市が力を入れている「下田千年悠水」という湧き水を使っています。軟水に近い水を使うことで、ぷるぷるした食感や、つるんとした喉越しを実現しました。チョコ、カスタードクリーム、あんこの3種類がレギュラーで、ときどき季節の味が期間限定商品として加わります。

 

 

——パン以外の商品も作っているんですね。

川村さん:でも食パンの人気が想定外に出てしまったので、焼き窯も時間も足りない状態なんです。生産量の限界を超えてしまって、設備面で追いつかなくなっているのが現状ですね。だから他のパンはもちろん、パン以外のやりたいことにも手がつけられないんです。僕のつくる食パンが多くの人たちに求めてもらえるのはありがたいんですけど、他のパンや商品を求める声にも対応していきたいとも思いますし、とても複雑な気持ちではありますね。

 

——そのあたりが今後の課題でしょうか?

川村さん:そうですね。自分が作ったものを買ってくれるお客様の反応が見られるのは、委託販売や大きな店舗では味わえないよろこびですので、この雰囲気を大事にしながら新しいことにも挑戦していけたらと思っています。

 

 

お店の中にずらりと並んだ食パンが人気の高さを感じさせます。食パンを食べてみると、もっちりとした柔らかさが癖になりそう。「べべまんじゅう」もつるんとした食感やさっぱりした甘さで、いくらでも食べられそうです。これからも「美味しいもの」をつくって、みんなに優しさや笑顔を届けていってください。

 

 

 

優しさと笑顔を作るお店 べべ

三条市南四日町2-12-13-1

0250-36-8005

9:00-18:00

毎週月曜・第2日曜・第4日曜休

 

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