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発酵の町の味噌で作られた「みそ蔵らーめん花咲」の味噌ラーメン。

新潟市にある「沼垂」の地名って、市外にはどれだけ読める人がいるんでしょうね。「沼垂」と書いて「ぬったり」と読みます。この沼垂地区、実は古くから醸造蔵や酒蔵が集まっている「発酵の町」として有名なんです。このたび、その沼垂で作られた味噌を使った味噌ラーメンを提供する「みそ蔵らーめん花咲(はなさき)」というお店がオープンしました。どんなラーメンなのか、店主の日野さんにお話を聞いてきました。

 

 

みそ蔵らーめん花咲

日野 悠太 Yuta Hino

1994年新潟市中央区生まれ。新潟ビジネス専門学校事業創造科卒業。学生時代からラーメン店のアルバイトを経験し、卒業後はそのまま就職。イタリアンレストランを経て、2022年4月に「みそ蔵らーめん花咲」をオープン。

 

発酵の町・沼垂で生まれた味噌ラーメン。

——ちょっと遅れちゃいましたけど、オープンおめでとうございます。日野さんはラーメンの仕事には長く関わってきたんですか?

日野さん:ビジネスの専門学校に通いながら、ラーメン店でアルバイトをはじめたのがきっかけですね。そこでの仕事が自分に向いていると思ったので、何気なく夕食のときに家族に話したら、父から「将来自分でラーメン店をやってみたら?」って言われたんです。それでいつか自分でラーメン店をやってみようと思いはじめて、アルバイトしていたラーメン店の正社員として修業をはじめることになったんです。

 

——お父さんからの勧めもあったんですね。そのラーメン店ではどのくらい修業していたんですか?

日野さん:4年半くらいかな。いろいろある系列店で働いてきたので、それぞれ違った店の作り方や味を学ぶことができて勉強になりましたね。

 

 

——いよいよ「みそ蔵らーめん花咲」をオープンしようと思ったきっかけって何だったんですか?

日野さん:「峰村醸造」さんの味噌に出会ったことがきっかけです。

 

——「峰村醸造」さんって、よく名前を耳にしますね。

日野さん:「峰村醸造」さんは、明治38年から沼垂で味噌作りをしている老舗の醸造蔵なんです。栗ノ木川を利用して船で原料を運ぶのが便利だったから、「峰村醸造」以外にも醤油蔵や造り酒屋といった醸造業が増えて、沼垂は「発酵の町」として栄えました。

 

 

——へ〜、とても歴史のある醸造蔵なんですね。「峰村醸造」さんの味噌にはどんな特徴があるんですか?

日野さん:味噌っていうと「しょっぱい」っていうイメージがあると思うんですが、「峰村醸造」の味噌は、ほどよいうま味と風味のある、優しくて飽きない味なんですよ。なんとかその味噌を使って、味噌ラーメンを作りたいと思ったんですよね。

 

——その味噌のために「みそ蔵らーめん花咲」をはじめたんですね。それにしても「峰村醸造」さんにも近い、いい場所でオープンできましたよね。

日野さん:この物件に出会ったことで、オープンに向けて具体的に動き出しましたね。「みそ蔵らーめん花咲」のコンセプトも「発酵の町・沼垂で生まれた味噌らーめん」に決まりました。

 

味噌ラーメンが苦手な人からも絶賛される。

——普通のラーメン店では、作りたいラーメンのイメージに合った味噌を選びますけど、こちらでは決まっている味噌に合わせたラーメン作りをしたわけですね?

日野さん:そうなんですよ。これがなかなか大変だったんです(笑)。味噌ラーメンって、パンチの効いた味が多いんですけど「峰村醸造」の味噌って優しい味で真逆なんですよね。その正反対のふたつを、どんなふうにまとめるかで苦労しました。配合や火加減を変えながら何パターンもの味噌ダレを試作して、試行錯誤を繰り返しながら今の味にたどり着いたんです。

 

——いま目の前にあるのが「みそ蔵らーめん」ですか?

日野さん:「みそ蔵らーめん」トッピング全部乗せの「極上みそ蔵らーめん」です。「みそ蔵らーめん」って、ひと口目はちょっと薄く感じるかもしれないんですけど、ラーメンを食べ進めるに従って、味噌の味がちょうどよく感じるようになっているんです。パンチが足りない分はマー油で補っています。

 

 

——ちょっと珍しいタイプの味噌ラーメンですよね。お客さんの評判はいかがですか?

日野さん:それこそ「今までに食べたことのないタイプの味噌ラーメン」って言われます。「味噌ラーメンは好きじゃないけど、ここの味噌ラーメンは食べられる」って言ってくれる方もいます。お客様からそういった感想をいただけると、モチベーションが上がりますね。

 

——なかなか評判がいいようですね。オープン初日からお客さんはたくさん来たんですか?

日野さん:大変でした(笑)。オペレーションに慣れていなかったので、オープンの告知をあえてやらなかったんです。ところがインターネットでオープン情報が拡散されて、オープン初日にはたくさんのお客様が押し寄せることになったんです。てんやわんやしてしまい、長い時間お待たせしてしまうお客様もたくさんいましたね。改めて新潟の人たちのラーメン熱を感じました。

 

——「新潟のラーメンファン恐るべし」って感じですね(笑)

日野さん:オープンしてしばらくはバタバタしていて、夜遅くまで仕込みをやっていたので寝る時間もなかったんです。そのせいか、普段は絶対やらないようなミスをしてしまって、ミートスライサーでチャーシューをスライスしているときに手を切ってしまったんですよ。何針も縫う怪我をしてしまって、2〜3日休業しなければなりませんでした。でも、おかげさまで忙しさでスタッフも鍛えられて、今ではちょっと混んでも慌てないようになりました(笑)

 

 

——まだオープンして間もないんですけど、今後はどんなふうにお店を展開していきたいと思っていますか?

日野さん:まずは今のお店を成功させたいですね。その上で離れた地域に支店を作って、ここまで来ることができない方々にも「みそ蔵らーめん花咲」の味噌ラーメンを味わってもらいたいです。あと、今とはまったく違ったコンセプトのラーメンを提供するお店もやってみたいですね。

 

——最後に、読んでいる人に伝えたいことがあったらお願いします。

日野さん:味噌ラーメンが苦手な人には、「みそ蔵らーめん花咲」の味噌ラーメンをぜひ一度食べていただきたいです。

 

 

みそ蔵らーめん花咲

新潟市中央区沼垂東5-1-30 大幸ビル1F

11:00-14:30/18:00-20:30

水曜休

 

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