今回ご紹介するのは、長岡市で米粉を使ったパンを提供し続けてきた人気店「BREAD AESiR(ブレッド・アース)」。昨年11月に10周年を迎えたお店へお邪魔して、オーナーの安部さんにお店をオープンしたいきさつやこだわりについてお話を聞いてきました。
BREAD AESiR
安部 義光 Yoshimitsu Abe
1964年福島県生まれ。東京のベーカリーレストランでパン職人としての修業を積み、2000年に移住した長岡でもパン職人として働く。2013年に「BREAD AESiR」をオープン。きれい好きで洗車が趣味。
——10周年おめでとうございます。「10周年」というとオープンは2013年ですか?
安部さん:2013年の11月にオープンしました。店名の「AESiR(アース)」というのは「地球」という意味でなくて、北欧神話に登場する神々の総称なんですよ。マスコットのフクロウもお客様に福をもたらすシンボルなんです。美味しいパンで皆さまに幸せをお届けしたいという気持ちを込めました。
——安部さんはいつ頃からパン職人を続けているんでしょうか?
安部さん:高校を卒業してすぐに上京し、都内のベーカリーレストランでパン職人の修業をすることになったんです。パン職人になりたかったというわけではなくて、自分を雇ってくれるなら仕事は選ばないというスタンスでしたね。
——パン職人としての修業は大変だったんじゃないですか?
安部さん:最初は大変だったけど、自分でパンを作れるようになってくると段々面白くなっていきましたね。自分で目標を立ててはそれに挑戦して、達成できたら次の目標を立てるということを繰り返していました。そのうち現場を任される責任者になっていたんです。
——真面目に努力してきたことが認められたわけですね。ところで新潟に来たのはどういういきさつがあったんですか?
安部さん:長岡に住んでいた友人から「一緒にパン屋をやろう」と誘われたんです。自分の店をやりたいと思ってはいたものの、開業資金もなく諦めかけていたので、誘いに応じて2000年に長岡へやってきました。
——長岡に来てみて感じたことがあったら教えてください。
安部さん:やはり降雪量の多さに驚きましたね。長岡の人々が雪かきしている姿を見て、忍耐力の強さはここから来ているんだろうなと感じました。あとお米はもちろん、農産物が美味しいことも驚きましたね。だから、できるだけ地元の食材を使ってパンを作っているんです。
——「BREAD AESiR」をオープンすることになったきっかけは何だったんでしょうか?
安部さん:長岡にある製粉機メーカーの社長から、自社の製粉機で作った米粉を使用したパンの試作を頼まれたんです。いろいろな粒子の米粉を使ってみて、どれが米粉パンに向いているのか試作を繰り返しました。その結果美味しい米粉を作り出すことができ、それを使った美味しいパンが生まれたんです。
——その米粉がきっかけになった?
安部さん:そうですね。製粉機メーカーや食材業者の皆さまからも背中を押していただき、自分のお店をオープンすることができました。
——安部さんが「BREAD AESiR」を営業するにあたって、こだわっていることを教えてください。
安部さん:何に対しても手を抜かないということですね。捏ねた生地は低温で長時間発酵させてからパンを作っています。そうすることで生地に甘みが生まれるんですよ。手間がかかるので本当はやりたくないんだけど、お客様に美味しいパンを食べていただくためには必要な工程なんです(笑)
——なるほど。
安部さん:小麦粉も厳選した3〜4種類をブレンドして使っています。そこまで生地にこだわっているので、お客様にはぜひ食事パンを召し上がっていただきたいんですよ。なかでも「ザルツバター」という塩パンはお客様に人気がありますね。
——パン自体の味や香りがダイレクトに伝わりますもんね。他にはどんなこだわりがありますか?
安部さん:安心安全なパンを提供するというのもこだわりです。だから衛生管理には気をつけて、店内をきれいに保つよう心掛けています。あと食品添加物を使わないようにもしていますね。身体に良くなさそうなものはできるだけ使わず、逆に良さそうなものはどんどん取り入れるようにしています。
——地元の農産物もそのひとつなんでしょうか?
安部さん:それもあるけど、美味しいものが本当に多いんですよ(笑)。だから長岡を代表する巾着ナス、枝豆、ブルーベリー、じゃがいも、さつまいもといった旬の美味しい食材を使わせていただいています。
——他にもこだわりはあるんでしょうか?
安部さん:人に対しても手を抜かないということでしょうか。お客様への対応はもちろんですけど、スタッフとのコミュニケーションをできるだけ多くとって、チームワークを大切にするよう心掛けています。うちの店ではみんなが店の経営者という感覚でやっているんですよ。
——へぇ〜。そのために安部さんが心掛けていることって、あるんでしょうか?
安部さん:みんなと同じ目線に立って接することだけですね。そうじゃないと言いたいことも言ってもらえなくなるし、それでは店も良くなりませんから。そのおかげか、みんな生き生きと笑顔で働いてくれているし、辞めずに長く働いてくれるんです。これがうちの店の原動力になっていると思いますので、ぜひスタッフの笑顔に会いに来ていただきたいですね。
——10年間人気を保ち続けてきた秘密がわかったような気がします。今後はどんなことに力を入れていきたいですか?
安部さん:地元の方々に美味しいパンを届け続けるために、もっとパンの精度を上げていきたいと思っています。あとは20年30年と店を長く続けていけるよう、後継者の育成にも取り組んでいきたいですね。
BREAD AESiR
長岡市千手3−3−26
0258-86-8550
7:00-17:00
月曜休(不定休あり)