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原風景の中でティータイム。関川村の山あいにある古民家カフェ「元麹屋」。

  • カフェ・食べる | 2020.06.20

6月から営業再開。ゆったり、のんびり、ストレスフリーな時間を提供。

コロナ禍から少しずつ日常を取り戻しつつある6月、休業を余儀なくされていた飲食店やカフェもどんどん営業を再開し始めています。関川村の山と川に囲まれた、長閑な田園風景の中にある古民家カフェ「元麹屋」さんもその一つ。都市部から遠く離れた山あいの同店でも今春は1ヶ月超の休業を強いられましたが、6月1日から無事に営業を再開。ピリピリした雰囲気を忘れさせてくれるような、ゆったりのんびりストレスフリーな時間を提供しています。オーナーの佐藤さんにお話を訊いてきました。

 

 

古民家カフェ元麹屋

佐藤 隆平 Ryuhei Satoh

1950年女川村(現関川村)生まれ。郵便局退職後の2012年、自宅の古民家に少し手を加えて「元麹屋」をオープン。恵美子夫人と2人で切り盛りする。時間があるときは庭にある土蔵の内部を改装しネット環境やカラオケ設備を整えた“秘密基地”に籠る。

 

先祖はやっぱり麹屋さん。現在の家を建てた118年前にはすでに農家に。

――本日はよろしくお願いします。まずは今回の新型コロナウイルスの影響を聞かせてください。

佐藤さん:4月17日から5月末まで休業しました。地元の関川村をはじめとする県北までは幸い感染拡大が及んでいないけど、うちはけっこう都市部からいらっしゃる方が多いので、何かあってはいけないから。

 

――再開後、客足の戻りはいかがですか?

佐藤さん:ぼちぼちですね。夫婦2人でやる分にはちょうどいいくらいかもしれません(笑)。もともと、あまり儲けようと思ってやっているわけではないんでね。当初は2~3年もやれれば十分かなと思っていたんだけど、おかげさまで気がつけば8年目に入りました。

 

――店名が「元麹屋」ですが、やっぱり昔は麹屋さんを営んでいたんですか?…もう訊かれ飽きたかもしれませんが。

佐藤さん:(笑)そうです、うちの屋号でもあります。ただ、この家が建てられた明治36年にはもう麹屋をやっていなくて、そのころはすでに農業と養蚕業をやっていました。そこそこ大きな農家だったみたいで、この家にも牛屋や棹秤(さおはかり)など、当時の農家ならではの造りや道具がたくさん残っています。時間に余裕があれば、私が邸内や庭を案内したりもしますよ。

 

――佐藤さんは何代目にあたるんですか?

佐藤さん:それがよく分からないんですよ(苦笑)。この家を建てたのがひいおじいちゃんのとき、というのは分かっているんですが。初代は江戸時代の1785年前後、天明のころみたいです。麹屋はむかし各集落に一軒はあり、うちは二代目が始めたようですが、日清・日露戦争後に手放したそうです。

 

「田園の中の喫茶店」へ、意外に人が。換金できない価値を求めて。

――開業のきっかけについて教えて下さい。

佐藤さん:一番の動機は、せっかくの古民家を誰かのために役立てたい、という気持ちですかね。私も社会人として長年やってきてお世話になった方が内外にたくさんいるので、そういった方をここにお招きして昔話にでも花を咲かせられれば…と考えたのが最初です。それがいつの間にかカフェになっちゃいましたけど(笑)。開業した頃は、少なくともまだこのあたりでは現在ほど「古民家カフェ」という概念が一般化していませんでした。私も東京へ行ったときに何かでそれを知って、「これなら自分の家を有効活用できるな」と思ったことを憶えています。で、妻といっしょに「第二の人生」としていっちょやるか、と。

 

――建物も庭もすごくきれいに残ってますものね。

佐藤さん:ありがとうございます。正直、維持していくのはけっこう大変なんですけどね。私が関東からUターンした昭和60年ころ、専門業者に頼んで母屋全体をジャッキアップしてワイヤーで引っ張り、経年による捩れを補正しました。それまではあちこちに隙間があって、朝起きたら廊下に雪が積もっていた、なんてこともあったんですけど(笑)、そんなこともなくなりました。庭は妻と2人でなんとか維持しています。

 

 

――営業にあたってご苦労もあったと思いますが。

佐藤さん:当初は「そんな田舎に喫茶店があって誰がくるんだ」なんて言われもしましたけど(笑)、やってみないと分からないというか、実際に足を運んでくれる方はたくさんいました。意外だったのは、自分のような引退後の高齢者だけでなく、決して少なくない若い人がわざわざネットで検索して来てくれることです。そういう方たちと接していると、今の若い人たちは、私たちの世代とはかなり違った消費への考えを持っていると感じます。私たちのような昭和の人間は「コーヒー1杯で400円も? 高いな」などと、とかく金額ベースでものを考えがちですが(苦笑)、うちにわざわざ来るような若い人たちは、なんというか、お金に換算できない価値のようなものを求めている印象を受けます。邸内もじっくり観て行かれますし。

 

――なるほど。

佐藤さん:なんというか、モノそのものというよりも「気分」を消費するような感じかなぁ。コーヒー1杯400円の中には、長閑な田園風景の中で味わう分や落ち着いた時間を過ごす分も含まれていることをあらかじめ折り込んでいる、というか。そういう面では、このあたりは換金できない資源の宝庫ですよ。近くには、以前このサイトで取り上げられた光兎神社もあります。あそこへ参拝したついでに寄ってくれる方もいます。で、うちのカレーも光兎山にあやかって、うさぎがいます(笑)。

 

――ほんとだ!(笑)

 

長閑な環境でリモートワーク? 「アフターコロナ」も見据えながら。

――今後の展望について教えて下さい。

佐藤さん:これかも細く長く続けていくつもりです。が、新しいアイデアも少し湧いてきていて…やるかどうかは決めていないし、まだ具体的に動き出してもいないから、あんまり声を大にしては言いたくないんだけど。

 

――というと?

佐藤さん:母屋の2階スペースを有効活用できないかなとはずっと考えていて。で、都市部の人たちが在宅仕事、今でいうリモートワークするスペースとして一定期間レンタルするのはどうだろう、と。もちろん業種にもよるけれど、今はネット環境さえあればどこでも仕事ができる時代ですし。これはコロナ以前から考えていたことではあるんです。まぁ本格的に乗り出すなら民宿業の許可やらネット環境の整備やらも必要だし、やるかどうかはまだホントに決めてないんだけど。でも、例えば企業の一部署がこんな農村の古民家にポンとあったりなんかしたら、ちょっと面白いんじゃないかな、という(笑)。これからはそういう時代がくるだろうし、コロナがその流れを加速させた面はあるだろうし。

 

――面白いですね。ぜひやってください!

佐藤さん:いやいや、メディアで言っちゃうとやらなきゃいけなくなるから、あんまり書かないでほしいんだけど(苦笑)。まぁ、いつやるか分からない将来の夢として考えているくらいです。まぁカフェはおかげさまで通常営業を再開できたので、ほんのひとときでもコロナを忘れ、ゆっくり寛いでいってほしいですね。

 

――ではそういうことにしておきます(笑)。本日はありがとうございました。

 

 

既にあるものを有効活用して、県内外から訪れた人たちに憩いの場と時間を提供すると同時に、「第二の人生」も楽しむ佐藤さん。最後には「アフターコロナ」のヒントとなりそうなアイデアも語ってくれました。農村の原風景の中で落ち着いたひとときを過ごしたい方は、国道290号「桃川峠」の中程を少し入ったところにある同店までぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょう。(※写真の一部は3月末に撮影)

 

 

■(価格)

Drink

コーヒー各種 400yen

ハーブティー各種 400yen

甘酒 450yen ほか

Cake

チーズケーキ

くるみブラウニ

アップルパイ

ホットケーキ

ピザフリッター 各450yen ほか

Food

ビーフカレー 700yen

インド風チキンカレー 700yen

パスタ各種 700-800yen ほか いずれもサラダ付き

 

 

古民家カフェ 元麹屋

〒959-3201 岩船郡関川村朴坂188-2

営業時間 10:00-18:00 水・木曜定休 12-3月冬季休業

TEL 0254-64-0532

 

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