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落ちついた空間で味わう、西蒲区「割烹 香乃葉」の日本料理。

まるで一般住宅みたいな古民家の割烹。店主のこだわりとは?

岩室温泉と弥彦温泉の間にある石瀬(いしぜ)地区。北国街道沿いにある一般住宅みたいな古民家が、今回の取材先です。建物を囲む板塀の上には「割烹 香乃葉(このは)」の表札。いったいどんなお店なんでしょうか。こちらのお店の店主・齋藤さんから日本料理への思いやこだわりを聞いてきました。

 

 

割烹 香乃葉

齋藤 直也 Naoya Saito

1981年燕市生まれ。埼玉県の短大で建築を学んだ後、神奈川県にある仕出し専門店で働く。フランス料理店に引き抜かれるが、フレンチから和食の店に変わったことで日本料理の仕事に携わる。その後、東京の有名和食店や岩室温泉の旅館で経験を積み、2019年新潟市西蒲区に「割烹 香乃葉」を開業。趣味は釣りだが、お店を始めてからはなかなか行けない。

 

一般住宅として使われていた古民家が、割烹に変身。

——外から見ると普通の民家みたいですね。ちょっとわからなくて通り過ぎちゃいました(笑)

齋藤さん:そうなんですよ。もともと一般住宅として使われていた古民家をリノベーションした建物なんです。最初はもっと広い店舗でやりたいと思ってたんですけど、私と奥さんの二人で切り盛りしてるのでこの広さでちょうどよかったですね。柱はそのまま使っていますが、壁は耐震構造にするため全部修繕しました。

 

——でもこのくらいの規模がアットホームでとっても落ち着きますね。齋藤さんは燕市のご出身なんですよね?どうしてこの石瀬でお店を始めようと思ったんですか?

齋藤さん:実家の燕市にできるだけ近いところがいいなと思ったんです。それと、店を始める直前まで近所の岩室温泉の旅館に勤めていたので、取引業者さんとかの勝手がわかるっていうこともありました。

 

——岩室温泉の旅館で働いていたんですか?

齋藤さん:はい、お店を始める勉強のために「著莪の里ゆめや」と「富士屋」の板場で働かせてもらいました。おかげさまで地元の取引業者さんと知り合えたりして、いろいろと勉強になりましたね。本当に感謝しています。それで「割烹 香乃葉」を始めたのは去年の6月でした。

 

建築の勉強をしフランス料理を経験して、日本料理にたどり着く。

——齋藤さんはこれまでずっと日本料理の道を進んできたんですか?

齋藤さん:いえ、最初は建築の仕事をしようと思って、埼玉の短大で建築の勉強をしていたんです。でも勉強していてもあまり興味を持つことができなかったんですよね…。当時は一人暮らしだったから自炊していて、だんだんと料理を作ることの方に楽しみを覚えるようになったんです。

 

——それで料理の道に進んだんですか?

齋藤さん:当時、遊びに行った鎌倉の雰囲気に惹かれて、こんな街で働いてみたいって思ったんです。それで鎌倉にある京風料理の仕出し専門店に就職しました。ところが、その店を手伝いに来ていたフランス料理のシェフがまかないを作ってくれていたんですけど、その料理の美味しさにフランス料理に憧れるようになってしまったんです。その矢先、そのシェフが新しくオープンするフランス料理のお店を任されることになって、私もついて行くことになったんです。

 

——あれ?フランス料理の方に行っちゃったんですね(笑)。

齋藤さん:いろいろと複雑なんですよね(笑)しばらくはフランス料理の店で働いていたんですが、そのシェフが店を辞めることになってしまって、今度は日本料理の板長が呼ばれて来て和食の店に変わっちゃったんです(笑)。私はそのまま残って和食の仕事をすることになりました。その板長は今ではミシュランガイド二つ星店のオーナーで、その仕事を見ている内に日本料理に惹かれるようになったんです。

 

——二転三転…。でもここで日本料理に戻ってくるんですね(笑)

齋藤さん:その板長の下で4年半くらい修行しましたけど、ずっと二人きりで仕事をしてきたので、もっとたくさんの板前が働いている職場で自分の腕を磨きたいと思うようになって、次に東京の日本橋にある大きい日本料理店で働くことにしたんです。その板場は本当に厳しくて、早い人は3日で辞めていっちゃうんですけど、私は7年間がんばりました(笑)。でも精神的に揉まれたおかげで、その後の自信につながった気がします。

 

日本料理では地味な作業をコツコツやることが大切。

——齋藤さんはどんなことにこだわって料理を作ってるんですか?

齋藤さん:できるだけ、普段は口にする機会が少ない料理を食べてもらいたい、という思いで作っています。そのためにも、できるだけいい食材を仕入れて使うように心がけていますね。日本料理は素材そのものの味を楽しむものですから。

 

——なるほど。他に心がけていることってありますか?

齋藤さん:私は地味な作業をコツコツとやっているだけなんです。たとえば魚を管理するときはできるだけ空気に触れさせないようにして、少し寝かせてから使うようにしたり、おひたしを作るときは必ずその日茹でたものを使って、出汁も仮漬けと本漬けの2段階で味付けしています。そういう細かい下ごしらえが素材の味を引き立ててくれるんです。

 

——それをやるだけで味には差が出るんでしょうか?

齋藤さん:大きく差が出ます。お造りなんかはわかりやすいんですよ。包丁の入れ方一つで味が変わってきますから。角をシャープに立てることで盛り付けたときの見た目の良さも変わってきます。日本料理って日本人にとっては身近もののはずなんですけど、しっかり作ろうとするとかなり奥が深いものなんですよね。

 

石瀬地区を、岩室や弥彦に負けないくらい盛り上げていきたい。

——開店してから1年経ちましたね。今後はどんなふうにお店をやっていきたいと思っていますか?

齋藤さん:ゆくゆくはスタッフを増やしてさらに多くのお客様に来ていただきたいですね。あとはこの石瀬地区をもっと活性化するお手伝いができればと思っています。岩室や弥彦には人が集まるんですが、石瀬にはあんまり人が来ないんですよ(笑)。自然もあるしいい雰囲気のお寺もあるので、たくさんの人に訪れてもらいたいですね。

 

 

広すぎない空間がアットホームな雰囲気でとても居心地のいい「割烹 香乃葉」。齋藤さんの柔らかい笑顔もあって、ゆったりとしたムードの中で取材することができました。お客さんのほとんどが地元の人たちなのですが、これからは観光や宿泊で来た人たちにも利用してほしいそうです。岩室温泉や弥彦温泉に行った際にはぜひ立ち寄ってみてください。心地いい空間で丁寧に作られた美味しい日本料理が味わえますよ。

 

割烹 香乃葉

〒953-0141 新潟県新潟市西蒲区石瀬2881

0256-77-8690

11:30-14:30/17:30-21:30

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