燕市の吉田に小さなパン屋さんがあります。その名は「Boulangerie Reve想(ブーランジェリー レーブ・ソウ)」。店内に入ってみると、ムーミンの世界をイメージしたというインテリアがとてもかわいく、美味しそうなパンがたくさん並べられています。今回はオーナーの鈴木さんに、パンに対するこだわりを聞いてきました。
Boulangerie Reve想
鈴木 徹 Toru Suzuki
1979年新潟市西蒲区生まれ。新潟産業大学卒業後、三条市にある「サン・フォーレット」でパン作りの修行を積み、2018年、新潟市西蒲区に「Boulangerie Reve想」をオープンする。趣味は映画や舞台を鑑賞すること。
——鈴木さんはいつからパン作りを始めたんですか?
鈴木さん:子どもの頃からもの作りが好きで、小学生のときはパン屋か大工になりたいと思ってたんですよ。新潟産業大学に通っていたときに自分の進路を考える機会があって、「パン屋になりたい」と思っていたことを思い出したんです。そこで大学4年生の1年間、三条市にある「サン・フォーレット」っていうパン屋でアルバイトしてみたんですね。それが、パン作りを始めたきっかけです。
——パン屋さんでアルバイトしてみてどうでしたか?
鈴木さん:アルバイトしているうちに、「本格的にパンを作ってみたい」と思うようになりました。それで卒業と同時にそのまま「サン・フォーレット」に就職することになったんです。はじめに「ゆくゆくは独立してパン屋をやりたい」ということをオーナーに伝えたんですが、「最低でも16年は修行しないとダメだ」と言われました。
——けっこう長いですね…。
鈴木さん:他の新入社員は学校である程度勉強してから入社してたので、知識も技術も下地ができてるんですよ。でも私はそういうのがなかったので、本当に一から仕事を覚えていかなければなりませんでした。最初は窯でパンを焼く仕事を担当したんですけど、不慣れな上に焼くパンの枚数も多かったので大変でしたね。でも、そこで鍛えられたおかげで、今の自信につながっているんだと思います。
——で、修行が終わってからすぐに「Boulangerie Reve想」をオープンしたんですか?
鈴木さん:はい。2018年4月にオープンしました。とにかく最初はバタバタしてましたね。自分でお店をやるのは初めてだったから、最初はご来店くださるお客様の数も読めないし、売れるパンの数も読めないし。これは今でも難しいところなんですけどね。あと僕以外のスタッフは全員パン屋未経験だったので、お店をやりながらいろいろ教えることになりました。
——なるほど。今はもうだいぶ落ち着いてきましたか?
鈴木さん:いえ、売れるパンの数が読めないのは今でも難しいところなんです。ファストフードみたいに注文を受けてすぐに出せるのならいいんですけど、パンは焼けるまで3時間半かかってしまいますから、注文が入ってからでは間に合わないんですよ。予想より多めに作るようにはしていますが、それでも早く売り切れてしまうことはありますね。いつも夕方にしか来れないお客様から「いつ来ても売ってないから」って諦められちゃうのが怖いんです。
——そういうところは難しいですよね。ところで、パン屋さんをやってきてよかったなあと思うことはありますか?
鈴木さん:パンを食べて喜んでいただいたお客様の声にはいつも励まされてますね。「美味しかった」という声はもちろんですけど、「子どもがここのパンじゃないとダメ」とか「母親がこの店のパンにハマってる」とかいろいろな声をいただくんです。中でも嬉しいのは常連の親子のお子さんからいただく手紙です。それを読むともっと美味しいパンを作ろうって思いますね。
——パンを作るときにはどんなことにこだわってるんですか?
鈴木さん:材料には妥協しないで、上質なものを使うようにしています。あと地産地消も心がけていて、できるだけ地元食材を使うことで少しでも地域の活性化になってくれればと思ってます。とにかくいいもの、美味しいパンをお客様に届けたいですね。
——そんなこだわりで作られているパンのおすすめを教えてください。
鈴木さん:今一番人気があるのは「もっちり食パン」です。柔らかいだけじゃなくって、お餅みたいにもっちりした粘り気のある食感と、牛乳やハチミツで出したコクが特徴です。日本人ってお餅が好きな人が多いじゃないですか。だからうちの食パンが好きっていう人も多いんじゃないですかね。
——聞いてるだけで美味しそうですね(笑)。ほかにもおすすめのパンはありますか?
鈴木さん:地元の特産品「本町きゅうり」を使ったサンドイッチもお勧めです。「本町きゅうり」の特徴の甘さや爽やかさを生かした味になってます。地元の小麦を使ったベーグルや、天然酵母を使ったカスクードも人気がありますね。飽きられないように、常に新しいパンを作っていかなければならないと思っているので、そのためにも季節限定をはじめ、試行錯誤しながら新作パンに取り組んでいるんです。
——今後やってみたいことってあるんですか?
鈴木さん:いろいろあるんですよ。オープン前からイートインスペースがあればいいなって思っていたので、いつか実現できたらと思ってますし、もっといろんなパンを置きたいんだけど、今は私一人で作っているので難しいんですよね。あと、地元の野菜や果物をもっとたくさん使って、地域と一緒に頑張っていきたいって考えてます。
——ありがとうございます。最後にパンの魅力ってどんなところだと思いますか?
鈴木さん:うーん、手軽に食べられるっていうことじゃないですかね。いつでもどこでも食べられるし、時間がないときや、ちょっとお腹がすいたなっていうときにも食べられるじゃないですか。そういう気軽さが、みんなに愛されているんだと思います。
小さなかわいいパン屋さん「Boulangerie Reve想」の鈴木さんは、地元食材にこだわったパンを作り続け、地域のお客さんたちから愛されています。そんな鈴木さんの力になっているのは、パンを食べたお客さんたちからの喜びの声。今後も地元愛あふれるパンでお客さんを笑顔にしてくださいね。
Boulangerie Reve想
〒959-0221 新潟県燕市吉田西太田773-6
0256-94-0155
7:30-18:30
火曜・第3日曜休