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県内11蔵の清酒を扱う月岡温泉の老舗。試飲ができる「新喜久屋酒店」。

月岡温泉街にある「新喜久屋酒店」には、下越から上越まで県内11蔵の日本酒が揃っています。お店の創業は1915年で、なんと月岡温泉と同じくらいの歴史があるそう。今回は4代目店主の秋堂さんに、観光地ならではのできごとやおすすめの日本酒などをお聞きしました。

 

新喜久屋酒店

秋堂 孝志 Takashi Shudo

1975年新発田市生まれ。阿賀町のビールの卸会社と新潟市の酒類販売店で経験を積み、20代半ばに家業の「新喜久屋酒店」に入る。2022年に代表取締役に就任。パンクロックファンでライブ観戦が趣味。

 

団体から個人で旅行を楽しむ時代へ。観光地とともに変わりゆく商売。

——「新喜久屋酒店」さんは、100年以上続いているそうですね。秋堂さんは何代目ですか?

秋堂さん:私で4代目です。調べたところ創業は1915年でしたので、もうすぐ110年目を迎えます。月岡温泉自体も1915年に誕生したそうなので、当店とは同じ年にスタートしたんですね。

 

——その間、ずっと月岡温泉で?

秋堂さん:創業当初はなんでも屋というか雑貨屋みたいなところからスタートして、おおよそ90年前から酒類販売業もはじめたと聞いています。

 

——じゃあ、秋堂さんが子どもの頃には今のようなお店だったんですね。

秋堂さん:私が子どもの頃は、バブル期だったのでとにかく華やかでしたね。旅館さん、飲食店さんが今よりたくさんありましたし、芸妓さんは今は20名ほどですが、当時は240名もいらしたようですよ。

 

——まさに「華やか」という表現が似合います。

秋堂さん:みなさんバスで団体旅行にいらっしゃってね。すごく賑わっていました。それから少しずつ様変わりして、団体から「個」の時代になりました。今は個人、家族連れのお客さまが多くいらっしゃいます。

 

 

——秋堂さんが「新喜久屋酒店」さんに入られたばかりの頃はどうでしたか?

秋堂さん:その頃もバブル期の名残はあったんですけども、やっぱり「個人化」が進んでいました。お客さまが求めるお酒は多様化していたので、今までお付き合いのなかった蔵元さんにご挨拶に伺って、新たにお取引をいただいたりしました。皆さんが求めているものにお応えできるよう、ちょっとずつラインナップを増やしていったんですね。

 

——歴史ある酒屋さんの跡継ぎというプレッシャーはありました?

秋堂さん:プレッシャーというか、小さい頃から酒屋を継ぐように刷り込まれていました(笑)。阿賀町のビール卸会社と新潟市の小売店で経験を積ませていただきましたけども、どちらも住み込みで働いていたんですよ。「よその釜の飯を食べてはじめていっちょ前」ってやつです。

 

気軽に日本酒を試飲できる、カウンターのあるお店。

——シックな雰囲気ですごく素敵なお店ですよね。内装も顧客層に合わせて変えられたんでしょうか?

秋堂さん:そうですね。10年ちょっと前に内装を変えて、そのあとに外装のリフォームもしました。そしたらコロナ禍ですもんね。商売が本当に厳しくなりました。月岡温泉街は静まり返って、旅館さんも大変だったと思います。全旅館が休館を余儀なくされましたから。

 

——あぁ……。そうですよね。まさに「直撃」といいますか。

秋堂さん:観光客は当然いらっしゃらない。ゼロです。そのときに「ボケっとしていてもしょうがない」と、店内のカウンターを作り直して、気軽に試飲を楽しめる環境を整えました。改めてイチから商売を作り上げるような気持ちでしたね。

 

——お客さまの反応はどうでしたか?

秋堂さん:「随分変わったね」「カウンターの高さがちょうどいい」と喜んでいただきましたよ。県外からのお客さまが多いので、お気に入りの新潟の日本酒を購入していただこうと試飲に力を入れたんです。

 

 

——ということは、扱っているのは県内の日本酒?

秋堂さん:県内11蔵にお取引いただいています。それぞれの蔵元さんの定番酒、それから季節限定酒を分けていただき販売しています。

 

——相当な種類があるのでは?

秋堂さん:年間どのくらいでしょうかね。200種、300種くらいは扱っているんじゃないでしょうか。

 

——町の酒屋さんであれば、その地域の酒蔵さんのお酒をメインで置いているんでしょうけど、こちらは観光地のお店ですから、県内各地のお酒をいろいろと揃えているわけですね。

秋堂さん:県外からからのお客さまのリクエストは「新潟の日本酒」です。昔から支えていただいた新発田市の蔵元さんはもちろん、阿賀町の麒麟山酒造さんにもお世話になっていますし、上越のお酒もあります。

 

——日本酒だけでなく、ビールもありますよね。

秋堂さん:「月岡ブルワリー」さんの地ビールも卸していただいています。店内でプシュっとビールを飲まれる方もいらっしゃいます。

 

——「ワンカップの詰め合わせ」という、魅力的なギフトがあると聞きました。

秋堂さん:「新潟の地酒ワンカップ30種」ですね。当店オリジナルの詰め合わせです。送別会、お祝い、父の日のプレゼントに喜んでいただいています。

 

日本酒は季節とともに。

——春の限定酒というのもあるんですか?

秋堂さん:この時期は、お花見で楽しめるお酒が出てきます。それに、つい先日発売したばかりの新酒もあります。

 

——え? 新酒ってこの時期でしたっけ?

秋堂さん:年明け前が新酒のシーズンですけど、2月の末に発売される新酒もあるんですよ。春が過ぎると、今度は冷酒が美味しくなってきますね。

 

——日本酒って季節感がありますよね。

秋堂さん:そうですね。秋には美味しい食材にも負けない濃厚なお酒が出てきますしね。夏場寝かせた旨味のある日本酒が。一般的には「ひやおろし」なんて言いますね。それから年末にかけて、今度はフレッシュで若々しい新酒の時季となるわけです。1年を通して、いろいろな顔を見せてくれるところも日本酒の魅力です。

 

——注目の銘柄はありますか?

秋堂さん:冬の限定酒「ぽたりぽたり」(麒麟山酒造)は、人気があります。2種類ありますけど、どちらも売り切ったらそれで終わりという商品です。若い方や普段あまり日本酒に馴染みがないという方ですと「醸す森」(苗場酒造)の評判がいいですね。

 

 

——秋堂さんおすすめの日本酒の楽しみ方を教えてください。

秋堂さん:なんだか恐縮しちゃいますね。僕は「冷や」が好きなんです。原酒に氷を入れてロックで飲んだりします。氷を入れると度数が和らいで、飲みやすくなるんですよ。それでも酔っ払ってしまいますので、必ず和らぎ水と一緒に飲みます。和らぎ水は重要ですよ。日本酒を飲むときは、ぜひ和らぎ水をお供に楽しんでください。

 

 

 

新喜久屋酒店

新発田市月岡温泉609-6

tel 0254-32-2101

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