驚きがつまったパン屋さん、三条「エリザベスタウンベーカリー」。
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2021.07.02
三条市にある「エリザベスタウンベーカリー」は、朝7時のオープンにぎっしりと並べられているパンが、昼過ぎにはほとんど売れてしまうという人気のベーカリーです。週末ともなると店内にはお客さんがぎゅうぎゅうになってしまうほど。そんなお店にも、これまでには大変な時期があったのだとか。今回はオーナーの樋口さんに、人気店になるまでの苦労や、パンづくりのこだわりについてお話を聞いてきました。


エリザベスタウンベーカリー
樋口 敦 Atsushi Higuchi
1973年三条市生まれ。警察官として3年間勤務した後、ベーカリー、ケーキ店、ラーメン店、カレー店などで経験を積む。2008年に三条市で「エリザベスタウンベーカリー」をオープン。
人気ベーカリーのオーナーは、元警察官。
——樋口さんは、いつからパンづくりの仕事をされているんですか?
樋口さん:最初は、警察官をやっていたんです。でも人に注意をしたり取り締まったりする仕事が自分には合わなかったので、パン屋に転職することにしたんですよ。
——おお、すごい転身。どうしてパン屋さんを選んだんですか?
樋口さん:警察官の次にどんな仕事をしようかと考えたときに、「頑張った分だけ自分に帰ってくるような仕事をしたい」と思いました。そこで、とりあえず手に職をつけようと思ったんです。パンを選んだのは、自分が好きな食べ物の仕事だったら夢中になれるんじゃないかと思ったからです。

——じゃあ、もともとパンはお好きだったんですね。
樋口さん:そうですね。他にもケーキやラーメン、カレーの仕事もやりましたけど、パンづくりが一番自分に向いていると思いました。昔から物を作ることが好きだったので、パンづくりの作業は面白いですね。
——ケーキはともかく、ラーメンやカレーの仕事も経験されたんですね。
樋口さん:パン職人をやめようと思った時期があったんです。独立してパン屋をオープンしたかったんだけど、開店資金の都合がつかなくてあきらめたんですよ。それで、そのときはパン屋以外の道に進もうとしたんです。ところがその後、知人のパン屋で働くことになって、改めてパンづくりの魅力に気づきました。それでもう一度、「自分のパン屋をオープンしたい」という思いを強くしたんですよね。

お客さんがどんどん減っていく? オープン直後の大ピンチ!
——それから、どういういきさつで「エリザベスタウンベーカリー」をオープンしたんですか?
樋口さん:オープンを勧めてくれた銀行の方から、「あるスーパーでパン屋さんを探している」と教えてもらったんです。大きなスーパーになると店内にテナントでパン屋が入っているじゃないですか。そこのスーパーは小さな店舗だったので、駐車場に店舗を建ててパン屋を併設しようと考えていたんです。その場所で2008年に「エリザベスタウンベーカリー」をオープンしました。
——おお、それじゃあ、トントン拍子にオープンすることになったわけですね。
樋口さん:いやあ、そうでもないんですよ……。資金がなかったので借金からのスタートでしたし、おまけに思ってもいなかった理由で店を閉めることになったんです。

——ええっ? オープンしたばかりなのに?
樋口さん:店舗の建物に使われていた建材に問題があって、匂いがひどかったんです。パンっていうのは匂いを吸っちゃうから「あそこのパンは変な匂いがする」っていうことで噂になってしまって、オープン1週間後にはお客様が全然来なくなっちゃったんです。そこで、しかたなく、一度店を閉めることにしたんですよ。
——それは大変でしたね……。それから、どうしたんですか?
樋口さん:しばらくは毎日換気したり温めたりして、店内の消臭に努めました。そんなことを続けながら3ヶ月経った頃、なんとか営業を再開することができたんです。でもその3ヶ月は私にとっては地獄のような日々でしたね(笑)。その後は口コミや雑誌での紹介もあって、少しずつお客様が増えていったんです。9年間その場所で営業してきたんですけど、場所がわかりにくいこともあって、思いきって今の場所に移転しました。

「お客様を驚かしたい!」という思いでパンを作る。
——樋口さんは、どんなことにこだわってパンづくりをしているんですか?
樋口さん:「お客様を驚かせたい」っていう気持ちで、毎日パンを作っています。まず店に入ってきたときに、この小さな店いっぱいにパンがたくさん並んでいることに驚いてほしいんです。それから具がパンパンに詰まったサンド系のパンに驚いてほしい。トングでパンを持ち上げたときに、お客様が「重てっ!」って叫んだら「よしっ!」ってガッツポーズをしたくなります(笑)。最後に食べて美味しさに驚いてもらえてら嬉しいですね。そういう驚きがあることで、お客様はまた来てくれるんですよ。

——たしかにすごいボリュームのサンドイッチですね(笑)。こんなに具だくさんだと、利益は薄いんじゃないですか?
樋口さん:たしかにそうですね(笑)。でも、儲からなくてもスタッフのみんなに給料が払えて、お客様が喜んでくれて、店を続けられればいいかなって思っています。お客様が「美味しい」って喜んでくれたら、疲れも吹っ飛びますよ。

——なるほど。じゃあ、お客さんから「美味しい」っていってもらえる中でも、人気のあるパンを教えてもらえますか?
樋口さん:人気がありすぎて予約しないと買えないのが「チョコとくるみのデニッシュ食パン」ですね。しっかりした材料を使って手を抜かずに作ることで、手間はかかりますけど美味しく焼き上がるんです。新潟のローカル番組で紹介された後は、予約の電話が鳴り止みませんでした(笑)。本当にありがたいことですね。
——最後になりますが、今後やってみたいと思うことはありますか?
樋口さん:週末はお客様がたくさん来てくださるんですが、ぎゅうぎゅうで身動きとれないんですよ。もっとゆったりとパンを選んでいただきたいので、店舗を広げたいと思っています。夢や目標っていうのは、思ったときにはもう叶っていると思うんです。だからあとは夢や目標に向かって、自分を信じて進んでいきたいですね。

ようやく念願のベーカリーをオープンしたものの、思わぬ原因で店を閉めることになってしまった樋口さん。そのときの苦労もあって、「お客さんに喜んでもらいたい」という強い気持ちがあるのではないでしょうか。皆さんもぜひ「エリザベスタウンベーカリー」のパンの重みに驚いてみてください。
エリザベスタウンベーカリー
新潟県三条市月岡1-26-58
0256-47-5092
7:30-18:30
月・火曜休
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