Things

五十公野公園のすぐそばにあるグルメスポット「カフェ・ド・ランチ」。

今年は11月になっても過ごしやすい陽気に恵まれています。紅葉が美しい今の季節に公園でピクニックを楽しまれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は秋の行楽にもぴったりな五十公野公園のすぐそばにある「カフェ・ド・ランチ」のオーナー水野さんに、いろいろとお話を聞いてきました。

 

合同会社MASUGATA

水野 貴弘 Takahiro Mizuno

1972年新発田市生まれ。新潟調理師専門学校を卒業後、和食の料理人として働き、23歳で家業である「割烹旅館 ますがた荘」に入る。2010年に「合同会社MASUGATA」を設立し代表社員に就任。2011年に「いじみの バーベキュー王国」、2023年に「カフェ・ド・ランチ」をオープン。趣味はスノーボード。

 

五十公野公園そばにカフェがオープンした、意外な理由。

——水野さんは、もともと和食の料理人さんだったんですね。

水野さん:家業が「枡潟」の湖畔にある「割烹旅館 ますがた荘」で、私はそこの3代目です。調理の専門学校を卒業してから和食料理人として働き、23歳で「ますがた荘」に入りました。30歳くらいまでは経営のことを考えながら包丁を握っていたんですよ。今でも忙しいときなんかは助っ人として料理場に立ちます。

 

——「合同会社MASUGATA」としていくつかお仕事をされていらっしゃるんですよね。

水野さん:厳しい言い方ですが、割烹旅館は衰退産業だと思っています。「ますがた荘」で働きはじめた頃から徐々にお客さまが減っているのは感じていました。それでビジネスモデルを変えなくちゃならないと試行錯誤しまして。「ますがた荘」の他に「いじみの バーベキュー王国」と「カフェ・ド・ランチ」を運営しています。

 

——「ますがた荘」さんは特色のあるお宿だと聞きました。

水野さん:枡潟のほとりにあって「白鳥がこちらに向かって飛び立ってくる珍しい旅館」だとお客さまが気づかせてくれました。この近さで白鳥を見ることができる宿は世界中探しても他にないのではと思い、「白鳥の宿」とうたっています。インバウンド向けにもそういった切り口でPRしているんですよ。

 

 

——2011年には「いじみの バーベキュー王国」をはじめられました。そのきっかけを教えてください。

水野さん:「バーベキュー王国」がオープンする前年まで、敷地内の建物をラーメン店さんに貸していたんです。でも苦い思いを度々しまして。それで場所を貸すことはやめて、自分たちで事業を展開しようと思ったんです。

 

——公園のすぐ近くでバーベキューできるなんて名案じゃないですか。

水野さん:五十公野公園のすぐそばという立地を生かして商売ができそうなものはないかと、ビジネスモデルをいくつも考えましたね。それで当時話題になっていたバーベキューで何かできないだろうかと思ったんですけど、場所を提供するだけじゃ経営が成り立ちそうもなくて。当時お台場で、道具を一式レンタルできてケータリングみたいなかたちで食事を楽しめるサービスがあったんですよね。それをヒントに、何の用意をしなくてもバーベキューができるスタイルを考えました。当時は「手ぶらでバーベキュー」って言葉すらなかったと思いますよ。「いじみの バーベキュー王国」は「手ぶらでバーベキュー」の元祖だと思っています。

 

——「カフェ・ド・ランチ」さんはどういった経緯でスタートしたんですか?

水野さん:「バーベキュー王国」は人員的にも効率良く運営できていたんですけど、営業のときはスタッフのまとめ役がどうしても必要になるんです。平日は営業していないので選任を雇うわけにはいかないし、土日は「ますがた荘」も忙しいから、私がつきっきりになるわけにもいかなくて。「バーベキュー王国」と「ますがた荘」を行ったり来たりするうちに「こんな生活あと何年続けられるんだろう」と参ってしまって。それで任せられるスタッフが常時いるかたちを作ろうと思って「カフェ・ド・ランチ」をはじめたんです。

 

「絶対やらないつもり」だったカフェ経営。

——オープンの理由が、まさかスタッフ確保のためだったとは。

水野さん:実のところ、カフェとコンビニ経営は難しいだろうから「絶対にやるまい」と思っていたんです。私がカフェをはじめたことに友達も驚いています(笑)。でもここは五十公野公園があるから駐車場に困ることはないし、この場所におしゃれなカフェがあれば平日でも五十公野公園を訪れる皆さんに来ていただけると思ったんです。スターバックスだって公園で戦略的に営業しているし、街中でカフェを営むよりも勝算はあるんじゃないかなって。

 

 

——公園を利用される方にもありがたいお店ですよね。

水野さん:民間事業者がここに新しく建物を作ることができないっていうような条例があるんです。「カフェ・ド・ランチ」が人気店になるかは分からないですけど、もしそうなってもどなたかが隣にカフェを建てることはできません。他からの参入障壁が高い点も決め手になりました。

 

——五十公野公園に隣接しているから、行政が関わっているお店なのかと思いました。

水野さん:いえいえ、行政とは一切関係ないですよ。私のやりたいことは、大きいくくりだと新発田のためなのかもしれません。五十公野公園が発展することを目的にいろいろと考えているところはあります。

 

負けず嫌いの和食料理人が考えた、ピザやパスタを楽しんで。

——メニューについても教えてください。

水野さん:ピザやパスタがメインメニューで、他にドリンクやジェラート、ワッフル、ケーキなどを用意しています。でも私、そういうジャンルの料理はほとんど食べなくて。「カフェ・ド・ランチ」をはじめようと決めてから1年間めちゃくちゃ研究しました。料理人だし負けず嫌いなもので、とにかく美味いものを出そうと思って。

 

——「ますがた荘」「バーベキュー王国」「カフェ・ド・ランチ」を経営していて、それぞれのメリットとなるようなことってあるんですか?

水野さん:今までも「バーベキュー王国」を利用された方が「ますがた荘」に宿泊されるケースはありました。これからは「カフェ・ド・ランチ」で食事をされる方が「ますがた荘」に宿泊されたり、宿泊された方がカフェで過ごされたりということができると思っています。長期泊のお客さまで「ますがた荘」で朝、夕の2食、昼は「カフェ・ド・ランチ」でお食事される方もいます。「カフェ・ド・ランチ」でモーニングを提供して、宿泊される方にここで朝食を召し上がっていただこうとも計画中です。

 

 

——そういうパターンもありですね。

水野さん:旅行会社の方からは「バーベキューができるスポットの隣にカフェがあるのはここだけじゃないか」と言われました。五十公野公園はスポーツ施設も充実しているので、部活動の集まりを「バーベキュー王国」でされるお客さまも多いんです。そういったときに学生さんはバーベキュー、親御さんや先生たちは「カフェ・ド・ランチ」で打ち合わせがてらゆっくり食事ができるとなれば喜ばれそうだなって思います。

 

——「カフェ・ド・ランチ」さんの今後にも期待しています。

水野さん:ありがとうございます(笑)。やりたいことはたくさんあるんですよね。「ますがた荘」にサウナ付きの大きいお風呂を作りたいなとか、猫型の車を修理してどこかでパンの出張販売ができたら子どもたちに喜ばれそうだなとか。「カフェ・ド・ランチ」では、パティシエさんに加わってもらって本格的なスイーツを提供できるようにしたいと思っています。そのためには一緒に働いてくれる人をもっと増やさなくちゃいけないですね。

 

 

 

カフェ・ド・ランチ

新発田市五十公野4498-1

営業時間/10時〜16時、不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP